少し立ち読みしたら面白かったので買った。
こういう本は普通は
ゴーストライターが書くものだと思うが、
この本の場合は、おそらく、
羽生さんがほとんど自分で書いていると思われる。
文章が素人っぽいというか、
プロなら書かないような文章がある。
「大局観」というタイトルだが、
むしろ、短いエッセイ集のような感じ。
羽生さんが日常考えていることの
一端に素のままで触れられるのが、
ファンとしては嬉しい。
逆に言うと、「大局観」を知りたい
という人にはちょっと・・・かも。
それにしても、ほんとうに
いろいろなことをよく考えている。
考えることが好きなのだなぁ。
たとえば「検索」について、こんなことが書いてある。
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検索に依存しすぎると、逆に自分の可能性を
小さくしてしまうのではないか、ということだ。
選んでいるのと同時に、たくさんのことを排除していて、
ユニークなこと、変わったことを考えたり、
試したりする機会が減ってしまうのではないかと思うこともある。
検索は検索で非常に有効・有能なツールであることは間違いないが、
それと同時に、自分で責任を持って懸命に考えて選択をすることも
大事だ。
そのプロセスから浮かび上がる発見や気付きは、
検索では得られないような気がする。
そうは言っても、棋譜検索なしで研究を続けてゆくのは
現状ではとても難しい。
一ヶ月ぐらいは影響ないかもしれないが、一年、五年、十年と
歳月をかけたデータの重みは想像以上に大きい。
検索をかけながら、検索の世界からは逃げてゆく、
そんな矛盾したテーマを眼前に突き付けられている
ような気がしてならない。
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そのとおりだと思うし、しかも、
最後のまとめの文が、
とても味わいがある。
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