ドビュッシー愛好家にとって「ペレアスとメリザンド」
オリジナルヴァージョンの公演に携わる事が出来たのは
何にも替えることのできない宝物。
ネットでは
カットがあったとか、ハープの部分がコントラバスになっていたとか
面白いご意見も目にしました。
先日のblog記事でカットの件についてお答えさせていただきましたので
今日はオーケストレーションの違い(コントラバス)について一言
ミンコフスキ さんによりますと
今は楽器の状態も良く、正しい音程で演奏できる楽器・コントラバス、奏者・コントラバスィストが居るけれど
当時はドビュッシーの望む音が出なかったという理由でそのパッセージをハープに委ねたそうです。
今日、きちんと弾ける奏者が存在するからには
ドビュッシーの望んだオリジナルのオーケストレーションで。という事でした。
そのほか、ご質問おありでしたら是非コメントかメッセージ下さい。
全てお答えします。スッキリしましょう!(笑)
話が逸れてしまいましたが
海と命について
日本は海に囲まれた島国ですので
海への概念が若干違うところもありますが、
そもそも海は命の「誕生」
地球の生物、人類の起源、Abiogénèse
生命の源であり、また荒波によって命を落とす危険をも孕む
「死」へ帰する所
これまでにフランス人の指揮者、巨匠・ベンツィさんやメルシエさんなどと
「La Mer」を演奏していますが、皆さん la mère(母)、Le mort(死)の関連性を言及されていました。
ラ メール ル モール
「今夜は嵐が来る」にもかかわらず出航する船
「難破するだろう」(ペレアス)
失われる運命、不吉なストーリーを想起させる
1幕の水夫の声が会場にどう響くか
ミンコフスキ さんは金沢の会場でも
東京オペラシティにおいても
立ち位置や響きかた、発声法など細かい指示をされ
綿密な準備がなされました。
メリザンドの水溶性は語るまでもなく
「ペレアスとメリザンド」によって
伏線が仄めかされたLa merの姿を垣間見る事が出来ます。
ドビュッシーが生涯にわたり追求された流動的な感覚
自然環境における水分の変幻自在さが
海、水、泉、雨、雲、風、嵐、霧など
登場人物の五感を通して
聴、触、 (味)、 嗅、視
描写される音群に息をするのも忘れるほど聴き入ってしまいます。
ちなみに3幕最初の音型は雨。
ドビュッシーが途方も無い時間をかけて仕上げた作品ですので
blogの記事でちょこっと取り上げるには重すぎる課題。
今後も演奏者としての感想を少しずつ綴りたいと思っています。
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