雪まつりの準備が始まる頃になると
札幌に来るのが習慣になった
大通公園のイルミネーションの写真を添えて
君への最後のメールを送ったのもここからだった
君からの返事は無くて
ちょっと不思議に思ったけれども
僕は忙しさにかまけて忘れていた
そして君は、
その一週間後に旅立った
ただ一言の言葉も残さずに
たった一人で苦しみながら
それから何年もが過ぎて
今もまだ僕は生きていて
冬の札幌に来ている
白い雪と凛として引き締まった冷たい空気は
君の美しい魂を偲ぶのにふさわしい
君が好きだった黒い滑り台や
君に似合いそうなかわいいチュチュも
ここにはあるのだし
そうしたものをぼんやりと
眺めて歩いていると
君と一緒に聴いた音楽が
頭の中によみがえる
そして僕は、
天国で君がすべての苦しみから解放されて
幸せにしていることを
いつかまたそこで君に逢えることを
うつむいて、足元の少し汚れた雪を見ながら
ただひたすらに祈るのだ
最新の画像もっと見る
最近の「旅行」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事