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第2部(7)シリコンアイランド九州はどこへ 追い込まれる半導体産業転載

2013-12-26 08:50:42 | (英氏)原発・エネルギー問題

第2部(7)シリコンアイランド九州はどこへ 追い込まれる半導体産業

2012.11.5 22:46 (1/4ページ)九州から原発が消えてよいのか

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 「見積もりの結果、工場の屋根や敷地内に太陽光パネルを並べても絶対に採算はとれません。まあ、数十年はかかります。軽油や重油代がかかる自家発電機ならなおさらですね…」

 今夏、森と畑に囲まれた大分県杵築市の半導体メーカー、ジェイデバイス(JD)の本社会議室では、仲谷善文社長が重役らと膝をつき合わせて、電気料金値上げへの対応を協議していた。自社で電気をまかなうことができれば、九州電力が来春にも実施する値上げの影響を受けずに済む。

 太陽光パネル、自家発電設備…。さまざまなシミュレーションを試みたが、結果は「不可能」。いずれも発電コストがかかりすぎ採算ベースには合わなかった。「やはり値上げを飲まざるを得ないのか…」。仲谷氏らは肩を落とした。

 玄海、川内の両原発の停止により、九州電力は今年度4000億円の通期赤字が見込まれており、来年4月からの電気料金10%値上げは避けられない見通し。ギリギリのコスト削減により韓国や台湾の企業との競争を続けてきたJD社にとって値上げは手痛い。電力使用量を10%落としての操業も検討したが、半導体の生産量が3~4割落ちることが分かり断念した。

 電気料金値上げ対策を担当してきたJD社環境工務第2課の坂本茂課長はこうこぼした。

 「製造工場で電力使用量の制約を受けたら生産は成り立たない。賛否両論あるのは分かりますが、今ある原発は早く動かしてほしい。これが正直な気持ちですよ」

工場次々に撤退

 

 半導体の生産には「きれいな水」、そして「きれいな電力」が欠かせない。安価で安定した水と電力、そして優れた労働力を確保しやすい九州には昭和30年代後半から半導体メーカーが次々に進出。ピーク時には大小合わせて約400カ所の半導体工場が林立した。生産量は全国の4割を占めるようになり、九州は「シリコンアイランド」と呼ばれるようになった。

 ところが、韓国、台湾などの企業が次第に技術力をつけ、日本のIT産業を直撃。これに円高が追い打ちをかけ、生産環境は急激に悪化。東芝やルネサスエレクトロニクスなど大手は次々と撤退を打ち出した。

 そんな中、大分県臼杵市などに4工場をもつJD社は「ピンチはチャンス」と考え、9月には赤字に苦しむ富士通系半導体生産会社の全国3工場の買収を決定。このうち1つが鹿児島県薩摩川内市の工場だ。

 他社工場取得によるスケールメリットを生かせば、海外メーカーに対抗できる。こう考えたJD社の戦略は、電気料金値上げにより岐路に立った。

 JD社の4工場で必要な電気は一般家庭2万軒分以上。年間電気料金は数億円規模になる。この電気代が仮に10%上がれば-。売上高450億円規模の会社にとって、とてつもなく大きな負担となる。

 半導体メーカーにとって怖いのは電気料金値上げだけではない。電力供給不安にも神経をとがらせる。

 円盤状にしたシリコンに電気回路を形成する「前工程」、チップごとに切り分け製品化する「後行程」。いずれも工程中にわずかに電力が途絶えただけで数千~数万個が使い物にならなくなる。停電はもちろん、0.07秒間電圧が下がる「瞬時電圧低下」(瞬低)さえも許されない。

 九電も、シリコンアイランドを支えるために、かねて瞬低対策に力を入れてきた。瞬低は落雷だけでなく、鳥やヘビの感電でも起きる。これを極力なくすために九電は送電線網にあらゆる対策を施してきた。

 ところが、玄海、川内の両原発がすべて停止したままでは、夏場などは需要に供給が追いつかず、他の電力会社から大量の融通電力を受けなければならない。電力供給能力がおぼつかず需要過多による停電がいつ起きてもおかしくない状況では、せっかくの瞬低対策も意味をなさない。

 JD社が他国に比べて高コストを覚悟の上、九州で工場操業を続けてきたのは、安定した電力が得られ、質の高い半導体を製造できるからだった。その電力まで不安定になればメリットは乏しい。坂本氏はこう打ち明けた。

 「海外移転の選択は当然持っていますよ。従業員は九州出身者が多く、九州を離れたくないという思いを持っていますが、経営的にどうしても立ちゆかないならば離れる選択を取らざるを得ないでしょう」

省エネ化は企業の重荷

 

 福岡市西区今宿東に広大な敷地を有する三菱電機のパワーデバイス製作所。家電製品から電車まで、電気を動力源とする幅広い製品に使われるパワー半導体を製造している。消費電力量を減らす機能をもつパワー半導体は、省エネ社会に急成長が期待される商品だが、ここにも原発ゼロによる電力不安が影を落とす。

 同製作所では、コスト削減に向け、省エネに取り組んできた。平成22年度には8億9千万円を投じて節電効果の高い空調設備に更新。東日本大震災が起きた23年には、電力不足を見越し、さらなる省エネ設備に5億8千万円を投じた。

 ところが、政府のエネルギー・環境会議が9月にまとめた原発ゼロシナリオ「革新的エネルギー・環境戦略」では、産業部門の省エネ対策として「設備更新時には、その時点における最先端技術の導入を促進するとともに製造プロセス等の技術革新を図る」と盛り込んだ。

 つまり同製作所のようにかねて省エネに取り組んできた工場にもさらなる設備投資を迫るわけだ。資本力のない中小企業には「座して死を待て」と言っているのに等しい。

 同製作所は当面は九州での生産を守る方針だという。だが、もしこのまま電力不安が続き、かつ電気料金が断続的に値上がりし、さらなる省エネ投資を政府に義務づけられることになれば、その方針も不変ではいられない。南原成二・製造管理部長はこう打ち明けた。

 「節電、省エネコストはすべて会社の持ち出し。これが生産コストを跳ね上げ、海外勢との価格競争では大きなネックになります。このままの状況が続けば、日本中のメーカーが海外に生産拠点を移し、日本国内には企画・設計部門などが残るだけになるかもしれません。もちろんわが社も例外ではないでしょうが…」

 原発なき九州から、工場が消え、商店が消え、人が消え…。「かつてここはシリコンアイランドと言われていたんです」。廃虚を前にガイドに説明され、多くの来訪者が驚きの声を上げる-。これが原発ゼロを達成した九州の姿ではないか。


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2 コメント

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厳しい!! (はっちょ)
2013-12-27 09:15:00
生産工場にとっては、停電は大きな損失を伴います。

私も工場勤務の経験があります。
銅線を細くして「コイル」の導線を生産していました。
モーターやトランスに使っている材料です。
巻き取り機で三日間程、昼夜連続で仕上げていきますが一度の停電で数百本のコイルがパーです。

繊維関係でも織機が止まると同じ事でしょう。
再度動かすまで大変な作業をこなさなければなりません。

電力会社は停電により発生した不良品の損失は補償してくれません。
莫大なリスクが発生します。

電力会社の営業員の方に聞いたのですが、料金滞納者の集金で、一般家庭の場合はたいしたことではないのですが、企業の未払い金の集金は大変難しいそうです。

「会社をつぶす気か、社員の家族をどうしてくれる」と言われてはどうにもなりません。
電力会社も慈善事業ではないのです。
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Unknown ()
2013-12-27 15:50:37
うーん。
電力料金の集金か。

集金にいって、「会社をつぶす気か。」

と言われたら、集金しにくいだろうねえ。

仮につぶれてしまったら、集金もできなくなるからね。
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