さて チェーン店なので隣の人の席が近い。隣の私より年上と思われる女性は普通にランチを食べ終えた後急にブツブツと喋り出した。ずっと喋っているので電話でもしているのかと思ったが そうでもないらしい。その人の話から推測するとデザートを頼むかどうか独り言を唱えながら検討していたようだ。結局注文後は独り言はやみデザートを召し上がった後お帰りになった。次にその空席に老夫婦が座った。奥さんは元気に色々喋る方でメニューについての問い合わせを店員さんにするなどしていた。旦那さんはすごく寡黙だったが注文の声は聞き取ることができた。奥さんがずっとお話をしていてお店のメニューについてあれこれ話していた。そのうちに奥さんだけが話していることに私は気づいた。 そして沈黙が始まる。 旦那さんが全く何も話さない。そして食べるのがどんどん遅くなっているようだ。 フォークでサラダがうまく救えなかったんだろうか。奥さんは箸を店員さんにお願いした。そのうちに 旦那さんはお箸を使ってカレーライスを食べ始めたようだ。奥さんがスプーンを使えばいいのにと話しかけていた。しかし 旦那さんは何も喋らない。そしてやっと食べ終えたようで旦那さんが一言二言話しトイレに立った。
これから先、自分が入り込んでいく世界を見るような気がしないでもなかった。
でもまあそれはそれとして その会話を聞きながら私は身体感覚についての本を読んでおり 自分の体をパーツで意識していた。右手の感じ左手の感じ。右足の感じ左足の感じ。お腹の感じ衣服が肌に触れる感じ。 いろいろ感じていると自分との関係が深くなり安心感に包まれる。そんな感じで頭を休めながら今に浸る充実した時間を過ごしていた。