松阪いさおと中央区を元気にする会

中央区民をはじめ広く大阪市民の皆様の意見をお聞きして大阪市政に提言する政治団体です

あなたの知らないうちに進んでいる大阪市の「都構想化」

2021年06月02日 | 市民の方々との対話
大阪市議会で進むヤバいこと
今日は2021年6月2日です。(2020年ではありません)
現在はコロナ感染症の緊急事態宣言が延長された最中であり、ワクチン接種をいつ受けられるのかということに世の中の関心が集まっているこの時期に、なんと大阪市議会ではとんでもない恐ろしいことが進んでいます。
 
 3月26日に可決された「広域行政一元化条例」を実効あるものとするために、大阪市と大阪府の間で2本の「規約」を議会の中だけで決定してしまっていたのです。
 新聞報道などメディアからの情報はまったくありませんでした。

その規約とはこれです
1 大阪の成長及び発展に関する基本的な方針に関する事務の委託に関する規約
2 広域的な観点からのまちづくり等に係る都市計画に関する事務の委託に関する規約

 条例の可決といい規約の決定といい、確実に「大阪都構想」はなし崩し的に実現に向けて進んでいます。大阪市の廃止は諦めたように見えますが、「大阪維新の会」は、密かに「都構想化」をすすめ、大阪市民から財産と自治権を奪おうと虎視眈々と狙っています。

今日のブログではその恐ろしさを十分に体験いただけるようにわかりやすくその内容をお伝えします。

世にも恐ろしい規約その1
幕末の不平等条約以上に大阪市民に負担を強いる規約だった

 大阪市から大阪府に委託する事務の内容についてこの規約に書かれているのは、
①大阪の成長戦略
②大阪の再生・成長に向けた新戦略
③万博のインパクトを活かした大阪の将来ビジョン

とあり具体的にどんな事業、事務を委託するのかは書かれていません。
細かいことは後で決めるので、とりあえず大まかに大阪市の事業を大阪府に委託しますという内容です。しかしお金は大阪市が出します。
という規約なんです。

しかも具体的な事業の決定については議会の審議は不要で「副首都推進本部」で決定できるとしています。
白紙委任状でお金だけを大阪市が負担するという恐ろしい内容で、これは幕末の不平等条約以上に市民とって不利な内容を含んだものです。

世にも恐ろしいことその2
三重行政が発生しています

 都市計画の事業について大阪府に委託することを規約で決定していますが、この中に新たな役所の部局として「大阪都市計画局」なるものを設置するとしています。
 この新たな部局が大阪の都市計画を一手に引き受けるかというと、そうでもなく、規約に定められた都市計画事務以外の都市計画に関する事務は大阪市役所の大阪市都市計画局が引き続き行い、大阪府下の都市計画については大阪府都市整備部・住宅まちづくり部が今まで通り行うこととなるので、二重行政ならぬ三重行政になり市民や事業者にとってはどこが相談窓口かわからないという事態が発生します。

世にも恐ろしい規約その3
経費が増え決定スピードも遅くなります

 この「大阪都市計画局」は名前も大阪市都市計画局と紛らわしいですが、職員は、大阪府の職員が100名、大阪市の職員が30名という大所帯となり経費もかなり必要となっています。経費は増えるだけでなく窓口が複雑化して市民は混乱するといった状況が発生します。そして計画の決定については、大阪市内に関することは今まで通り大阪市都市計画審議会に図らなければならず、今まで以上に決定までに時間がかかります。

 このように、大阪市民とっては、都市計画に関して自治権を失うばかりか、お金と職員だけちゃっかり持っていかれ、決定までの時間も今よりかかるという踏んだり蹴ったりの恐ろしい規約です。  
 しかもこの規約は、たとえ大阪市長が「大阪維新の会」でない人に変わり大阪市議会で廃止したとしも大阪府議会で廃止しない限り規約は廃止できない本当に不平等条約そのものなんです。

 みなさん、この規約の恐ろしさを体感いただけたでしょうか?
 もう「大阪維新の会」は大阪市を「都構想化」するためになりふり構わずです。
 三重行政になろうが、お金がいくらかかろうが、決定までの時間が延びようがおかまいなしです。
 今後、さらなる「都構想化」に向けて「総合区」という議論を吹っかけてくるでしょう。
 大阪市民の力を合わせてこの「大阪維新の会」の蛮行と戦っていきましょう。
 そして、次の大阪市議選市長選挙では大阪市民の自治権を取り戻す闘いに勝利するために大きなうねりを作ってまいりましょう!



「二重行政」が大阪経済低迷の原因ではなかった

2021年06月01日 | 市民の方々との対話
 「大阪維新の会」は「二重行政」が原因で「企業は大阪からどんどん逃げていく」と主張されておられます。
(「大阪維新の会」HP「都構想まるごとスッキリBOOK」 P12)
 しかし、この主張には何ら根拠がないことが大阪府の調査で明らかになっていたのです。
 2019年の大阪府商工労働部の調査によれば、大阪にある企業本社の件数は横ばいで推移していることが分かったのです。(グラフ図表3―2参照)


ただ資本金の100億円以上の大企業の移転は1999年以降進んでいるとしています。しかし大阪から本社を移転した理由は「大きなマーケットの存在、インフラ整備、効率化、新たな市場開拓などが挙げられる」と報告しており、「二重行政」が理由だとは一言も触れられていませんでした。
(グラフ図表3−1参照)

(「大阪における本社移転の要因に関する調査」 大阪府商工労働部2019年)

 このグラフによれば1999年までは本社企業数は増加しています。「二重行政」は1999年以降に始まったわけではないですから、このグラフを見ただけでも企業の大阪からの転出は「二重行政」のあるなしとは全く関係なく増減していることがわかります。

 この調査では、中小企業も含めた企業の東京への移転理由として、
①首都圏への本社移転は、自社内での拠点集約やM&Aなどが背景にある。
②首都圏の優秀な人材、マーケット、良好なアクセス、情報への魅力
をあげています。

 逆に関西の他県からも同様の理由で大阪に本社を移転する傾向があるとしていました。
 つまり、大阪には依然として大都市としての魅力は存在しており、首都圏への転出はあるものの関西圏からの転入もあり、本社企業の件数が現象しているわけではないことがわかりました。
 
 この調査から、「二重行政」が原因で関西経済の低迷をまねき「企業が逃げていった」とは言えないことを大阪府自らが証明していたのです。
 「二重行政」が関西経済の低迷を招いたとする「大阪維新の会」の主張が、根拠のないものであることが大阪府の調査からも明らかとなりました。

 また、この調査では、企業が本社を置くための条件として
「大都市部特有の優秀な人材やマーケットの存在、情報の入手機会、良好なアクセス、対ビジネスサービス産業などを重視している」ことをあげており、この点において大阪には企業を惹きつける魅力がたくさん存在し、特に大阪は「東京と比べて立地コストが低いことが魅力」があると報告していました。

首都圏では企業の東京脱出が始まっていた
2021年5月30日の日経新聞に、
「企業、コロナで都心脱出」
とあり、大企業、中小企業問わず、コロナの影響で本社を東京から地方へと移転する企業が増えていると報じていました。
企業が本社を移転する場合、どのような条件でその移転先を選ぶのでしょうか?
その条件について考えてみました。
日経新聞記事URL https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72415670Q1A530C2MM8000/

企業本社移転にみる3つの要素
 同記事によると、本社を移転させたほとんどが売上高10億円未満の中小企業だそうですが、移転の際の選択の要素として幾つか挙げています。

 都心への距離が適度な郊外であること、通勤などのアクセスが良いことなどです。
 また、移転先の多い都市から順に上げると、横浜市、川崎市、さいたま市、川口市となっており、宇都宮市や軽井沢町といった少し遠い都市もありました。
 この調査結果からいくつかの傾向性が見えてきます。
 以下3点にまとめてみました。

1 東京の都心から移動時間が1時間程度以内で行くことのできる範囲であること
2 優秀な人材が獲得できる環境であること
3 地価やオフィス使用料が安いこと


「都構想」ではない大阪に企業を誘致する方法
日経新聞の記事と大阪府の調査の結果を考え合わせてみると、
今後大阪に企業を誘致するために取り組むべき課題として次の3点が挙げられます。

1 交通インフラの整備によりアクセスの向上をはかる
 リニア新幹線の整備を中心とした整備新幹線網の建設により大阪が西日本の中心的なハブ都市になるべくインフラを整備することが必要です。
 日経新聞の記事にあった東京都心部からの本社移転先の条件としてアクセスの良さがありましたが、大阪が東京と1時間ほどで結ばれるリニア新幹線を整備できれば東京からのアクセスが格段に向上し、企業を誘致することが期待できます。

2 首都圏よりオフイス立地コストが安く抑えられること
 首都圏にはない大阪の魅力の一つである立地コストの低減に向けてしっかりと取り組むことが大事です。
 特区などの活用で建築基準法の制限を緩和して、建物の容積率や高さ制限を緩和するこでよりいっそうオフィス立地コストを抑えることが可能となり、他都市との競争力も高まります。

3 優秀な人材が雇用できること
  関西3府県には優秀な人材を輩出できる大学など高等教育機関がたくさん存在しており、首都圏と比べても劣らない優秀な人材を確保できる環境にあります。
 関西の強みとして大学との連携により即戦力となる優秀な人材育成にこれからも取り組むべきでしょう。
  
「制度いじり」では発展は不可能
 「大阪維新の会」の進める「大阪都構想」をはじめとした「広域行政一元化」や「総合区設置」のような「制度いじり」をすることで大阪の経済が発展するなどということはこの二つの調査からはまったく読み取れませんでした。
 まして大阪から企業が逃げていった理由が「二重行政」にあるなどとすることなど根拠のないデタラメであることがわかりました。
 「大阪維新の会」の皆さんにはこのような調査結果をしっかり受け止めて、本当に大阪が発展するようための政策を考えてほしいと思います。

リニア新幹線の大阪への開通を急げ
 2つの調査からも、企業にとって大阪は、マーケットの規模や優秀な人材、オフィスの立地コストの安さなど、たくさんの魅力があることがわかりましたが、
 にもかかわらず企業誘致が進まないのは、首都圏や西日本各地の主要都市から2〜3時間以上かかっているアクセスの弱さにあると思います。
 
 このために、リニア新幹線を早期に大阪まで開通させて、整備新幹線の計画を進め、北陸新幹線だけでなく、山陰新幹線も整備して鳥取市や松江市からのアクセスも向上させることや、リニア新幹線も新大阪が終点ではなく、うめきたをターミナルとすることで大阪の都心へのアクセスを短縮させることが必要です。

リニアは西へ
 さらに言えばリニア新幹線を大阪から関西空港まで伸ばし、国際空港へのアクセスを向上させることや、和歌山市を経由して徳島市、高松市、松山市、佐多岬を経由して福岡市まで伸ばせば、四国各都市はおろか福岡市までが大阪への通勤圏内になります。
まさに東京都と並ぶ副首都が実現できます。
 
 巨額の費用が必要となるこのようなインフラ整備ですが、知恵を絞れば実現可能だと思います。
 次回以降、大阪のインフラ整備のための資金調達についてその方法を考えてまいります。ご期待ください。

 最後までお読みくださり本当にありがとうございました。