南極上空のオゾンホールが過去最大規模に=ESA
(時事通信)
【パリ2日】欧州宇宙機関(ESA)は、南極大陸上空で2006年に過去最高のオゾンが失われたと発表した。同機関の衛星観測によると、今年10月時点で4000万トンのオゾンが失われた。これは、2000年に記録されたこれまでの最高の3900万トンを上回っている。
オゾンの測定は、地球の上空約25キロの成層圏にできたオゾンホールの規模によって行われる。06年のオゾンホールは、大きさが2800万平方キロで、2000年とほぼ同じ大きさになり、オゾンの濃度は100ドブソン単位と、1990年とほぼ同等の低さとなった。
9月29日には、世界気象機関(WMO)が、06年のオゾンホールは過去最高の大きさに向かっていると報告していた。オゾンの世界全域の水準は過去10年間、年間0・3%ずつ減少している。
オゾンそのものは吸い過ぎると生物にとって死ぬほどの毒だそうだが、幸いなことにこのオゾンは地上から二十五キロから四十五キロあたりの成層圏に密度をなしていて、地球に向けて降り注ぐ太陽の紫外線などを吸収する役目を果たしている(紫外線とはいうまでもなく有害性で皮膚がんなどの原因になる)。吸い過ぎれば毒のオゾンが地球上の生物の命をいわば守ってくれているのだから、万物の生成とはじつに不思議なものである。
しかし、幸運な地球上の生の神秘も不思議も、われわれ人類自身の手でその最終章を迎えつつあるのではないか、と考えるのは早計なのであろうか。
今、人類が生み出した文明によるフロンガスによって成層圏のオゾン層は破壊され続けている。世界中の心ある人たちが、これを何とかしなければいけない、と言いだしてから久しい。しかし、そういう掛け声はあっても、どうにもならない状況が今も進行し続けている。だから、上記のような報告が出てくるのであろう。
フロンは無毒で便利な性質を持っている。冷蔵庫やエアコンの冷媒、電子回路などの精密部品の洗浄剤、クッションやウレタンなどの発泡剤、スプレーの噴射剤など、多方面で活躍する物質なのである。
よって、フロンは今後も人類の文明発展に貢献してくれるはずだが、このままだと間違いなくオゾン層はフロンによって破壊されつくされる。今、地球上では皮膚がんで亡くなっている人が増えてきていると聞く。これはひょっとするとフロンのオゾン層破壊とつながっているのではないか。その思いが強い。
無知で恐縮だが、大気中に排出されたフロンをもう一度ボンベか何かに戻していく方法はないのであろうか。