雨の記号(rain symbol)

実りあるカムバックステージ(GFRIEND)








実りあるカムバックステージ(GFRIEND)
Fruitful comeback stage (GFRIEND)





 少女の感性はたぶん年老いて灰になるまで失われることはないはずだ。自分は両親の晩年近くまで一緒に暮らしたが、母親はずっと少女の感性を思っていたより強く残していたようだった。
 家にくっついていた風呂場が壊れ、すぐ横に安普請の風呂場を作った。着替えもそこでする風呂場だった。
 その頃、母はすでに還暦を過ぎていた。母が入ってると知らないである日風呂場のドアを開けてしまった。
 目の前の母は真っ裸の状態だった。浴槽から出てバスタオルを手にしているところだった。
 自分はすぐにドアを閉めたが、母の狼狽とぶりは少女そのもののように感じられた。一瞬のうちに戸惑いと恥じらいの表情を浮かべたからだ。
 自分はすぐに風呂場を離れたが、そうしたのは母親が見せた反応のせいだった。

 GFRIENDのアルバムを聴いているうち、ずっと清純の心を保ってきた少女の中に、身体と気持ちの成長がもたらす繊細な感情が少しずつ染みとおっていく様子を連想させられた。
 カムバックタイトル曲『Time for the moon night』のステージやMVは、そのコンセプトをしっかり表現しているように思う。
 ステージは昼の景色を闇で包んでしまう夜を背景にしている。白い衣装で清純イメージを醸しだしながら、女性の柔らかな容姿から繰り出されるシャープなダンスがじつに見事だ。これまで見られなかったような美しくも鮮やかなパフォーマンス世界が生み出されているではないか。
 少女から大人になっていくのではなく大人な部分を少しずつ受け入れだしている少女たち。
 今回のアルバムは彼女たちのこれまでの成長と成熟を一つの季節の中でしっかりピン止めした内容になっていると思う。
 ガールズグループの新たな可能性を切り開いた面も見逃せない。
 
 このアルバムに共鳴するK-POPファンは多いのではあるまいか。7ヶ月のブランクは間違いなく大きな実りを生んでいる。
 


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