松阪いさおと中央区を元気にする会

中央区民をはじめ広く大阪市民の皆様の意見をお聞きして大阪市政に提言する政治団体です

やはり「都構想」の住民投票は延期すべきでしょう

2020年03月14日 | 市民の方々との対話
 とうとう、アメリカのトランプ大統領までもが2020東京オリンピックは「無観客より、1年延期した方が良い」と言い始めました。IOCの会長もWHOの判断に従うと話しています。WHOは新型コロナウイルスによる肺炎を「パンデミック」として認識を始めたところです。

1 トランプ大統領「1年延期」は理にかなった発言
 オリンピックは世界中のアスリートが一同に集い、出場者のみならず世界中から集まったたくさんの観客が競技場や体育館などの屋内外で競技を行ったり観戦したりします。世界中には新型コロナ感染者が多い国も少ない国もありますが、多い少ないに関係なくほぼ世界中の国々からの代表選手、観戦者が一同に集まり一定時間、濃厚接触をします。オリンピックというのは世界中にウイルスをまき散らす「絶好」のチャンスとなるわけですから、7月ごろに感染の終息時期になっていたとしても、再炎上するきっかけとなるかもしれないのです。
 オリンピック開会式は7月24日です。その日まであと約4か月。劇的に感染者の数が減らない限りオリンピックの開始は厳しいところでしょう。トランプ大統領の「1年延期」というのは非常に理にかなった発言だと思います。

2 吉村知事「誰かがしなければいけない判断」
 この大阪でも、日々感染者が増加していますが、吉村知事は、こんな中少しずつ行事などの開催を再開させたいという意向を示しました。
 吉村知事は再開する条件として、「府立学校やイベントなどを再開する条件として、①教室や会場の換気が十分できること、②生徒や来場者どうしが一定の距離を取れること、③近距離での会話を避けることなど」をあげています。(NHK NEWS WEB)
 また吉村知事は「迷いはあるが、いまの状況が続けば、日常生活にも大きな支障が出てくる。新型コロナウイルスの特徴や感染拡大を抑える条件が分かってきており、社会経済活動を徐々に元に戻す時期に入ったと判断した。誰かがしなければいけない判断だ」(同)とのべ、全国で先駆けた取り組みであることを強調しています。
 うがった見方をすれば、これは4月に予定されている「都構想」の住民説明会を意識しての発言かと思われます。この説明会が開催されないこととなれば、秋にでも実施しようとしている住民投票が延期せざる得なくなってしまうからで、「大阪維新の会」としてはかなり焦っているという印象を受けました。

3 住民説明会は反対派の決起大会?
 しかし、この条件を踏まえながら住民投票に向けた説明会を開催したところで、多くの大阪市民は、感染リスクを背負ってでも住民説明会に参加しようという人は少ないのではないかと思います。参加者のほとんどは「都構想」反対派の市民であることは十分予測されますし、住民説明会が反対派の決起大会的な様相を呈するのではないかと少し心配しています。松井市長は「反対意見は言わないで」としていますがそういうわけにはいかないでしょう。
 「大阪維新の会」の人気がいつまで続くかわからないので、早く「都構想」を実現したいと焦る気持ちは理解できますが、今やらないといけないことなんでしょうか?

4「都構想」は後戻りできない制度
 「都構想」は後戻りできない制度です。政権交代と叫んで圧倒的な支持を経た民主党政府もわずか3年余りで交代しましたが、うまくいかなかったら元に戻しますと言えない制度が「都構想」なんです。ですから、本当に「都構想」が必要なものならば、焦らずにじっくりと議論をしないといけないのではないでしょうか。
 今は、住民の健康と安心を最優先させるべき時です。「大阪維新の会」の皆さんの賢明なご判断をお願いします。

特別区は「ニヤイズベター」となるか?

2020年03月13日 | 市民の方々との対話
「都構想」を実行する理由の一つとして「ニヤイズベター」ということが言われています。「ニアイズベター」とは 政治や行政は住民に近いところで行われる決定ほど望ましい、という地方自治の基本的な考え方だと思いますが、特別区になると「ニヤイズベター」となるのでしょうか?

1 特別区の区長は区民の意見を聞けるか?
 「270万人に一人の大阪市長が、すべての人の意見を聞いてニーズに応じたサービスができないので、大阪市役所を廃止して、いくつかの特別区を作り公選の区長がそれぞれの特別区の住民のニーズに応じたサービスが提供できるようになれば「ニヤイズベター」が実現する」と主張しています。
270万人の市長から60~70万人の特別区長へ変わりますが、どれだけ市民のニーズを聞き取ることができるでしょうか?

2 今の区長さんは市会議員並み
 現在は24区の行政区にそれぞれ公選ではないにしろ区長がおります。区長は大阪市長から様々な権限をおろされて大阪市長の代理人として各区の区民のニーズに応じたサービスを提供することができます。今の24区は7万人から20万人くらいの規模になっていて、一人の区長が区内の各地域の行事にも市会議員並みに顔を出して区民と直接接しながら意見を聞き取ることができています。
 しかし、特別区の区長ともなると、公選とはいえ中核市並みの規模のある行政区内の各地域の行事に参加して、区民と直接接して区民の意見を聞きながら各地域個々のニーズに合った政策を行うことは不可能です。現在の24区の区長さんのほうが区民の意見をしっかりと聞いてくれて個々のニーズに合った行政をしてくれています。

3 声の届かない特別区
 「ニヤイズベター」になると主張しておられる特別区は、とても「ニヤイズベター」などと呼べたものではなくむしろ、区民の声が届かない遠い特別区となるでしょう。「大阪維新の会」の皆さんはよく考えていただきたいと思います


「二重行政」とはなにか?

2020年03月11日 | 市民の方々との対話
1 あべのアルカスは二重行政?
 あべのハルカスは高さ300m、横浜ランドマークタワーの296mを3年前に抜いて「日本一高いビル」の称号を獲得しました。「ビルの高さ競争?」どこかで聞いたことがあるような。
 そうです!
 あのいわゆる「都構想」で二重行政の典型としてやり玉にあがる旧WTCビル(現在大阪府咲洲庁舎)は、りんくうゲートタワービルと高さ競争をして10センチ負けて日本で3番目に高いビルに甘んじてしまったことを思い出しました。
 時はバブルの真っ最中。大阪市と大阪府も競争して高いビルを建てました。しかしバブル崩壊とともにいずれのビルも経営が破綻したため、「狭い大阪に二つも高いビルを建てて二重行政の典型」「税金の無駄遣い」ときびしく批判されています。
 でも高さを競い合うことは無駄なことなんでしょうか?あべのハルカスは日本一という称号を得て、ビルの付加価値を高めたいへん人気があります。
 競争にはより付加価値の高いものを提供して喜びをより多く提供した方が勝ち残るという効用があります。つまり、より市民を幸福にしたものが生き残っていくシステムが競争原理であり、自由主義経済の優れた点でもあります。
 大阪府も大阪市もより付加価値の高いビルを競争して作ったということ自体は別に悪い事ではありません。問題は十分な経営計画や竣工後の経営が十分でなかったという役所の殿様商売的な甘い考えがあったことです。そのことは厳しく批判されるべきでしょうが、それを「二重行政」の典型とするのは少しピント外れな感じがします。

2 「二重行政」とはなにか
 橋下さんは府知事の時代に大阪府市統合本部会議でいわゆる「二重行政」と言われた22の事業について徹底的に検証しました。
 しかしほとんどが二重行政ではなかったことがわかったんです。
 逆に「二重行政」の典型と言われた図書館や体育館などは並立を評価しています。
 また、重複業務とされたとしても大阪市に権限をおろして業務を一本化することや、話し合いがつかなかった場合には大阪市と大阪府での調整会議の設置、総務大臣の勧告などを制度化することで解決できると結論付けました。※1
  ※1「大阪都構想の対案」西脇邦雄著
 つまり、「大阪維新の会」が主張する「二重行政」なるものは、ほとんど存在せず、あったとしても大阪市への権限委譲することで解決できるし、今後「二重行政」なるものが発生したとしても、府と市の調整会議や総務大臣の勧告で解決できるのですから、数百億円もの税金を使って「大阪都構想」などをやる必要などまったくないことが分かったのです。
 実際、大阪府市統合本部会議において「二重行政」とされた事業のうち、公衆衛生関係の事業、信用保証事業、高校などの事業はすでに整理統合されており「二重行政」は解消できています。
 「都構想」をせずとも「二重行政」は解消はできたんです。

3 それでも「都構想」やりますか?
 いわゆる「都構想」をするべきとしている一番大きな根拠が「二重行政」だったわけですが、橋下さん自身が肝いりで行った大阪府市統合本部会議で「二重行政」ほとんどなかったと皮肉にも結論付けています。
 したがって、もはや「都構想」を実行するべき根拠はなくなってしまったのです。「大阪維新の会」の皆さんは「府と市がある限り、これからも「二重行政」は発生するからそれを防ぐため必要」と主張おられるようですが、それについても府と市の協議が不調になっても総務省が勧告するという一定のルールもできています。
 もはや「都構想」を実行する根拠は全くありません。
 それでもやりますか?

 それこそ典型的な税金の無駄遣いとなります。
 それでも強引に進めようというのはやはり何かほかに狙いがあるからなのでしょう。それを実現するために「二重行政」などの理由をこじつけているように思います。
 皆さん、こんな税金の無駄遣いを許してよいのでしょうか?
 私は絶対に許すことができません!


「都構想」言っている場合でしょうか?

2020年03月10日 | 市民の方々との対話
1大阪市議会議員選挙の再選挙
 2020年3月22日には大阪市中央区選挙区において大阪市議会議員の再選挙が行われます。昨年の4月に当選した議員が選挙違反で有罪判決が確定したために、失職し当選無効となったため再選挙が行われることとなりました。今日は3月10日でありますが、すでに数日前から、新聞折込ビラや駅前での辻立ちなど「大阪維新の会」の候補(予定者)が市議選に向けた政治活動をなさっています。
しかし訴えていることは、相も変わらず「大阪都構想」の推進でした。


2いま大阪が置かれている状況をわかっていますか?
 いま、大阪のみならず日本や世界の国々がどういう状況にあるのかご存じないのか。そう強く問いただしたい気持ちでいっぱいです。
今は、大阪府と大阪市が協力し、大阪の人々の心を一つにして感染症対策に取り組まねければならない時です。大阪の人々の一番の関心事は新型コロナ肺炎への対策です。どうすれば感染しないで済むのか、マスクはいつになったら十分に市中に出回るのか、いつになったらコロナウイルスの猛威はおさまるのかなどいろいろ、大阪市民の方々の心配の種は尽きません。そのために大阪市議会議員候補がなすべきことは、新型肺炎に関する情報の提供、しかも大阪に関する身近な感染情報、また、トイレットぺーパーがなくなるなどのデマに対する警告、手洗いやうがいの方法を伝えその感染防止策を伝えることです。どうすれば大阪市民の安全と安心が担保されるかをいつも考えながら情報取集し、それをしっかりと市民に伝えていくことです。
 いま、大阪市民を分断し、「都構想」の賛成派、反対派が敵対しながら議論させるようなことが続けば、大阪市内の新型肺炎への感染症対策が順調に進まなくなくなってしまいます。「大阪維新の会」の皆さんは感染症対策を遅らせるつもりなんでしょうか?


3住民投票は無期限延期を
学校の休校をはじめ様々な行事が中止されています。この3月中に感染の広がりが収まる気配がない中、4月に予定されている「都構想」に関する住民説明会も開かれることすら危うい状況です。そんな状態で本当に住民投票などできるのでしょうか?
もし住民投票を実施したとしてもこの混乱のなか大阪市民に「都構想」に関する正しい情報が伝わり、議論ができるのでしょうか?
「大阪維新の会」松井一郎市長は「都構想」の議論を当面棚上げし住民投票も無期限延期と決断するべきです。そのうえでしっかりと大阪市民に新型肺炎対策を訴えて、安心してもらうこと。そしてその対策に協力を求めるべきです。
そうすることで「大阪維新の会」の度量の広さ、見識の高さが大阪市民に伝わります。大阪市民の幸せを本当に考えている政党だという評価も不動のものとなるでしょう。今まさにその正念場です。「大阪維新の会」の皆さんに期待しております。


「都構想」何が問題なのか?

2020年03月09日 | 市民の方々との対話
「大阪維新の会」はこの秋にも「都構想」をめぐる住民投票の実施を目指していますが、「都構想」については賛成・反対といろいろな意見がメディアやSNS上でも流れています。そもそも「都構想」の何が問題なのか3つの論点でまとめてみました。

1 市民の意見がまったく取り入れられていない
  「都構想」案については、前回の住民投票の時にも示されていますが、その内容が時々刻々と変化しています。
その原因は、反対派やメディアから問題点を指摘されるたびに修正を繰り返し、日々進歩(?)してきたからでしょう。特に公明党が「都構想」に賛成する条件として示したいくつかの提案を取り入れたため、特別区への移行の経費を抑えるとして新庁舎建設が見送られ同じ特別区の職員であるにもかかわらず遠い庁舎に配置されることになるなどより複雑怪奇なものとなりました。
  「都構想」の案は大阪市役所、大阪府庁の職員と「大阪維新の会」の議員らが作っておられるのでしょうが、市民の意見や実際に現場で市民サービスにあたっている職員の意見などまったく聞かずに会議室で練り上げられたものでしょう。
本来こういった市民の生活に直接かかわる政策は政策形成段階から市民の意見を十分に取り入れて制度設計していくべきものです。にもかかわらず、まったくそういったプロセスは取られていません。大阪市民の意見が全く反映されていない政策、それが「都構想」なのです。私はそのことが「都構想」の一番の問題点だと思っています。

2 行政研究者の賛成意見がほとんどない
「都構想」により1兆円を超える経済効果が見込めるとしている点については、根拠となる嘉悦大学の検証そのものが専門家の間では批判が多く、この論文を支持する学者が皆無ということが、いかにその根拠が怪しいかということを証明しています。
 そもそも「都構想」の経済効果を大阪市役所が研究者に検証してもらおうと公募をかけたにもかかわらず1回目は応募者がおらず、2回目で何とか嘉悦大学の高橋洋一氏が引き受けたものですが、高橋氏は大阪市役所の顧問で「都構想」推進派であったということを考えれば、その検証にはバイアスがかかったものと考えざるを得ないでしょう。
 その一方で、京都大学の藤井聡氏のように、「都構想」の経済効果はほとんどなく費用だけがかかると批判する学者はたくさんいらっしゃいます。
高橋氏のように大阪市役所とかかわりがあった学者以外で「都構想」を積極的に擁護し推進しようとする巷の学者は皆無です。
 このように「都構想」の問題点のもう一つは、行政の研究者のほとんどが反対しているにも関わらず強硬に推し進めようとしている点です。

3 住民投票は白紙委任状なのか
 大きな問題点の三つめは、「大阪維新の会」の意向を受けた大阪市役所はそういった反対意見は全く耳を貸さず、新聞や広報などのおおやけのメディアでは賛成意見だけを流すという偏った情報発信をしています。これはあまりにも不公平であり住民を間違った方向に誘導しようとしているとしか思われず、住民が正しい判断ができるとは思われないのです。そのような状況でその是非について大阪市民に大阪市役所を廃止するかどうか、しかも失敗したからと言って元に戻せない非常に思い責任のある選択を迫ろうとしています。効能書きだけで副作用や禁忌事項が書かれていない薬の説明書と同じようなもので、飲み方を間違えれ大変なことになるのです。
 「大阪維新の会」の方々にとしては、「要は大阪市を廃止して特別区をつくるということに賛成か反対か決めていただいたらいいんです。決まってから改めて細かい制度設計をします」と言いたいんでしょうが、それでは住民投票は白紙委任状を大阪市民に求めているということと同じことになります。これが三点目の問題点です

4 「大阪維新の会」の皆様にお願いします。
そのために以上のことを踏まえて、以下のことを強く要望します。
① 賛成、反対意見にかかわらず、多くの市民の意見を十分に聞く機会を設けてください。
② 専門家の意見を素直に聞く耳を持ってください。賛成派の意見が少ないという事実も謙虚にとらえ、専門家の意見を十分に聞きながら、「都構想」ありきの前提を外して白紙の状態から、未来型都市行政の在り方を議論する場を設けてください。
③ 住民投票には公平な情報提供が必要です。「大阪維新の会」の意見だけではなく、大阪市議会などでの議論の中で出てきた様々な意見を公平に伝えるために、広報などのメディアや報道機関への資料提供においても公平な情報提供を行ってください。

5 最後に

 現在の「都構想」議論は、民主主義における政策決定のプロセスを少し逸脱しているように感じます。「大阪維新の会」の方々は、万博やカジノなど華々しい政策実績でもって人気得て、その支持基盤をもって「都構想」の実現を強引に進めておられるようにも感じます。「都構想」の議論は「大阪市役所の廃止」という大阪市民だけでなく大阪府民、日本国民にとっても将来にも影響を及ぼす重大な選択を迫られている議論です。そのような重大な議論を、しかも一旦は大阪市民により否決された政策案を再度大阪市民にその是非を問うというものですから、十分な議論がなされなければなりません。もう一度原点に帰り「都構想」の議論を進めていただきたいと思います。