【速報】昨日、USTRが発表した「日米貿易交渉の目的の要旨」。17ページにわたる文書をざっと読みとりあえず速報を。まず米国が定義したこの協定名は「日米貿易交渉(United States-Japan Trade Agreement (USJTA) 」。繰り返し言いますが、日本政府のいう「TAG」などという単語は一言も出てきません。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:19:30
単に名付けの問題ではなく、「米国の交渉目的」では実に22分野がカヴァーされています。つまり米国にとっての日本との協定は、包括的なFTAを指していることが改めて確認できます。以下に、米国が対象としている分野を列記します。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:21:32
【米国によるUSJTAの交渉分野】①物品貿易②衛生植物検疫(SPS)③税関、貿易円滑化、原産地規則④貿易の技術的障害(TBT)⑤よい規制の慣行⑥透明性、公告、運営⑦サービス貿易(電気通信及び金融サービス含む)⑧デジタルの物品貿易およびサービス、越境データ移転⑨投資
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:27:31
⑩知的財産権⑪医薬品及び医療機器における手続きの公正⑫国有企業⑬競争政策⑭労働⑮環境⑯反腐敗⑰貿易救済⑱政府調達⑲中小企業⑳紛争解決㉑一般規定㉒通貨(為替操作)。--基本的にはTPPとほぼ同じ分野をカヴァーしています。「物品貿易のみ」という日本政府の説明は完全に通りません。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:32:04
ざっと読んだところ、それぞれの分野で米国が獲得しようとしている内容は、基本的に①TPP協定水準のもの、②TPP協定より自由化水準が高かったり、米国企業側に有利なルール(=新NAFTAの水準)となっています。つまりTPP水準は当たり前で、加えて一部の分野ではさらに有害なルールを求めています。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:36:49
また大きな点では、TPP協定には結局入れ込めなかった「為替操作禁止条項」と思われる分野も、最後の22項目目に書かれています。これは新NAFTAでも韓米FTA再交渉にも入った条項で、いわばTPP離脱後に米国が強硬に入れ込んだ条項。これが日米貿易交渉にも入れたいというのが米国の意向。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:39:27
それにしても10月以降、全産業、国民へのパブコメや公聴会など日米貿易交渉に向けた準備を着々と進めてきた米国に比して、日本では国会でも「TAGなのか」「そうではない」という低レベルの議論に終始し、国民向けに何の準備も発信もなされていないことが最大の問題だろう。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:42:17
だいたい、日米貿易協定はどの省庁が担当するのかも定かでない。先週あたりにTPP等政府対策本部に問い合わせたが、「おそらくうちが・・」というような返答だった。日本には通商交渉を包括的に担当する省庁はなく、TPPでは対策本部、日EUでは外務省主導、というようにバラバラ。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:44:42
USTRの「交渉の目的」にあたる文書についてもそうだ。米国も欧州委員会も、交渉前にパブコメや業界ヒアリング、公聴会を行い「交渉の目的」(EUではmandate)を作る。これは日本政府がいつも出す大雑把なペーパーとは違い、各分野の獲得目標や協定文に入れるべき条項等まで書き込まれている。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:49:08
本来先の臨時国会で、日本にとっての日米貿易協定の目的や、交渉範囲、入れるべき/入れてはならないべき条項等の議論をするのが当然だった。しかしそれも行われず、パブコメや公聴会も当然なく、このまま年明けに交渉開始、というひどい事態だ。まずはUSTR文書を読み伝えることからしなければ。
— 内田聖子/Shoko Uchida @uchidashoko 2018/12/22 14:53:33