夜がくれて、アルコールを召し上がった活火山、少々遅くなった話題。
2月8日未明のNHKラジオの深夜放送から流れたコンチネンタル・タンゴのメロディ。
曲はアルフレッド・ハウゼの「碧空」だ。
活火山のタンゴとの遭遇は、1960年代前半の高校時代。
迷い込むように入ったその店は、当時の流行でもあった<音楽喫茶>の一軒で、薄暗い照明の店内で高価そうに見える凝ったオーディオ装置のスピーカーから流れていたのがこの曲だった。
タンゴなんて物は聴いたことも無い田舎の高校生の活火山、身近な音楽環境といえば、テレビの歌謡番組、たまに聴くラジオから流れるビートルズが珍しい頃で、初めて聴くコンチネンタルタンゴには大変なカルチャーショックを受けたものだ。
なまり色の空と吹雪く重ぐるしい北国の冬の外気を隔絶したような店内で聴く<碧空>は、まるで自分の空間に、紺碧の<青空>が聴覚から視覚に変調されていくような興奮を覚えたものでした。
後年、帰省したおりにその場所を訪ねたときには、店は無くなっていました。
その時、活火山には<淡い初恋の人>を失ったような寂寞感に襲われて記憶があります。