ドコモがiPad用のSIMを発売すると発表した。
何気ないニュースのようだが、携帯電話界にとっては激震ではないだろうか。
これまで日本の携帯電話業界はとても閉鎖的で、顧客の囲い込みを悪行と考えない風潮があった。
考えてみればおかしな話で、利用者側にキャリアの選択権があると考えるのが普通だ。
これまで、電話会社がその選択肢を狭める様々な制限を強要することを社会が容認してきた。
もちろん世界的に見てもそのような制限はあるのだが撤廃される方向にある。
その動向を牽引しているのがグーグルであり、アップルだ。
グーグルのアンドロイドはSIMの差し替えが自由にできるように設定されているし、アップル社もiPadからSIMフリーを掲げてきた。
SIMフリーなら携帯電話の会社を自由に選択できるし、世界中どこに出かけても、自分の携帯が使用できる。
世界標準の電話機は日本と韓国でのみ使えないというばかげた状況は早く是正して欲しい。
近視眼的である。
短期的な業界保護のためには役立つかも知れないが、競争力がつかないし、利用者に不便を強いることとなる。
アメリカにおけるアップル社のAT&Tとの独占契約は、iPhoneを立ち上げるために好都合だったが、ここに来て足枷となっている。
アップル社の失策である。
もちろんベライゾン側も「アップルは電話に関しては素人だから」とまともに相手にしていなかったという失態を犯している。
お互いに高飛車に出て話がまとまらず、おこぼれに預かったのがAT&Tという構図だった。
最近アップルとベライゾンは互いに秋波を送りあっている。
今週にはベライゾン社用の電話が発表になるのではと思われていたが音沙汰無しである。
どうやらまだ障害があるらしい。
ドコモにしてもベライゾンと同じで、業界1位のプライドが高く、新参者には頭を下げられないという気概があったのだろう。
ここに来てようやくそんなプライドは足を引っ張るだけで損だ、ということに気付いたらしい。
iPadとアンドロイド用のSIMを単体で発売するという。
これはSIMフリーに向けての大きな第一歩である。
利用者にとっては歓迎するべき方向だ。