映像詩

デジタル映像による心の表現
(映像作品制作を通して感じたこと)

4531-壺坂霊験記

2025年01月04日 | 30秒の心象風景

 壺坂霊験記という言葉と浪曲を聴いた記憶があります。それが壺阪寺にまつわる話だということはなんとなく感じていたのですが、実際に訪れて見ると山の険しい場所にある古刹です。現在はバスで手軽に上れる感じですが、そのバスでも山道をくねりながら登るのです。江戸時代以前には大変な参詣道であったことは間違いありません。古代から続く山岳信仰の歴史が見えてきます。壺坂霊験記に登場する「お里と澤市」の夫婦愛から生まれた奇跡は、この険しい霊場が舞台なのです。巨大石仏が存在感を増している現在の壺阪寺ですが、「お里と澤市」の奇跡を伝える像も奉られています。浄瑠璃で人気を得、浪曲など庶民文化となって広まっていった壺坂霊験記は、ここでは今も大切な物語になっているのです。

 

 


30秒の心象風景29741・お里 澤市~壺阪寺~
https://youtu.be/P-JUW4gjPDg


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4530-御本尊

2025年01月03日 | 30秒の心象風景

  壺阪寺の御本尊は室町時代に造立された千手観音座像です。壺阪寺の開創はそれよりも古く、現在の御本尊は、何度も火災に遭ってその都度再建されてきた歴史を伝えるものです。奈良・平城京を開いた元正天皇は皇女の折り、壷阪寺に詣で眼病の治癒を祈ったと伝えられ、白鳳という古い時代から壷阪観音として多くの人に親しまれています。また、桓武・一条の天皇の眼病も平癒されたと伝わります。そして、明治に生まれた壷坂霊験記は義太夫や浪曲に取り組まれ、歌舞伎や人形の舞台で演じられているのです。四十の慈手をひろげ、その一手に二十五有界の衆生の苦しみを救うと説く観音の姿を間近に見上げることができるのは有り難いことです。

 


30秒の心象風景29722・御本尊千手観音~壺阪寺~
https://youtu.be/DWiNG9eIT2U


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4529-新しい塔

2025年01月02日 | 30秒の心象風景

 平成時代に新たに生まれた多宝塔です。開創から1000年を超える古刹の壺阪寺に新たな仏塔が建立されました。壺阪寺には奈良時代以前の古い様式を伝える三重塔がありますが、それに加えて、平安時代に生まれた新しい形式の多宝塔が加わったのです。寺の案内では、平成15年が壷阪寺開創1300年となり、宝塔の建立を発願したとありました。平成14年4月の落慶ですが、ご本尊の大日如来は、平安時代の古いものとあります。幾たびも火災で失われた伽藍を復興した歴史を持つ壺阪寺では、新たに生まれた仏塔になるのでしょう。

30秒の心象風景29704・平成の多宝塔~壺阪寺~
https://youtu.be/aINbHt9IEaI


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4528-石造の四天王像

2025年01月01日 | 30秒の心象風景

 仏像彫刻に興味を持つようになったのは、20歳代の後半頃だったかと思います。仏教についての知識が増え、その理解が深まる中で、仏像に対する見方も変わっていったのです。宗教としての仏教というより、精神文化の一つの柱として、その考え方にひかれるようになっていったのです。仏教に触れる最初のきっかけは、三重塔のような仏塔でした。そこから、仏像の存在のほうに意識が移っていったのです。そして、仏教そのものを知ることになったのです。哲学的な思考をもつ原始仏教から大乗仏教へ、その歴史的な変遷が見えてくるようになり、仏像はその象徴として、重要な役割を果たしていると感じるようになったのです。偶像崇拝という一面的な要素にとどまらないものが見えてくるようになりました。

 

 


30秒の心象風景29688・石造四天王像~壺阪寺~
https://youtu.be/65ad0BU__ko


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4527-橿原神宮前駅

2024年12月31日 | 30秒の心象風景

  宿泊したホテルは近鉄の橿原神宮前駅を見下ろせる場所にありました。部屋の大きな窓から駅全体が見えるのですが、駅舎の向きと線路の方向が入り組んで複雑な形状になっています。駅で降りたときにも、どちらが正面なのかよくわからない感じで、駅構内の様子も駅前の雰囲気を感じさせるものでした。構内には遮断間のある踏切のようなところを通り東口の改札に出ました。正面の改札とは別の印象です。ウィキペディアによると駅の歴史は複雑で、それがこの形になったようです。最初に生まれたのが大阪電気軌道畝傍線と吉野鉄道らしく、それが延伸し、吸収や合併、統合を経て、最終的に駅前の再開発が行われ、現在の形になったようです。

30秒の心象風景29675・夜明けの後~橿原神宮前駅~
https://youtu.be/ecTABNfM058


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4526-他では見ない形

2024年12月30日 | 30秒の心象風景

 神社を訪れると必ず迎えてくれるのが狛犬です。有力な神社には江戸時代から現代まで多くの狛犬が鎮座しています。江戸時の狛犬には地方色豊かなものから、名のある石工の洗練された技を見ることができるものまで多様なものがあります。大阪の大都会に境内を持つ大阪天満宮には、拝殿前に一対の石造狛犬があるのですが、その造形は他では見ないものです。菩薩など仏像彫刻に見られる装身具のようなものを身につけた形で表現されているのです。髪の形や尾の表現も他では見ないものです。また、どちらも阿形で、阿吽を対にする形ではありません。拝殿前は近寄ることができない状態で、造立された年号などの情報は得られませんでした。そこで、webのサイトを探ってみると「狛犬ではなく、像高110cmほどの白大理石製の中国獅子である。それも新しいものではなく、明代(1368~1644)の貴重な彫刻である。」とのことでした。歴史的には、かなり数奇な運命をたどってここに鎮座することになったようです。もとあった狛犬が、金属供出という戦前の不幸な歴史も背負っているようです。

30秒の心象風景29665・狛犬~大阪天満宮~
https://youtu.be/SERBorXpKdE


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4525-シリーズ絵画

2024年12月29日 | 30秒の心象風景

 広重のシリーズ絵画を楽しんでいます。いま続けているのは名所江戸百景で、デジタル画像のデータを映像作品にすることで、全体の構図だけでなく細部の表現にも見どころを探る試みを続けています。縦長構図の絵画を横長の動画にするには、パンニングが必要で、そのときに、トリミングされた部分に視点が誘導されます。今回は  62『名所江戸百景 八ツ見のはし』です。タイトルの内容を理解するには江戸文化についての知識が必要になることが多いです。今回は、専門家の情報によって「八ツ見のはし」の意味が理解できたところです。『一石橋の上に立つと、外堀川に架かる呉服橋と鍛冶橋、道三堀の銭瓶(ぜにかめ)橋と道三橋、日本橋川・北方向の常盤橋、西方向の日本橋、江戸橋と7つの橋が見えたという。それに一石橋自体を加えて、「八ツ見の橋(やつみのはし)」「八見橋(やつみばし)」と呼ばれたそうです。』

 

30秒の心象風景29647・八ツ見のはし~広重の名所江戸百景~
https://youtu.be/PBvWPqIKbtQ


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4524-ご本尊

2024年12月28日 | 30秒の心象風景

 ご本尊を間近に拝むことができるだけでなく、撮影もできるという壷阪寺です。西国霊場という古い由緒を伝え、多くの信仰の歴史が現在に伝わる古刹です。しかし、明治時代という社会の変革期に、仏教的な表現で言う「法難」にあい、廃寺になりかけたというのです。現在の姿は、きわめて現代風に思えますが、江戸時代に生きた人々が信仰したかたち、それもその時代の今風なのかもしれません。現在のSNSを利用した普及活動は世界レベルです。インドとのかかわりは、天竺と呼んでいた時代よりも密接だといえるかもしれません。

30秒の心象風景29651・ご本尊千手観音~壷阪寺~
https://youtu.be/lY7JhWFTZLs


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4523- 有明の月

2024年12月27日 | 30秒の心象風景

    有明の月という表現の知ったのは、かなり年齢を重ねてからのことです。若いころには、早朝に空を見上げるような時間を持つことはなかったでしょう。いつも目先のことだけに振り回されていたような気がします。そして、日課としてのビデオ撮影を続けるようになって、様々な被写体探しの経験からいろんなものに対しての観察眼が鍛えられたのでしょう。また、ビデオカメラのレンズ性能がよくなり、肉眼以上に被写体に迫れるようになったというのも関係するでしょう。そして、文学的表現に親しめる心の余裕ができたこともその要因となっています。

 

 

30秒の心象風景29648・青天に~有明の月~
https://youtu.be/BQ3LTEFG7h0


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4522-列車の撮影

2024年12月26日 | 30秒の心象風景

 朝の散歩に出たのですが、日頃の習慣で列車を見ると撮影してしまうのです。踏切の警報音が合図となって、体の向きが変わって行きます。自宅から数分のところに駅があり、駅の近くにある踏切の警報が次々と順に鳴り始めるのです。上り列車か下り列車か、ある程度記憶している列車の時刻表と脳内で照合させながら、撮影ポジションを探ります。列車の向きと、背景、手前の障害物などを勘案しながら移動してポジションを探ります。フレームインにするのか、どこまで追いかけられるか、これも脳内でカメラアングルや画角などカメラワークを探るのです。列車が見えてくると車番を確認するのも習慣になっていて、自然にカメラワークに組み込まれます。今回は、3507と3506の連結した4両編成でした。

 


30秒の心象風景29645・2番ホームで~福崎駅~
https://youtu.be/HWyOwwfC04M


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