将棋の羽生さんが、アルファ碁のハサビスさんと
チェスをしていた。
羽生さんの好奇心と思考の柔軟さは
いつもながら素晴らしいと思う。
番組の内容には、あまり新しい情報はなかったが、
都市運営や国家運営に積極的に人工知能を導入しているという
シンガポールの試みはちょっとすごい。
「1982」の世界が、30年以上遅れて
遂にやってきたのだろうか?
人工知能がもたらすのは、そうしたディストピアなのか、
それとも、希望に満ちた世界なのか?
羽生さんの最後の言葉を引用しておきたい。
―――
将棋の世界でも過去の常識が人工知能によって否定されています。
でも、それは終わりではなく、新たな時代の始まりではないか、
今回の取材で強く感じました。
人工知能は世の中を便利にするだけでなく、
人間の可能性を広げるためにも使えるはずです。
しかし、忘れてはいけないことがあります。
驚異的な能力を持つ人工知能ですが、
それ自体に倫理観はありません。
使い方次第で、天使にも悪魔にもなります。
どうあれ、人工知能の進化は、もう止まらないでしょう。
私たちは、社会で、人工知能をどのように使ってゆくのか、
考えるときのように思います。
―――
視ていていくつか、疑問を感じた点もあった。
まず、人工知能が感情、心を持つ、
人工知能が人間を超える、
そういう人工知能が暴走する、
というのは、やや煽りのようにも感じられた。
チェス、将棋、囲碁で人間を超えたのも、
X線写真の読影で専門家を超えたのも、
きっと間違いないだろう。
そもそも電卓だって人間を超えている。
そういう話と、感情や心を持つ、
人間に近づき、人間を超える、という話は、
少し方向が違うのではないだろうか?
ハサビスさんが目指す汎用人工知能は、
社会を良くするために役立つもので、
そこにある種の直観や創造性は必要だと思うし、
学習から自然に生まれてくるのだろうと思うが、
感情や心を持って人間のようになる、ということとは
違うのではないかなぁ。
アルファ碁の延長線上にあるものと、
番組でも紹介されていたチャットボットのようなものとは、
同じものなのか、違うものなのか?
最後のほうで、孫さんや、オックスフォード大の人が言っていたように、
世の中に人工知能やロボットが増えたときに、
それが人間とは全く異質で、人間に興味が無い、というのは
確かに大きな問題になりそうなので、心のようなものが必要
になるのかもしれない。
「利」だけでなく「義」のような倫理観を持たせるためにも、
心が必要ということか・・・
でも、結局は、ある種の感情移入によって
「心を持ったように見える」ということであって、
人間のようにはなるのかどうか、
また、そうなる必要があるのかどうかは、
よくわからない。
そういえば、浦沢さんの PLUTO も
そのあたりのことを扱っていたと思う。
人工知能を備えたロボットは
憎しみを持つのか?というような。
もう一つの違和感は「第4次産業革命」というような話。
大量のデータの活用、人工知能、ロボット等によって
世の中が大きく変わる、世界は今、大きな変革期にある、
と言われると確かにそんな気もするのだが、
でも、普通に街を歩いていると、
ここが近い将来にロボットだらけになる、
というような感じはしない。
そう思っている間にも、
静かに世の中は大きく変わっている、
ということなのかもしれないが・・・
ちなみに、
第1次産業革命:水力機関や蒸気機関の発明による木綿生産などの工業化
第2次産業革命:電力と石油資源の活用による重化学工業の発達
第3次産業革命:ITと産業用ロボット(コントローラ)による生産工程の自動化やオフィスの情報化
だそうだ。
そして、第4次産業革命は、自動化・IT化の範囲の広がり、
特に、高度な知識や認知判断が必要な部分
(この象徴が、囲碁や医用画像の読影や車の運転なわけだろう)への広がりと、
自動化されたものがネットワーク化されて全体としてさらに効率化されること?
ロボットが増えるというようなことは
その中のひとつの現象ということであって、
その本質ではないらしい。
だとすると、見かけはそれほど変わらなくても、
裏では効率が上がって、便利になってゆく、
というようなことなのかもしれない。
* * *
ところで、今現在、世の中のロボットの台数
というのはいくらぐらいなのだろう?
「ロボット」の定義にもよるだろうが、
そういう統計はあるのかなぁ?
それが、人間の数を超えるような日は
本当に来るのだろうか?
ちなみに、携帯電話の契約台数は、
世界で既に人口を超えているらしいから、
まんざら幻でもなさそうな気もする。
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