放蕩息子よ・・・

先日、地元の悪友「K」の夢をみた、奴が夢に出てくるなんて初めてだよ・・・


彼、「K」と、マブダチになったのは、中学生の頃だったかなぁ、
よくつるんで悪さをしては、親や先生に咎められ、「お前らは、一緒に遊んではダメだ！」
なんて、「遊んではいけない」禁止令が先生からも出た事もあった・・・（笑）
しばらく、遊ばない様なフリしながら、僕らは、いつも一緒だったさ
中学を卒業し、僕は進学、「K」は就職した・・・
しばらくすると「K」は、ヤバイ世界に足を踏み入れていってしまった、
でも、僕たちの関係は変わる事なかった、
たまに、意見の食い違いとかで喧嘩もしたけど、、、変わらず僕らのマブダチ関係は続いた
ヤバイ世界からも足を洗って堅気に戻った「K」と、同じ職場で働いていた時期もあったさ
「K」のオヤジさんが、亡くなった時も、奴に、銀行の通帳を預けられ奔走したくらい
信頼関係もあった・・・葬儀の後、オヤジさんが築いた、町にあった小さな理容店を
一緒に、店をたたんだ。
そう～互いに結婚した頃から、会う機会も少なくなり、次第に彼との距離も離れていったが
会う時は、互いに変わらず、名前を呼び捨てで呼んで、離れていた時間を一挙に取り戻せた・・・
「K」と最後に会ったのは、5年？いや6年前か？
地元の祭りで会ったのが最後、彼は、アメリカのグリーンカードを取得して、
奥さんと二人きりで、ハワイに行っちしまった・・・


その日の朝、「K」の夢をみた事を、カミサンに話すと、
「K」くんのお母さん、どうしてるのかな～？と、言う・・・
そうか～「K」の奴、八十歳近い年老いたおふくろさんを町に残したまま行ってしまったんだよな～
１人息子が、外国に旅立ってしまって、１人暮らしを余儀なくされた、おふくろさん元気かな？
随分前に、背骨を骨折して入院していた事は、地元の友人から聞いていた・・・

先日、実家に用事があり、久々に地元に帰った、その帰り道たまたま普段と通らない道を
車で走っていた時・・・
背を丸くしながらも散歩をする老女が目に留まった・・・よく見ると
あれ！？「K」のおふくろさんじゃん！
すぐさま車を止め降りていって、「おばさん！俺、クニだよ！」って言い寄ったら
しばらく呆気にとられた様な顔をしていたが、「あ～！久しぶりだね～元気だった？」
と、言って僕のことに気づいてくれた、
「おばさんこそ元気にしてた？」と尋ねると、友人から聞いていた様に、背骨を骨折していたそうだ
回復後、足腰が弱らない様に、散歩を絶やさないようにしているという
「おばさん、「K」は、どうしてる？」って尋ねたら、「あっちに行ったままだがね」と言う
「声かけてくれて、ありがとね、元気でやってるんだね～よかった・・・」って、気遣ってくれる
「おばさんこそ、元気で何よりだよ～おばさんの元気な姿見て安心したよ・・・」
と、僅かな時間だったけど、「K」のおふくろさんと話せた。
帰り際、手を合わせ「ありがとね」って何度も言う「K」のおふくろさん、
車のバックミラーを見ると、手を合わせたまま、ずっーと、僕を見送ってくれていた、、、
何だか、胸に熱くこみ上げるものがあった・・・

「K」元気か？便りがないって事は、元気だろうな・・・
お前の夢なんか、見たくもなかったが、見ちまったぜ、、、
そっちで、楽しくやってるか？綺麗な海、空、新鮮な空気を吸いながら生きてるんだろうな～？
でもよ～そろそろ、こっちに戻って来いよ！おふくろさん、寂しそうな顔してたぞ！
おふくろさん、お前の様な放蕩息子を、いつも心配してるぞ、帰って来いよ・・・

と、言ったところで、奴には伝わらないか・・・