東日本大震災(東日本巨大地震)で機能不全に陥った福島第1原発で東電の作業員が必死の対応を続けている。
現場では被爆した人もいると報道されている。
爆発するかもしれない原発に近寄りたい人はいないだろう。
大変危険で判断の難しい作業を限られた人員で行っている現場の人達には頭が下がる。
格納容器が損傷する前に炉心冷却に成功するように祈っている。
原発の稼働停止で電力供給不足が生じて計画停電が行われている。
この影響は大きく、混乱も見られる。
最大の懸案は、停電の場所と時間が確定されないことだ。
このリスト作成は大変困難な仕事である。
東電の人手不足は明らかで、暫定的で大まかなリストしか発表できていない。
批判は受けても東電においては、毅然とした態度をとって、大惨事を避けるために優先度に応じた対処をして欲しい。
この点について各新聞社の報道には首をかしげざるを得ない。
地名の違いや時間の不正確さで大騒ぎをしている。
今の時点で完璧な停電リストを作成することが最優先だろうか。
電力需要の予想もつかない中で、最低限の人手を使ってリストを作成した努力は買うべきだ。
もちろん不正確なリストでは混乱が起きるが、今回のような災害の後では致し方ない。
なかには予定されていた停電が起きなかった、と不平を述べる人がいることに驚きを覚える。
今は非常事態だという意識はないのだろうか?
今回の災害は不便きわまりないが、不満のやり場を今東電に求めるのはいかがなものか。
原発事故処理と電力供給に少しでも集中できるようにみんなで応援するべきではないだろうか。
アメリカでは今回の原子力発電所事故を受けて、原発の安全性についての議論が活発化している。
その中で、アメリカの原発はマグニチュード 7.5 までの地震が近くで起きても大丈夫なように設計されている、と明かにされた。
逆に言うと今回のような巨大地震(マグニチュード9)が来れば、今回と同様な炉心溶融をおこす原発事故につながる可能性が高いと言うことだ。
これまで日本では原発の安全性ばかりを強調して、事故に対する対処法を公に議論できない風潮があった。
日本独特の「本音と建前」の弊害の一つだ。
炉心溶融が起きている可能性が高い、としか言えない政府では正確な対処ができるかどうか不安だ。
現段階では炉心溶融が起きているのでこれらの対策が必要だとはっきり発表するべきだ。
初期段階で、「念のための避難」などと表現するようでは情けない。
弁解放の時期も放射能漏れを懸念するあまり時機を逸して水素爆発につながっている。
原発事故の対応は大変難しい。
建前をかなぐり捨てて本音で勝負しても困難が予想される。
きれい事では済まない。
今回の政府の対応を見ていると、危機感の欠如が明らかだ。
絶対と言うことはあり得ないという前提で、事故処理方法を徹底的に検証できる社会になる方が安全だ。
今の日本は原発なくしては立ちゆかなくなっている。
電力が供給されなくなったら日常生活に不便を来たし、各種産業が大打撃を受ける。
原発は無い方がよい建前だけではどうにもならない。
有事の際にどうするかを各国の事故から学び、より安全性を高めていく必要がある。
原発事故はあり得ないから、事故処理を議論しないという理論は早く捨てて欲しい。