渡辺王座は羽生さんがタイトル戦などを何度か戦っている棋士の中では
唯一、はっきりと負け越している棋士だ。
最近の対戦成績でも、森内名人と並んで
羽生さんの天敵となっている。
なぜこの二人は羽生さんに勝てるのか?
共通しているのは将棋のスタイル。
攻めもあるが、受けに強くて、
負けにくい将棋を好む。
これが、終盤の逆転を防いでいるように思う。
もう一つ重要なのは、メンタル的なことで、
羽生さんに気合負けしていないことではないかと思う。
他の棋士が、戦う前から負けているというか、
羽生さんの強さを意識し過ぎて、羽生さんが指すのだから何かあるのではないか?
と疑心暗鬼になって読み違える、あるいは、深読みしすぎて時間を失い、
それが逆転につながることが多いのに対して、この二人はそれが少ない。
森内さんのほうは天然の鈍感力、マイペース力の賜物だが、
渡辺さんはむしろ意識的に、苦手意識を持たないように、
逆に、羽生さんに苦手意識を植え付けるよう努力している結果だと思う。
これは大山さんがやってきたのと同じことだ。
天然の鈍感力の権化である中原さんには通じなかったらしいが・・・
今回の王座戦は羽生さんにとっては
前回の0-3での敗退の後のリターンマッチである。
リターンマッチだから力が出るか、というとそういうわけではない。
竜王戦でも永世竜王のかかったタイトル戦で2度続けて負かされている。
むしろ、力が入り過ぎてうまくゆかない可能性のほうが高い。
というわけで、素直に考えれば、
3-1くらいで渡辺さんの防衛だろう。
しかし、羽生さん側のプラス材料は、
今季の渡辺さんの調子がいまひとつに見えることだ。
棋士序列の1位をとって、なんとなく、目標を見失っている感じがする。
羽生さんには勝ち越したし、竜王戦10連覇くらいはいけそうだが、
タイトル81期にはとうてい届かない。
序列1位でも、羽生さんの圧倒的知名度と強さのイメージには全然かなわない。
自分の限界を感じ始めている頃かもしれない。
そのあたりの微妙な心理がどう盤面に出てくるのか。
熱戦を期待したい。
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