史上最大の研究結果がここに!
葬られた「第二のマクガバン報告」(上巻)
動物タンパク神話の崩壊とチャイナ・プロジェクト
――はじめに ―― 43P
肝臓ガンの真相
研究生活に入ったばかりの頃、私は最も有害な化学物質として知られる「ダイオキシン」と「アフラトキシン」について調べることになった。
私は初め、マサチューセッツ工科大学で仕事をしており、ニワトリのエサに関するテーマを与えられた。
毎年何百万羽ものニワトリが未知の有毒化学物質のために死んでいくため、エサに含まれる化学物質を発見し、その構造を解明する仕事を任されたのだ。
二年半後、私は化学物質としては最も有毒といえるダイオキシンを発見するのに貢献した。
以来、この化学物質は広く注目を集めた。
それは、この化学物質がベトナム戦争で森林を枯らすのに用いられた除草剤(別名、エージェント。オレンジ。俗に、枯れ葉剤といわれているもの)の一要素だったためだ。
その後私はマサチューセッツ工科大学を辞め、バージニア工科大学で教授の職を得た。
そこでフィリピンの栄養失調の子供を救うための「全国プロジェクト」を援助する仕事を始めた。
このプロジェクトでは、通常は成人の病気である肝臓ガンがフィリピンの子供に異常に多いということを研究する課題も含まれていた。
ピーナッツやコーンに含まれるカビ毒のアフラトキシンを大量に摂取していることが原因である、と考えられていた。
今まで発見された化学物質の中では、アフラトキシンは最も協力な発ガン物質の一つである、といわれてきた。
最初の10年間、我々はフィリピンの貧しい子供の栄養失調を改善することを第一の目標とした。
このプロジェクトはアメリカ政府国際開発機関の資金提供によるもので、最終的には、フィリピン全土のほぼ110か所に「栄養摂取のための自助教育センター」を設置した。
我々の目標は、子供たちができるだけ多くのタンパク質をきちんととっているかどうか確かめる、という単純なものだった。
「世界中の多くの子供たちが栄養失調なのは、タンパク質、特に動物性食品からのタンパク質が不足しているためっだ」というのが、当時の一般的な捉え方だった。
そのため、世界中の大学や政府が、発展途上国で予測される「タンパク質不足」を補う取り組みを行っていた。
ところが、このプロジェクトで私は大変な秘密を知ってしまったのである。
それは、最も高タンパクの食事をしている子供たちが、肝臓ガンになるリスクが最も高い、という事実だった。
ガンになっている子供は、裕福な家庭の子供たちだったのである。
異端者への道
同じ頃、フィリピンの現象と関連のあるインドからの研究報告書を発見した。
これにもまた、物議をかもし出すような研究結果が含まれていた。
インドの研究者は、ネズミを二つのグループに分けて実験していた。
一方にはガンを引き起こすアフラトキシンを投与し、そのあとタンパク質が総摂取カロリーの20%というエサが与えられた。
この比率は欧米社会に住む成人たちの多くが摂取している量に近い。
もう一方のグループにも同量のアフラトキシンが投与されたが、そのあとのエサはタンパク質の比率がわずか5%というものだった。
20%のタンパク質を与えられたネズミは、どれも皆、肝臓ガン形成の形跡があったが、5%のグループでは、すべてのネズミが肝臓ガンを免れていたという。
なんと「100対0」の結果だったのである。
そのため、「適切な栄養摂取を続けていれば、非常に強力な発ガン物質さえ打ち負かせる」ということは疑う余地はなかったのだ。
この情報は、これまで私が教えられてきたことすべてを否定するものだった。
「タンパク質は健康に良くない」などと言うのは異端とされていたからだ。
ましてや、「タンパク質はガンの成長を促進する」などと口にするのはとんでもない行為だった。
しかしそれは、私のその後のキャリアを決定づける瞬間となったのだった。
研究生活を始めたばかりなのに、このような物議をかもし出すような問題について研究するのは、あまり賢い選択ではなかった。
タンパク質や動物性食品について疑問を投げかけることは、たとえ研究結果が「正統の化学」で認められたとしても、「異端者」のレッテルを貼られる危険を冒すことになるからだ。
しかし、私はもともと、命じられた指示だけ遂行するようなタイプではなかった。
農場で馬や牛を追い立てるのを初めて学んだとき、あるいは狩りや魚釣りや畑仕事を習ったとき、自分独自の方法を試してみたい、と思った。
そうしなければ自分で納得できなかったのである。
もし畑でトラブルに直面したとき、次にどうすべきか自分自身で考えなければならなかったからだ。
農家の子供なら誰でも言えると思うが、子供の頃の経験は実に偉大な学びの場だった。
そのとき身につけた独立心は、今でも失っていない。
発ガン物質をコントロールするもの
こうして難しい決断に直面した私は、ガンの発生における栄養摂取、とりわけタンパク質の役割について、徹底的な研究プログラムを始めてみよう。と決断したのである。
同僚と私は慎重に仮説を立て、研究手順は厳密に、そして研究結果の解釈に関してはきわめて慎重に行った。
私はこの研究を、「ガン形成における生化学的研究」として、化学の基本レベルで行うことにした。
タンパク質がガンの成長を促進するかどうかという点だけでなく、どのようにして促進するのかを知ることが重要だったからである。
そうした進め方が最も適切な方法だった。
結果的に、「正統の化学」のルールに従い、新発見に対して興奮するようなこともなく、この物議をかもし出すようなテーマに没頭することができた。
最終的にこの研究は最も綿密に審査が行われ、資金援助源としては最も競争率の高い機関(ほとんどが国立衛生研究所、米国ガン協会、米国ガン研究協会など)から二七年間にもわたって、十分な資金援助を受けることができた。
こうして我々の研究結果は、一流とされる多くの科学雑誌に公表されるため、二度目の審査を受けることになったのである。
我々の発見は、まさに衝撃的だった。
低タンパクの食事は、どれだけアフラトキシンをネズミに投与したかには関係なく、この発ガン物質によるガン発症を予防したのである。
ガン発症が確認された後でも、低タンパクの食事はそれに続いて生じるガンの増殖を劇的に阻止した。
言い換えれば、このきわめて強力な発ガン性化学物質による影響力は、低タンパクの食事によって、取るに足りないほどのものに変えられてしまったのだ。
要するに、食事に含まれるタンパク質は、ガンに及ぼす影響があまりにも強いため、タンパク質の摂取量を変えるだけで、ガンの増殖を「ON」にしたり「OFF」にしたりすることができたのである。
そのうえ、実験でネズミに与えたタンパク質の量は、私たち現代人がいつも摂取している比率量だったのである。
発ガン物質の研究でよく行われるような、並外れた大量のタンパク質を与えたわけではないのだ。
しかも、これが研究結果の全てではない。
我々は、すべてのタンパク質にこの作用があるわけではない、ということも突き止めている。
「絶えずガンの発生・増殖を強力に促進させるものの存在」がわかったのである。
それは「カゼイン」だった。
これは牛乳のタンパク質の87%を構成しているもので、ガン形成・増殖のどの過程でも作用していたのである。
また、大量に摂取しても、ガン形成・増殖を促進させないタイプのタンパク質も発見した。
この安全なタンパク質は、小麦や大豆など、植物性のものだった。
病気は治すのではなく治る。
葬られた「第二のマクガバン報告」(中巻)
あらゆる生活習慣病を改善する「人間と食の原則」
葬られた「第二のマクガバン報告」(上巻)
動物タンパク神話の崩壊とチャイナ・プロジェクト
――はじめに ―― 43P
肝臓ガンの真相
研究生活に入ったばかりの頃、私は最も有害な化学物質として知られる「ダイオキシン」と「アフラトキシン」について調べることになった。
私は初め、マサチューセッツ工科大学で仕事をしており、ニワトリのエサに関するテーマを与えられた。
毎年何百万羽ものニワトリが未知の有毒化学物質のために死んでいくため、エサに含まれる化学物質を発見し、その構造を解明する仕事を任されたのだ。
二年半後、私は化学物質としては最も有毒といえるダイオキシンを発見するのに貢献した。
以来、この化学物質は広く注目を集めた。
それは、この化学物質がベトナム戦争で森林を枯らすのに用いられた除草剤(別名、エージェント。オレンジ。俗に、枯れ葉剤といわれているもの)の一要素だったためだ。
その後私はマサチューセッツ工科大学を辞め、バージニア工科大学で教授の職を得た。
そこでフィリピンの栄養失調の子供を救うための「全国プロジェクト」を援助する仕事を始めた。
このプロジェクトでは、通常は成人の病気である肝臓ガンがフィリピンの子供に異常に多いということを研究する課題も含まれていた。
ピーナッツやコーンに含まれるカビ毒のアフラトキシンを大量に摂取していることが原因である、と考えられていた。
今まで発見された化学物質の中では、アフラトキシンは最も協力な発ガン物質の一つである、といわれてきた。
最初の10年間、我々はフィリピンの貧しい子供の栄養失調を改善することを第一の目標とした。
このプロジェクトはアメリカ政府国際開発機関の資金提供によるもので、最終的には、フィリピン全土のほぼ110か所に「栄養摂取のための自助教育センター」を設置した。
我々の目標は、子供たちができるだけ多くのタンパク質をきちんととっているかどうか確かめる、という単純なものだった。
「世界中の多くの子供たちが栄養失調なのは、タンパク質、特に動物性食品からのタンパク質が不足しているためっだ」というのが、当時の一般的な捉え方だった。
そのため、世界中の大学や政府が、発展途上国で予測される「タンパク質不足」を補う取り組みを行っていた。
ところが、このプロジェクトで私は大変な秘密を知ってしまったのである。
それは、最も高タンパクの食事をしている子供たちが、肝臓ガンになるリスクが最も高い、という事実だった。
ガンになっている子供は、裕福な家庭の子供たちだったのである。
異端者への道
同じ頃、フィリピンの現象と関連のあるインドからの研究報告書を発見した。
これにもまた、物議をかもし出すような研究結果が含まれていた。
インドの研究者は、ネズミを二つのグループに分けて実験していた。
一方にはガンを引き起こすアフラトキシンを投与し、そのあとタンパク質が総摂取カロリーの20%というエサが与えられた。
この比率は欧米社会に住む成人たちの多くが摂取している量に近い。
もう一方のグループにも同量のアフラトキシンが投与されたが、そのあとのエサはタンパク質の比率がわずか5%というものだった。
20%のタンパク質を与えられたネズミは、どれも皆、肝臓ガン形成の形跡があったが、5%のグループでは、すべてのネズミが肝臓ガンを免れていたという。
なんと「100対0」の結果だったのである。
そのため、「適切な栄養摂取を続けていれば、非常に強力な発ガン物質さえ打ち負かせる」ということは疑う余地はなかったのだ。
この情報は、これまで私が教えられてきたことすべてを否定するものだった。
「タンパク質は健康に良くない」などと言うのは異端とされていたからだ。
ましてや、「タンパク質はガンの成長を促進する」などと口にするのはとんでもない行為だった。
しかしそれは、私のその後のキャリアを決定づける瞬間となったのだった。
研究生活を始めたばかりなのに、このような物議をかもし出すような問題について研究するのは、あまり賢い選択ではなかった。
タンパク質や動物性食品について疑問を投げかけることは、たとえ研究結果が「正統の化学」で認められたとしても、「異端者」のレッテルを貼られる危険を冒すことになるからだ。
しかし、私はもともと、命じられた指示だけ遂行するようなタイプではなかった。
農場で馬や牛を追い立てるのを初めて学んだとき、あるいは狩りや魚釣りや畑仕事を習ったとき、自分独自の方法を試してみたい、と思った。
そうしなければ自分で納得できなかったのである。
もし畑でトラブルに直面したとき、次にどうすべきか自分自身で考えなければならなかったからだ。
農家の子供なら誰でも言えると思うが、子供の頃の経験は実に偉大な学びの場だった。
そのとき身につけた独立心は、今でも失っていない。
発ガン物質をコントロールするもの
こうして難しい決断に直面した私は、ガンの発生における栄養摂取、とりわけタンパク質の役割について、徹底的な研究プログラムを始めてみよう。と決断したのである。
同僚と私は慎重に仮説を立て、研究手順は厳密に、そして研究結果の解釈に関してはきわめて慎重に行った。
私はこの研究を、「ガン形成における生化学的研究」として、化学の基本レベルで行うことにした。
タンパク質がガンの成長を促進するかどうかという点だけでなく、どのようにして促進するのかを知ることが重要だったからである。
そうした進め方が最も適切な方法だった。
結果的に、「正統の化学」のルールに従い、新発見に対して興奮するようなこともなく、この物議をかもし出すようなテーマに没頭することができた。
最終的にこの研究は最も綿密に審査が行われ、資金援助源としては最も競争率の高い機関(ほとんどが国立衛生研究所、米国ガン協会、米国ガン研究協会など)から二七年間にもわたって、十分な資金援助を受けることができた。
こうして我々の研究結果は、一流とされる多くの科学雑誌に公表されるため、二度目の審査を受けることになったのである。
我々の発見は、まさに衝撃的だった。
低タンパクの食事は、どれだけアフラトキシンをネズミに投与したかには関係なく、この発ガン物質によるガン発症を予防したのである。
ガン発症が確認された後でも、低タンパクの食事はそれに続いて生じるガンの増殖を劇的に阻止した。
言い換えれば、このきわめて強力な発ガン性化学物質による影響力は、低タンパクの食事によって、取るに足りないほどのものに変えられてしまったのだ。
要するに、食事に含まれるタンパク質は、ガンに及ぼす影響があまりにも強いため、タンパク質の摂取量を変えるだけで、ガンの増殖を「ON」にしたり「OFF」にしたりすることができたのである。
そのうえ、実験でネズミに与えたタンパク質の量は、私たち現代人がいつも摂取している比率量だったのである。
発ガン物質の研究でよく行われるような、並外れた大量のタンパク質を与えたわけではないのだ。
しかも、これが研究結果の全てではない。
我々は、すべてのタンパク質にこの作用があるわけではない、ということも突き止めている。
「絶えずガンの発生・増殖を強力に促進させるものの存在」がわかったのである。
それは「カゼイン」だった。
これは牛乳のタンパク質の87%を構成しているもので、ガン形成・増殖のどの過程でも作用していたのである。
また、大量に摂取しても、ガン形成・増殖を促進させないタイプのタンパク質も発見した。
この安全なタンパク質は、小麦や大豆など、植物性のものだった。
病気は治すのではなく治る。
葬られた「第二のマクガバン報告」(中巻)
あらゆる生活習慣病を改善する「人間と食の原則」