6号
さすがの大津波と 原発事故で あつこおばあちゃんの珍獣エピソードの
思いでも吹っ飛びました。
しかしこのめがねエピソードは今後 わたしも使わせていただく
おあばちゃんの知恵としてしっかりと、
記録しておきたいと 思うのです。
日差しの強い日でもあちこち散策できるよう、わたしはサングラスを
買いました。
自分の力で土沢以外の町へ行ったことのないあつこちゃんは、
昼間、隣町まで買い物に行くために
サングラスをかけて さっそうと車に乗り込むわたしのうしろ姿を、
うらめしそうに ふるいうちの縁側から見送るのでした。
そのうち、病院の帰りに 当時はまだあった Uマートでサングラスを
購入してから帰ってくるようになりました。
おばあさん死後に見つかっためがねコレクションは、けっこうなものに
なっていました。なかでもながぐつの中から
見つかったものなどは、2重のくつしたのなかに つつまれて
発見されました。そして ほとんどが ゆがんでいるのです。
サングラスには「UVカット」のシールつき。遺品のいくつかは
私もつかっていますし、シンゴクンにもあげました。
珍エピソードは病院の看護師さんづてに母からききました。
斜めにゆがんだ、値札つきのサングラスを、上下さかさまに
かけて 病院に登場したのだそうです。おそらく¥980の値札。
なかなかいないと思います。
そのように、ときに看護師さんをびっくりさせているあつこおばあちゃん。
いつだったかわたしも病院に付き添ったことが
ありました。待合の長いすでとなりのおばあさんと話がはずんでいるもよう。
「おめ、なんぼだ?」 となりのおばあさんが
あつこおばあちゃんに問いかけます。このあたりからちょっとわたしも
気がかりに・・・
「なんぼだがな・・・」額と目を右手でおおいながら ちょっと考えるフリを
しますそして・・・。
「ありゃありゃ・・・まなぐ いでぐなってきたナ、」
「おらヨ、まなぐ(眼)見えなぐなるって 医者さ そわれでるのっスあ!!」
なんと ごまかしたのです!
いつか私にだって このテクニックを 使わざるを得ないときがくるかも
しれないのです。