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決議に違反する日本の北西太平洋調査捕鯨に対し、4カ国による国際司法裁判所への共同提訴を求める要請書

2014-05-20 17:53:34 | イルカ ドルフィンプロジェクト


(初出:2014/5/16)


※ 英語版はこちら

2014年5月15日

駐日大韓民国大使館
駐日中華人民共和国大使館
駐日ロシア連邦大使館
駐日アメリカ合衆国大使館 御中

写し:
駐日オーストラリア大使館
駐日ニュージーランド大使館
駐日欧州連合代表部
日本外国特派員協会 御中

絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)、国際捕鯨取締条約(ICRW)および国際捕鯨委員会(IWC)決議に違反する日本の北西太平洋調査捕鯨(JARPN II)に対し、4カ国による国際司法裁判所(ICJ)への共同提訴を求める要請書

 今年3月31日、オーストラリアおよびニュージーランドと日本との間で争われた調査捕鯨をめぐる国際裁判において、ICJは日本の南極海調査捕鯨 (JARPA II)がICRWおよび各種のIWC決議違反に該当すると認定し、今後調査捕鯨の許可証を発給するにあたり、今回の判決を十分考慮するよう求めました。

 日本政府はICJの判決に従うとしながら、今年度もJARPN IIを強行する決定を下しました。しかし、JARPN IIにはJARPA IIと同様、ICJで認定された多くの違法性が含まれていることは明らかです。

 日本政府は国際法規を遵守する姿勢を打ち出していますが、国会議員らは「ICJの判決は政治的だ」と非難するばかりで、国際法を尊重しなかったことへの 反省の弁は聞こえてきません。また、マスコミは敗訴の決め手となった水産庁長官の国会答弁等には一切触れず、調査捕鯨の違法性を文化の問題へとすりかえる 報道を繰り返しています。

 日本政府が自らの過ちを認めず、国際法に背く行為を続けようとしていることは、日本国民として耐えがたいことです。遺憾ながら、日本の姿勢を改めさせる ためには、南半球諸国を代表してオーストラリアとニュージーランドが国連の司法機関に判断を仰いだのと同様に、北半球の国々によって日本の違法性を再度追 及してもらうほかありません。

 大韓民国、中華人民共和国、ロシア連邦、アメリカ合衆国は、北西太平洋に近接し、日本の水産ODAによる勧奨活動の影響を受けていないIWC加盟国として、科学の名を借りた違法な公海資源の占有を訴える資格があります。

 とりわけ、韓国は一昨年のIWC年次会議でICRW第8条に基づく調査捕鯨の計画を発表しながら、内外の市民の批判を受けてこれを撤回しました。

 国際法をきちんと遵守する同国とは対照的に、違法な調査捕鯨をなおも続行する国の存在を認めることは、国際社会の公平性・公正性の観点からも許されるべきではありません。

 よって、私たちは4カ国が共同で日本のJARPN IIをICJに提訴するよう、強く要請するものです。
以上

カメクジラネコ

賛同団体 (五十音順)

茨城県民ネットワーク
全日本動物愛護連合
チロとサクラのクリニック
動物愛護党
動物たちとともに W.A.A
フリッパーズジャパン
ヘルプアニマルズ



■補足:JARPN IIの違法性について

 4月18日、林農相は今後の鯨類捕獲調査の実施方針を発表しました。
 それによれば、今年度のJARPN IIについては、「判決に照らし、調査目的を限定するなどして規模を縮小して実施」としています。そして、捕獲頭数については、ミンククジラ(沿 岸)100頭(当初予定120頭)、ミンククジラ(沖合)中止(〃100頭)、ニタリクジラ20頭(〃50頭)、イワシクジラ90頭(〃100頭)、マッ コウクジラ中止(〃10頭)としています。
これらの数字は、判決からわずか半月で提示されました。しかも、脚注として「※捕獲頭数に関しては、今後科学者の意見を聴取し、精査の上確定する」とあり ます。「いかなる発給に際しても当判決を考慮するように」とのICJの見解を踏まえ、非致死的代替手法の検討を含む調査内容の抜本的な検証を何ら経ないま ま、「最初に数字ありき」で捕獲枠が提示されたことは明らかです。
背景には、この実施方針が発表される直前の16日および翌17日に、衆参両院の委員会にて調査捕鯨の継続を求める決議を採択した、国会議員らの強い圧力が働いています。
また、そもそもJARPN IIにおいても、JARPA IIと同様、計画数どおりの捕獲はこれまで実施されてきませんでした。それも、SSCS等の反捕鯨団体の妨害がないにもかかわらず。全体の目標捕獲数は従 来の260頭から110頭へと減らされていますが、昨年度の捕獲実績も132頭でした。つまり、新たに提示された捕獲数は、これまでの捕獲実績・販売実績 に合わせた生産調整の範囲内といえます。相対的に減少の幅が大きなニタリクジラは、過去の鯨肉の入札でも不人気で売れ残りが多かった鯨種です。沖合調査で 中止となったミンククジラについては、昨年の捕獲実績は3頭でしかありません。(IKANet NEWS #57)
これらの一連の事実は、計画上の目標捕獲数をいじったうえで行われようとしているJARPN IIが、JARPA IIに関してICJが指摘したのとまったく同様に、調査目的と計画、実行とが大きく乖離していることを意味しています。
水産紙の報道によれば、水産庁は上掲のニタリクジラおよびイワシクジラの捕獲に関しては「RMP(改訂管理方式)の算出の活用が判決で勧められた」と説明 しています。しかし、RMPにおける調査捕鯨の必要性については、IWC科学委員会において、必要不可欠ではなく「貢献する潜在可能性」としか認められて おらず、ICJも日豪の主張を両論併記する形で判断を保留しています。一方、ミンククジラの捕獲中止に関しては、「系統群構造を明らかにする必要がある」 ことを理由としていますが、これはJARPA IIに関して従来日本側が調査捕鯨の必要性の文脈で取り上げており、再来年以降南極海での調査捕鯨再開の意思を表明していることとも明らかに矛盾していま す。30年以上にわたって継続されてきたJARPA I/IIによっても、南極海ミンククジラの系群構造は未だに判別されておらず、いつまでに解明されるとの見通しも示されていません。この点に関しては、低 緯度の繁殖海域での調査が必要だとIWC科学委員会において再三指摘されてきました。
さらに、日本はCITESの絶滅危惧種I類に指定されているイワシクジラを留保対象としていますが、北太平洋の個体群については除外されています。元 CITES事務局長の国際法学者ピーター・サンド氏は、公海上からの持込行為はCITESの規定違反に該当すると指摘しています。日本政府はこれまで、 ICRW第8条の解釈と同様、持込国の管理当局が判断すべきとの立場でした。しかし、JARPN IIがCITESの規定に違反するか否かも、ICJによって国際法の見地から判断されるべきであり、またJARPN IIがJARPA IIと同様の違法性を含んでいる以上、違反にあたるとの謗りは免れないと考えます。
ICJがJARPA IIに関して認定した不法行為のうち、JARPN IIは南極海サンクチュアリ決議違反を除くICRW第8条、附表第10項のdおよびe(商業捕鯨モラトリアムおよび工船モラトリアム)違反に該当すると考 えられます。一方、JARPA IIに対してはAUSの主張した附表第30項違反(IWC科学委員会への審査手続)は認められませんでした。しかし、4月26日より開始された今年度の JARPN II沿岸調査の実施にあたり、日本政府がIWCに対して計画の変更について十分な説明を怠ったまま、拙速に許可したことは否定の余地がありません。これは 附表第30項に違反する疑いが濃厚です。ICJがJARPA IIを合法的な調査捕鯨と認めなかった以上、IWC科学委員会もJARPN IIについて十分な時間をかけ厳正な再審査を行うべきであり、とくに計画の大幅な変更については合理的な説明が日本政府に求められます。
IWCに加盟する4カ国は、日本政府に対し、上掲のとおり国際条約に違反する可能性がきわめて高いJARPN IIの実施を中止するよう求めるべきであり、日本政府が勧告を無視して強行するようであれば、国際法のもとに断固たる措置を講じるべきです。


参考資料:

-JUDGMENT|WHALING IN THE ANTARCTIC (AUSTRALIA v. JAPAN: NEW ZEALAND INTERVENING)
http://www.icj-cij.org/docket/files/148/18162.pdf

-第180回国会 決算行政監視委員会行政監視に関する小委員会 第3号(平成24年10月23日(火曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025318020121023003.htm

-今後の鯨類捕獲調査の実施方針の概要 水産庁、4/18
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/koho/pdf/gaiyou.pdf

-今後の鯨類捕獲調査の実施方針についての農林水産大臣談話
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/koho/pdf/danwa.pdf

-南極海捕鯨事件
http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/whaling/298-temporary-bibliographical-essay-on-the-antarctic-whaling

-IKANet NEWS 57号 2014年5月1日

-Jarpa Review | Extract from the full Report of the JARPA review workshop 2007
http://iwc.int/jarpa

-Japan's 'Research Whaling' in the Antarctic Southern Ocean and the North Pacific Ocean in the Face of the Endangered Species Convention (CITES)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1467-9388.2008.00587.x/abstract

-鯨類調査、26年度北西太平洋の捕獲頭数縮小へ
http://www.suikei.co.jp/%e9%af%a8%e9%a1%9e%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e3%80%81%ef%bc%92%ef%bc%96%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e5%8c%97%e8%a5%bf%e5%a4%aa%e5%b9%b3%e6%b4%8b%e3%81%ae%e6%8d%95%e7%8d%b2%e9%a0%ad%e6%95%b0%e7%b8%ae%e5%b0%8f%e3%81%b8/


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日本のため平和のために素晴らしい判決!『調査捕鯨で日本敗訴 国際司法裁判所、中止命じる』
http://blog.goo.ne.jp/grandemperor/e/55c224eafaf0627b3a6cac57c8d886e1









2014/5/20

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