古い録音を納めた CD が届いた。
1958年頃ということは、
彼女が45歳くらいのときの演奏だ。
円熟した弾き盛りと言ってもよいだろう。
早速聴いてみる。
晩年の演奏よりもさらにゆっくりのテンポで始まるアリア。
これだけで6分13秒!
変奏が始まると力強いタッチで
音の粒立ちが美しい。
部分的に繊細なタッチも織り交ぜての
ダイナミクスも印象的。
これに較べると、グラモフォンの演奏は、
やはり少し崩れているところがあると思う。
こちらのほうが好きだ。
何度かに分けて録音されているようなので、
納得が行くまで繰り返したのかもしれない。
繰り返しをすべて弾いているためもあるが、
全曲ではなんと1時間半もかかっている。
遅くなったと言われる Gould の晩年の演奏でも
51分くらいなので、さらに1.5倍以上。
真剣に聞きとおすのは
かなり時間の余裕と心の準備がいる。
しかし、これが自分にとって
理想のテンポに近いように思う。
(でも、大好きで自分でもよく弾いている7番と13番は
もう少し遅くてもいいのだが・・・)
Gould の疾走する曲芸的演奏が
スタンダードになったことの功罪を
考えてしまった。
モノラルだが、EMIの黄金時代の録音であり、
BGM としてかけておくのにも、とてもお薦め。
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