F8号
釜石線に乗ってわたしは高校に通いました。いわゆる「汽車通」です。
三陸鉄道はもうぐねぐねです。ぐねぐねといえば、軸の通ったやわらかく
かちっとした 動きに出会いました。
そしてスピード感も十分。
宮本百合子と岡本かの子の文体を左右からぶつけて
ひとりの人間に躍らせたらこうでしょう、という動き。
農萌さんです、みてください。岩手ってたのもしいなあ。
電気といえば岡本太郎だとイメージするようになったのは
いつごろからだったろう?
パリの土にコンセントを差し込んで一気に電流を流し、日本を照らしてくれた
特に東北にあっては。
なまはげや しし踊りにYESをくれた。パリの地下には北斎の富士だか
津波だかあるようだが。
詩集などを 手にとるようになったのは 震災のあとからです。
アツミクンから詩の同人誌が届いたときには
抗鬱剤がきた、とおもいました。
そしたらアメリカでは製薬会社から詩人たちへ多額の寄付が
寄せられているとジョン・ソルトさんが教えてくれました。
アメリカ一大金持ちにになったレディー・ガガでさえ自分は
ブルーカラーだと言い張るんだから、貧乏でぎりぎりの
ところから生まれたものって お金なみに神々しいのかもしれない。
北園克衛、さっそくTUTAYAに予約注文しに行きました。
ちらっと図書館で拾ったけどたしかにその断片、まさにその断片。
常に左右に動かしたマウスのような視線でページに眼を落としてもぶれない
絵というかデザインというかオブジェとしての詩。
これはお金を払って手元においておく価値があると判断できました。
よかった、であえて。20年前に当然のようにとおっていたかったけど。
ソルトさんも言ってるように、教科書にのってると
いうかたちで。
折り目のついた、まったく汚れていない作業着をワイシャツの上にしっかりと
身に着けたわいせつな映像を何回も見てしまって、とても疲れた。
日本のアウグスト・ザンダーは 誰なんだろう?北園克衛の写真のなかに
見出せるのだろうか?