日々の寝言~Daily Nonsense~

Google のロボット事業の行方

DeepMind のアルファ碁の成功の裏で、
Google が Boston Dynamics を売却?というニュースが。

2月頃に公開された Atlas の動画には
ロボット研究者はかなりショックを受けていたと思うのだが、
今回の噂が本当で、それでもビジネス化は難しい、ということだと、
さらにショックかもしれない。

個人的にも、Deep Learning と強化学習の組み合わせを、
Atlas をベースに探究するのかと思っていたので、
うーん・・・という感じ。

確かに、出口のイメージが弱い
というのはそのとおりなのだが、
全く出口がない、というわけではなくて、
過酷な現場や軍隊、などのすぐに使えそうなところは、
Google がビジネスする場とは違う、
ということなのかもしれない。

Google 的には、やはり、Android のように、
家庭やサービス現場など、社会全体に入り込むことを
期待していると思われる。

だから、二足歩行の人型でなくても、
自動運転車が端末になればよいのかもしれない。

 * * *

ところで、Boston Dynamics とほぼ同時に買収された
日本のベンチャー SCHAFT の人たちについては
最近何も聞こえてこないが、今どうしているのだろう?

と思って検索してみたら、
こんな記事が見つかった。

SCHAFT の経営的部分を支えた人のインタビュー
加藤 崇さんという方らしい。

その中に、「なぜ日本で育てられなかったのか?」
という部分がある。

まず、民間のベンチャーキャピタルについては、

> 日本のベンチャーキャピタルのほとんどは、
> アメリカやヨーロッパでうまくいったビジネスモデルが、
> どのようにすれば日本でコピーできるかばかりを考えてきたからです。

> 日本は一億人以上の成熟した消費者がいる、世界でも有数のマーケットです。
> その上、言語の障壁があるから、外国からは参入しにくい。
> すると、アメリカのモノマネでも日本だけで鎖国的なマーケットを作ることができ、
> 巨額の先行投資をしなくても、コピー代だけ払えば、
> そこそこのリターンが得られてしまう。

> だから、日本のベンチャーで成功したと言われている企業や
> 新興市場に上場した企業は、モノマネベンチャーのオンパレードなのです。
> リスクを取って、巨額の先行投資をし、自分の腕一本で
> 新しい産業や市場をこじ開けてやろう、という気概に満ちた
> ベンチャーキャピタリストなど、日本では皆無だと思います。

と一刀両断。

確かに「一定の環境で成功する会社をつくる」ことと
「新しい産業を興す」ことは別のレベルの話だ。

民間のベンチャーキャピタルといっても、
日本にはエンジェルになるような成功者はまだまだ少ないので、
大企業と結びついているところも多かったのだろう。
そうなると、リスクは取れない。

官製の投資ファンドや霞が関の中央官庁については、

> 中央官庁からは、「あなたたちのようなヒト型ロボットを支援する枠組みは
> 今のところ行政に無いので、前年に策定された介護用のロボットに対する
> 補助金を申請してみてはどうか」と言われ、脱力しました。

いかにもありそうなやりとりではある。

> アメリカには開拓者精神が今もあって、
> 国全体が自分の手で次の産業を起こそうとしています。
> 新しい産業を世界に先駆けて作ると、国全体が潤うからです。
> 現に半導体、バイオテクノロジー、パソコン、
> インターネット、ソーシャルネットワークと、
> アメリカは次々と新しいドアを開けてきました。

> 新しい産業を作りあげた成功体験が、次の産業も作れるという、
> ある意味、根拠のない自信に変わっていったのでしょう。
> こうして今日も次の新しいドアを開けるのは自分だ、
> という思い込みを抱いた自信満々の連中が、
> アメリカに集まってきます。それが、アメリカの強さです。

なるほど・・・

今あるものを良くする、今の枠組みで儲けを増やす、
のではなく、新しい産業を作る。

やはり、決定的に欠けているのは、
その開拓者精神、強い開拓者精神を持った
研究者やエンジニアと経営者、ということになるのか・・・

戦後の焼け野原の頃には、日本にもそれはあったわけで、
日本人だからできない、ということではないと思う。

しかし、アメリカは、成功の中で、破壊と次なる成功に
チャレンジできる、というところが特異的で、
それはやはり、文化的なインフラ、というか、
教育も含めた精神構造や社会的な権力構造の違い、
に帰着してしまうのだろうか?

> ロボティクス、バーチャルリアリティ、マテリアルなど、
> 日本が世界でトップを走っている分野が、まだいくつか残っています。
> 日本から世界で戦える技術が生まれた際に、
> それを自分の国で産業化できないのは大きな損失です。

> 今、霞が関は日本のジョブズを見つけよう、などと言っていますが、
> 見逃し三振を避ければいいだけのことです。
> 世界で戦える技術が、日本にはまだ残っている。
> 国を見渡せば、現金も余っています。では、何が足りないのか。
> 圧倒的に足りないのは、技術とお金を結びつけて、
> ビジネスを作り出せるプロの経営者です。
> 来る日も来る日も、事業の不確実性や人間の弱さと向き合い、
> 志と勇気を持って捨て身で生きる人たち、
> 国全体に責任を持とうとする真のエリートが、
> この国には圧倒的に少ないのです。

> シャフトでの経験から、若者に言いたいことは、
> 世界で戦える技術があるなら、早く日本を出ろ、
> ということです。今や誰にも負けない技術があれば、
> 日本よりも世界の方が戦いやすい。
> 日本なら成功の確率が千に三ぐらいしかないものでも、
> アメリカやヨーロッパに行けば、一〇倍、一〇〇倍の人たちが
> 成功すると思います。外のルールは、内のルールと比べて、
> 才能のある人に有利にできている。

> これまでは日本で成功したら海外へ、と考えるのが普通でしたが、
> これからは世界で勝てば、日本でも勝てるという時代になるでしょう。
> 無限の可能性を秘めた技術が日本にはまだたくさん眠っています。

「外のルールは、内のルールと比べて、
才能のある人に有利にできている」
というのはそうだと思う。

才能のない人としては、
才能のある人に頑張ってもらえないと困るので、
せめて足を引っ張らないようにしたいものだが・・・

でもこの「才能のある/なし」が問題で、
一方では、すべての人には才能がある、
とも言えるし・・・

視野をきちんとコントロールして、
才能の種類を適切に判断できるか
ということなのかなぁ。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「PC、IT、AI」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事