日々の寝言~Daily Nonsense~

渡辺竜王お見事!

このところ、なかなかスルーしにくい将棋の話題が多い。

昨日(21日)行われた、渡辺竜王-ボナンザ(将棋ソフト)の対戦は、
大方の予想(というか期待)どおり、
人類代表^^である竜王の勝利に終わった。

竜王が、ボナンザ得意の四間飛車穴熊を正面から受けて立ち、
ほぼ互角の中盤から、ソフトの攻め急ぎをしっかりとがめて、
鮮やかに一手違いを読み切って押し切った。

ぎりぎりというよりはまだ余裕のある勝ち方で、
人類の強さを見せつけた格好だが、しかし、
ボナンザ側にも、大きな悪手はあまりなく、
コンピュータの長足の進歩をも印象づける一局だった。

ボナンザの商用パッケージを売っているマグノリアのHPによれば、
今回使われたマシンは、
ケース: 2U静音水冷式ラックマウントケース
CPU: Intel Xeon X5355 2.66GHz 8M
FSB1333 FC-LGA6 Clovertown x2 (8core)
M/B: Supermicro X7DBE 'RC Special
Memory: 8GB (1GB PC2-5300 ECC REG FB-DIMMx8)
OS: Windows x64 Edition
というものだったらしい。

これは1台のPCとしては、かなりのハイスペックマシンだ。
8コアだから、普通のPCより5倍くらいは速いだろう。
メモリーも8ギガ積んでいる。
開発者の保木さんによれば、一秒間に400万手読むという。

その分、ある程度深く読めたので、手の広い中盤でも
致命的な悪手がでなかったのではないかと思う。
中盤のさなかに出た71手目の▲6四歩などは、
一見とてもぬるそうに見えるが、指されてみるとなかなかの手で、
竜王も動揺したらしい。

しかし、逆に、ソフトが強いと言われていた終盤の入り口で、
竜王がしっかりと優位に立つことになった。
これは一見不思議だが、ある程度局面が狭くなったところでは、
人間のプロが狭く深く読めるのに対して、
ソフトは、そこまでは読む手を絞りきれないので、
読みの深さに差が出たのではないか、と思われる。
このあたりに、まだ壁がありそうだ。

ボナンザは、プロの将棋6万局を使って
盤面評価関数を学習させたらしい。
既にそこまでのデータを使っているとすると、
この先、さらに強くするのは難しくなってゆくと思うが、
強いソフトはボナンザだけでなく、激指などもあるので、
互いに競い合って進歩してゆけば、数年後には、
トップ棋士ともかなりやりあえるようになるかも、
と思わせるような勝負だった。

それにしても、今回の渡辺竜王は立派だった。
そもそも、勝って当然の勝負を受けてたった勇気だけでも素晴らしい。
それに加えて、おごらずにしっかりと準備した
(自宅PCのボナンザと100局近く指したという)周到さ、
相手の得意形を正面から受けてたった貫禄、
すごいプレッシャーに負けずに戦い抜いたしたたかさ、
終盤の鮮やかな龍切りで観客を魅了した強さ、
そして、日も明けぬうちに、
自分のブログに、内幕と詳しい解説を載せる、
超がつくほどのサービス精神。

どれを取っても、感動的に立派というほかはない。
今回の勝負で、ものすごく男をあげたと思う。

明日も、棋王戦の第4局がある。
5連続タイトル挑戦の佐藤棋聖が一気に奪取を決めるのか、
それとも、先手番が鬼のように強い森内棋聖・名人が
タイに持ち込むのか、野次馬の興味は尽きない。
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