★シロアリが密集してうごめくコミック本をえさを探し回る黒蟻の場所に出したら、黒蟻はたちまちシロアリを見つけ、コミック本を襲撃しました。あれほどいたシロアリは1~2時間のうちに黒蟻に捕獲され、巣穴に運び込まれてしまいました。
一人暮らしを続けてると部屋の片づけが追いつかない。部屋も玄関も人には見せられないほどの散らかりようである。
年の中ほどになると今年の暮れこそ部屋も玄関もすっきりさせよう、と一応は決心する。だが、実行に及んだのはかれこれ10年も前の話だ。
狭い玄関先で無造作に積み上げてあった新聞が床に滑り落ちた。雑誌やダンボールなども一緒にした嵩張りだ。それが上に積みあがってくるといつ崩れても不思議のない状態になる。崩れるのを望みでもするかのように、離れた場所から新聞や雑誌をぽんぽん投げ続けるのは自分の悪いクセである。
この日、廊下から投げた週刊誌はちょっと勢いが強すぎた。嵩張りは週刊誌ともども向こう側の下駄箱にぶつかり、玄関戸の方へどっと散らばった。
あわてて玄関におり、嵩張りを元に戻した。といっても不安定な嵩張りの上にバランスよく週刊誌を一冊乗せただけの話である。
普通はそのまま廊下にあがり、部屋に入ってしまうところだが、玄関に段積みしたままのコミックがふと目に留まった。ちり紙交換の業者が来たら持って行かそうと思ってるのに、いざとなると読みたくなる日があるかもしれない、と保留してしまう。それがかれこれ2~3年続いてきた。さすがに下の一冊は水を含んで読めなくなってるだろうと手を伸ばそうとしたら、何やら周辺の様子がおかしい。白い、小さな粒がちらちら動いているではないか。
家では度の弱い眼鏡をかけている自分でもそれが何かはすぐわかった。
まとめてコミックをどかそうとして、僕は触れた手を急いで引っ込めた。手に触れた数が半端じゃないととっさに感じたからだ。
僕は横からコミック本を覗き込むようにした。上の数冊は何の影響も受けてないのを知り、それをどかした。コミック本がちょっと動いただけで、シロアリがどっと外へ飛び出してきた。一番下のコミックは表紙の表裏があるだけでページの重なりが見えない。
4冊のうち上の二冊は侵食が少ない。僕はほっとなりながら、一番下のコミックの裏表紙をめくってみた。その瞬間、僕は目が眩みそうになった。そこではシロアリが米粒のような固まりを見せて動き回っていたのだ。
この数…数千匹はいるのではないか!?
僕はとっさに冊子を握り、玄関の外に投げ捨てた。部屋に上がり、殺虫剤を持ち出した。玄関で動き回るシロアリに向けて怒りともども噴射した。
その後、ようやく冷静さを取り戻し、箒を手に彼らの死骸を外へ掃きだした。シロアリに侵食された冊子をゴミ袋で包んでポリ容器に入れて外に出した。
翌日、仕事から帰宅して様子を見ると、シロアリはまだうじゃうじゃ生きていた。シロアリの天敵は確か黒蟻だったのを思い出した。
そこで動画と写真にしてみた。