早めのお昼を済ませ、長野トイーゴビルへ。福島第一原発事故で全村が計画的避難地域とされ、酪農を営んでいた長谷川健一さんは、廃業という苦渋の選択をした。
地域の中で取りまとめ役をし、村や、国会議員に掛け合い、参議員会館で報告会まで開くなど奔走した長谷川さんは、飯館村民としては、対外的にもっともよく知られた人物で、現在は仮設住宅に居を移しながら、全国行脚を続けているという。
飯館村と言えば、福島第一から、最短で30キロ圏内、一番遠いところで45キロ離れていながら、水素爆発時の風向きが災いして、高い汚染地域とされてしまった“悲劇の村”としてよく知られている。
75%が森林。旺盛な意欲を持つ一次産業従事者が多く、“日本で一番美しい村”の一つとして認められるなど、広域合併にも応じず、田舎のモデルケースとも言えるところでもある。
その村が、原発事故で一転、高濃度の汚染地帯になってしまった・・・
100人は入るだろう会場は立ち見が出るほどの人で溢れ返った。一般論の放射能の話でなく、飯館村の一酪農家の立場から、テレビなどで報道されない事実を語って欲しいと思ってる人がたくさんいるんだと実感する。
長谷川さんは、独立系のさまざまなメディアに登場し、書いてもいるので、話そのものは、最近出た「世界」(岩波書店)の別冊で被災者の手記を中心に編まれた“破局の後を生きる”にほぼ同趣旨の内容が書かれているので、それほど新しく聞くようなことはなかったというのが正直なところ。
ただ、被災地の人の話を直接聞くと言うのは、活字で読むのとは全然違う。
情報が隠され、飯館村など高線量の地域に国から専門家がやって来て、安全論を説く。村長を始め、村の人の危機感が薄れていく中、外部のジャーナリストからもたらされる情報との落差に唖然とし、危険を訴えても、村には受け入れられない。
その間にどんどん被曝していく。
“生殺し”にされた揚句、計画的避難区域という現実をいきなり突きつけられ、家畜の移動は禁止・・・廃業へと追い込まれる・・・
国、県に村が振り回された揚句の死刑宣告。そして今は、村民は村外で暮らす日々。
現在の村の唯一の希望は、“除染による村の浄化”。村長以下、それに期待を抱き、故郷に帰れる日を待ちわびている。
質疑応答でも、除染に関する質問が数多く出ていたけれども、高レベルの汚染地帯に加えて、森林地帯の飯館村で、元の状態に戻れるとは到底思えないという現実。
長谷川さんは、新しい移住先を見つけ、一から飯館村を再建したいと考えている。それも一刻も早く決断しないと、若い人はどんどん出ていき、転居先に定着してしまう。そうなれば、仮に除染されても、老人だけの村になって、自分たちの世代で村は終わり・・・って言ってたよ。
「自分の子や孫の世代まで差別が続くことだけはあってはならない」と長谷川さんは講演を締めくくったんだけど、それは枯葉剤の問題と通じるものがあるね。
今は“放射能って言う妖怪”が日本を闊歩してるんだから。
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