小原民子の作品ブログ

絵を描いているので,ときどき紹介したいとおもいます

めがねのアツコ

2011-05-11 | あつこシリーズ

 

6号

          さすがの大津波と 原発事故で あつこおばあちゃんの珍獣エピソードの

         思いでも吹っ飛びました。

          しかしこのめがねエピソードは今後 わたしも使わせていただく

          おあばちゃんの知恵としてしっかりと、

          記録しておきたいと 思うのです。

          

          日差しの強い日でもあちこち散策できるよう、わたしはサングラスを

          買いました。

          自分の力で土沢以外の町へ行ったことのないあつこちゃんは、 

          昼間、隣町まで買い物に行くために

          サングラスをかけて さっそうと車に乗り込むわたしのうしろ姿を、

          うらめしそうに ふるいうちの縁側から見送るのでした。 

          そのうち、病院の帰りに 当時はまだあった Uマートでサングラスを

          購入してから帰ってくるようになりました。

 

          おばあさん死後に見つかっためがねコレクションは、けっこうなものに

          なっていました。なかでもながぐつの中から

          見つかったものなどは、2重のくつしたのなかに つつまれて 

          発見されました。そして ほとんどが ゆがんでいるのです。

          サングラスには「UVカット」のシールつき。遺品のいくつかは 

          私もつかっていますし、シンゴクンにもあげました。

 

          珍エピソードは病院の看護師さんづてに母からききました。

          斜めにゆがんだ、値札つきのサングラスを、上下さかさまに

          かけて 病院に登場したのだそうです。おそらく¥980の値札。

          なかなかいないと思います。

          そのように、ときに看護師さんをびっくりさせているあつこおばあちゃん。

          いつだったかわたしも病院に付き添ったことが

          ありました。待合の長いすでとなりのおばあさんと話がはずんでいるもよう。

          「おめ、なんぼだ?」 となりのおばあさんが

          あつこおばあちゃんに問いかけます。このあたりからちょっとわたしも

          気がかりに・・・

          「なんぼだがな・・・」額と目を右手でおおいながら ちょっと考えるフリを

          しますそして・・・。

          「ありゃありゃ・・・まなぐ いでぐなってきたナ、」

          「おらヨ、まなぐ(眼)見えなぐなるって 医者さ そわれでるのっスあ!!」

          なんと ごまかしたのです! 

 

          いつか私にだって このテクニックを 使わざるを得ないときがくるかも

          しれないのです。

 

 

 


垂れ乳↓アツコ

2011-04-06 | あつこシリーズ

 

 

 

 

 

 

 

 

15号

 

          両親のいさかいの材料にしかならなかったこの垂れ乳↓おばあさんを、

          わたしはしかし、描くほかありませんでした。

          「さで、 つんぎは、 はだがになりましょ! はンだが  まいりいい~~~ッ」

          暑い日の昼間、となりで どでかい声が聞こえてきます。脱いで着る。

          このことだけで1日のおおしごとだっていうことを、

          このおばあさんから教わったわけです。そういえば、制服の上に

          下着をつけるってイメージを得たときにはスッキリした

          ものでした。頭痛がなおったあとみたいに。

          なまはげのイレズミを、金髪の胸毛びっしりの胸元にしっかりと入れた、

          (たしか赤いのと青いのちゃんと2対、包丁持って!)

          イギリス人のパンクロッカーの写真を見たことがあります。

          どうせならそのうえに、盛岡一高の

          バンカラツギハギ学ランをはおってほしいものです。ああ、

          何億もの価値があるはずです!

 

         

 

                                          

 


アツコ’s job

2011-03-07 | あつこシリーズ

6号

 

 

          「おらごど、 なにだど思って けつかるがな! 」

          「おらあ、 おおトラだンぞお、 子トラであ ねんだンぞZyお~!」

          毎日のおたけびのなかからの氷山の一角的なせりふ、ひろい出してみました。

          志村けん扮するいじわるばばあそのものの

          第一級のだみ声で!!

          さあ。今は亡きあつこおばあさん、あなたはいったいナニモノだったのか。

          まずはあなたの毎日のおしごとを紹介することからはじめましょうか。

          

          立てる しごと。「戸を立てる」んだと。

          朝5時と昼すぎの2回、犬の散歩で家を空ける前の一大イベント、

         玄関の前に板を並べる。

          ならべる  ならべる 立てる 立てる とにかく並べる。 

          2メートルもある板から使えなくなって折れたほうきの柄まで・・・

          (ソレ、折ったのあなただったでしょ?白状しなかったけど)

          この絵は玄関の前バージョンですが、病院など、散歩より遠出するときは

          もっと念入りです。

          2時間かけて出かける準備。1メートルほどもある服の山から

          絶妙な色合いのコーディネイトで洋服を選び出し、

          それなりのおしゃれをし、こたつテーブルに ほうきや もの干しざおや 

          タテ長なものをとにかく立てかけて並べ、

          仕上げに洗面器やらバケツやらをのっけて、やっとお出かけ というわけです。

          でかい声でひとりごとを叫ぶのと並ぶ、毎日の日課のひとつです。

          立てかけるための掃除器具があるなんて、あつこおばあちゃん以外、

          誰が教えてくれたでしょう?

          good job!! atsuko!!

          

          わたしが創作のとちゅうに休憩かなにかで古いうち

          (あつこちゃんの巣でもありわたしの創作場所)をあとにして、

          しばらくして戻ろうとしたら玄関がこんなふうになっていて、

          中に入れませんでした。しかたがないから撮った写真を

          油彩で再現してみたというわけです。なんか記録しとけって

          ことだったんじゃないかと思うんです。