韓国のイ・セドル九段の囲碁頂上決戦。
第2局から1日あいて、今日行われた第3局も
アルファ碁が圧勝し、3-0で
あっさりと5番勝負の勝ち越しを決めた。
序盤から乱戦になったが、
アルファ碁が終始うまく打ちまわして、
かなり早いうちに優勢を確立。
投了やむなしの局面となった。
しかし、イ・セドル九段は、そこでくじけず、
下辺の大きな確定地にあえて打ち込んでゆき、
コウに持ち込むことに成功した。
モンテカルロ木探索を使うコンピュータ囲碁は、
同じような局面が延々と続くコウが弱点
ということが知られているので、
その力を試したかったのかもしれない。
実際、アルファ碁の対応は不安定な感じにも見えたが、
大乱れすることはなく、肝心のポイントではきちんと打って、
李九段を投了に追い込んだ。
対局後の会見では「人間が敗れたのではなく、
イ・セドルが敗れただけだ」、という言葉もあったが、
将棋のようにハードを制限したり、貸出しをして研究する、
などをしないと、当面勝てる人間はいそうにない。
もちろん、勝敗が決まっても行われる
4,5局で思わぬ弱点が明らかになる可能性は
ゼロではないが・・・
* * *
それにしても、こういう展開を目のあたりにすると、
将棋連盟の米長さんの感覚は正しかったように思う。
今回の対戦、勝者の賞金は1億円だが、
イ・セドル九段の対局料は5局で 1,500万円くらいらしい。
米長さんは、将棋のときは、羽生さんを出すなら3億円出せ、
と言っていたという。
イベントとしてそれくらいの価値はあるだろう、ということだ。
その意味では、1,500万円はあまりにも安かった。
Google なら対局料 3億円と言われても出したのではないか?
実際、今回の宣伝効果は凄まじいだろう。
Google に宣伝する必要があるのかどうかは別として。
* * *
囲碁というゲームで勝っただけ、という意見もあるが、
こちらのインタビューで DeepMind の Hassabis 氏が言っているように、
(前の記事にも書いたように)
アルファ碁で使われている技術の大枠はかなり汎用性があるので、
今後、いろいろな問題に適用されてゆくと思う。
DeepMind が掲げる美しい社是
SOLVE INTELLIGENCE
知性を解き明かし
USE IT TO MAKE THE WORLD A BETTER PLACE
その成果をこの世界をよりよい場所にするために使う
を実現してくれることを祈りたい。
たとえば、アルファ碁も、今後、人間が
囲碁というゲームを研究するための
すごく良いパートナーになるだろう。
Hassabis さんたちは、それと同じように、
科学的、医学的研究のパートナーを作ろうとしているようだ。
個人的には、人工知能に一番期待しているのは、
今の資本に駆動された終末的な世界を終わらせること、だ。
「資本」の貪欲さをエネルギーとするグローバルな経済競争に
追い立てられて、人々は毎日を忙しく過ごし、分断されている。
そうではなくて、
すべての人間が、人間的な生活、自分らしい生活を取り戻すために、
アドラー的に言えば、自分の人生の主人公になれるように、
人工知能が役立つことを願ってやまない。
とりあえずは DeepMind のホームページで発表されている
ヘルスケアへの応用がどうなるかに注目したい。
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