神社仏閣の石造物に興味を持つようになってから3年、江戸時代の年号にも随分慣れてきた。最も良く出会う年号が文化、文政、天保である。鳥居や石灯籠、狛犬などで見かけることが多い。西暦でいうと1804年から1844年の40年間である。江戸時代の後期で庶民の文化も成熟した頃である。地方の小さな神社にまで石灯籠や狛犬が置かれるようになり、小さな子犬のような狛犬が拝殿前に鎮座しているという風景は田園地帯の小さなお社にも見られるようになった。しかし、そんな地方では江戸時代始め頃の年号に出会うことはない。経済的に裕福な支配層でなければ石造物など奉納できるはずもないからだろう。そんな古い時代の年号が記された石造物を持つのは歴史ある街中の有力な寺社仏閣ということになるのかもしれない。慶安三年という年号の石灯籠を見つけたのは姫路の総社である。総社の石鳥居は慶安五年に時の姫路城主が寄進したことが知られていて、そちらは県指定の重要文化財になっている。慶安年間は西暦では1648年から1652年の4年間であり、ヨーロッパではフランスのパスカルが自然科学の原理を発見したような時代。日本は江戸幕府の第三代徳川家光の時代で、幕府が参勤交代を制度として義務化してから10年ほど経った時代である。

30秒の心象風景9672・慶安の石燈籠~姫路総社~
https://youtu.be/3xJGaE5VEDk

30秒の心象風景9672・慶安の石燈籠~姫路総社~
https://youtu.be/3xJGaE5VEDk