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物心ついた時に、初めて読んだ本は、絵本じゃなくて、マンガの「のらくろ」。親父が、当時出ていた布張りの豪華本の全集を買い揃えてくれてね。うん、もちろん、最初は読み聞かせだったんだけど、そのうち自分で読むようになって、もうボロボロになるくらいまで繰り返し読んだんだ。
のらくろは、戦時中のマンガだし、出世を重ねて、最後は大尉(中隊長)にまでなって、除隊。大陸に渡るなんてところは、当時の、中国に出て行った世相も反映してるんだろうけど、意外に軍部からは評判が悪かったって話もある。
戦前の歴史に興味を抱いて、当時の世相や、歴史書の蒐集を山ほど始めた原点は“のらくろ”にあるんじゃないか・・・って思ってる。
のらくろの作者・田川水泡ゆかりの地は、幼年期から青年期まで深川で過ごした江東区なんだけど、長野県の臼田町(現佐久市)には、本家の高見沢家があって、毎年のように訪れていたのだそう。
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現地には「のらくろ会」ってのがあって、臼田コスモホールには、のらくろのマグカップとか売っててね、仕事の合間を縫って買いに行ったこともあったっけ。
で、十年くらい前に町民全員を対象に“のらくろ”のイラストが入ったエコバッグも配布されたんだよ。組合員さんが「欲しければあげるよ」って言ってくれたんだけどね、そのままになっちゃった。もっとねだっておけば良かったんだけどねぇ。
そうそう靖国神社にもたまに行くんだけど、そのたびにのらくろのキーホルダーを買ってきて、付けてるよ。参拝して、遊就館を見学して、海軍カレーを食べてね。
のらくろを入門編にして、マンガで日本の歴史(十数巻あったと思う。監修・和歌森太郎)を小学校の頃に読み漁って・・・日本史だけは異様に詳しくなって、中学の時に大学受験のテキストを読み込んで、日本史だけは模擬試験でも全国屈指。大学も日本史だけで受かったようなもの、英語や数学はからっきしだったからなぁ
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マンガが今の活字中毒の原点だったことだけは確か。親父が何でのらくろを僕に読ませたかはわからないなぁ。マンガを読む人じゃなかったし、囲碁の本と時代劇を観る以外、およそ無趣味な人だったから・・・謎だ???
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