壺坂霊験記という言葉と浪曲を聴いた記憶があります。それが壺阪寺にまつわる話だということはなんとなく感じていたのですが、実際に訪れて見ると山の険しい場所にある古刹です。現在はバスで手軽に上れる感じですが、そのバスでも山道をくねりながら登るのです。江戸時代以前には大変な参詣道であったことは間違いありません。古代から続く山岳信仰の歴史が見えてきます。壺坂霊験記に登場する「お里と澤市」の夫婦愛から生まれた奇跡は、この険しい霊場が舞台なのです。巨大石仏が存在感を増している現在の壺阪寺ですが、「お里と澤市」の奇跡を伝える像も奉られています。浄瑠璃で人気を得、浪曲など庶民文化となって広まっていった壺坂霊験記は、ここでは今も大切な物語になっているのです。
30秒の心象風景29741・お里 澤市~壺阪寺~
https://youtu.be/P-JUW4gjPDg