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ペレアスとメリザンド9

海と命


ドビュッシー愛好家にとって「ペレアスとメリザンド」
オリジナルヴァージョンの公演に携わる事が出来たのは
何にも替えることのできない宝物。

ネットでは
カットがあったとか、ハープの部分がコントラバスになっていたとか
面白いご意見も目にしました。

先日のblog記事でカットの件についてお答えさせていただきましたので
今日はオーケストレーションの違い(コントラバス)について一言

ミンコフスキ さんによりますと
今は楽器の状態も良く、正しい音程で演奏できる楽器・コントラバス、奏者・コントラバスィストが居るけれど
当時はドビュッシーの望む音が出なかったという理由でそのパッセージをハープに委ねたそうです。
今日、きちんと弾ける奏者が存在するからには
ドビュッシーの望んだオリジナルのオーケストレーションで。という事でした。

そのほか、ご質問おありでしたら是非コメントかメッセージ下さい。
全てお答えします。スッキリしましょう!(笑)

話が逸れてしまいましたが

海と命について


日本は海に囲まれた島国ですので
海への概念が若干違うところもありますが、


そもそも海は命の「誕生」
地球の生物、人類の起源、Abiogénèse
生命の源であり、また荒波によって命を落とす危険をも孕む
「死」へ帰する所


これまでにフランス人の指揮者、巨匠・ベンツィさんやメルシエさんなどと
「La Mer」を演奏していますが、皆さん la mère(母)、Le mort(死)の関連性を言及されていました。
ラ メール ル モール


「今夜は嵐が来る」にもかかわらず出航する船
「難破するだろう」(ペレアス)

失われる運命、不吉なストーリーを想起させる
1幕の水夫の声が会場にどう響くか
ミンコフスキ さんは金沢の会場でも
東京オペラシティにおいても
立ち位置や響きかた、発声法など細かい指示をされ
綿密な準備がなされました。



メリザンドの水溶性は語るまでもなく
「ペレアスとメリザンド」によって
伏線が仄めかされたLa merの姿を垣間見る事が出来ます。

ドビュッシーが生涯にわたり追求された流動的な感覚

自然環境における水分の変幻自在さが
海、水、泉、雨、雲、風、嵐、霧など

登場人物の五感を通して
聴、触、 (味)、 嗅、視

描写される音群に息をするのも忘れるほど聴き入ってしまいます。


ちなみに3幕最初の音型は雨。


ドビュッシーが途方も無い時間をかけて仕上げた作品ですので
blogの記事でちょこっと取り上げるには重すぎる課題。

今後も演奏者としての感想を少しずつ綴りたいと思っています。
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