日々の寝言~Daily Nonsense~

千葉雅也「勉強の哲学」

さらに続いて、千葉雅也さんの
「勉強の哲学」を読んだ。

この本は、とても良い本なのだが、
タイトルでかなり損していると思う。

「勉強」、「哲学」とくれば
それだけでも見向きもしない人も
多いだろう。

「-来るべきバカのために」
という副題がついているのだが、
これがまたよくわからない。

この違和感に引っかかる人は
いるとは思うが、そういう人は
既に勉強している人だろう。

それはともかく、内容は
とても良い本だった。

といっても、いわゆる勉強法的な
本を期待して読むと、最初の
「勉強は自己破壊である」
というところで終わるかもしれない。

そこを我慢して読んでゆくと、
最後にはかなり実践的な技術の話も
書かれているのだが・・・

さらに、この増補版では、勉強の先の
ものを作る部分まで書かれていてお得だ。

しかし、私にとっては、
この本全体が、フランス現代思想の
応用になっているというところが
とても面白かった。

「一般書」と「準研究書」の間くらい、
を狙っているということで、
そのネタばらし、文献引用も、
ちゃんとされている。

自分がこれまで、自分なりに
やってきたことが、整理されて
とてもすっきりした、というのもある。

能動的に根拠を疑って
垂直的に掘ってゆく「アイロニー」と
水平に転移・展開する「ユーモア」
という整理もわかりやすく、それがさらに、
「ツッコミ」「ボケ」「ノリ」という
言葉で説明されているのも素晴らしい。

身体性に由来する「享楽」が
勉強の有限性の担保となる
というのもうなづける。
そこには「締切」の効用
というのもあると思うが。

たとえば、このブログにしても、
「欲望ノート」の一種、素材庫なもの
と言えるかもしれない。

ネットなどを見ていて、
自分が興味をもったことや、
フックを感じた言葉を、
そのときに考えた断片とともに
書き留めているという感じ。

著者のように、ちゃんと
年表や EverNote にしておけば、
(今なら Notion だろうか?)
本が書けるのかもしれないが・・・
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