すごーく若い時のサイモンとガーファンクル。
なんとも、初々しい匂いする二人の青年の姿がある。
私はサイモンとガーファンクルが、若い時分から大好きで、日曜日の朝など目覚めると同時にベッドのヘッドに沿って置いていたステレオで、彼らの歌声を聴いたものである。
美しい声だと、つくづく思う。
このごろ、彼らは戦後のアメリカに生まれて本当によかったと、つくづく思うのである。
もし、1930年代、ポーランドや、オランダや、ドイツなどの、ヨーロッパに生まれていたなら、彼らは生きていただろうかと、この美しい声を聴けただろうかと、つくづく思うのである。
本を読みながら、繰り返し繰り返し、ずっと聴いていた。
付箋を貼るときや、メモを取るときに、ふっと耳に聞こえてくるサイモンとガーファンクルの曲調と声に、和むというか癒される。
この本も、繰り返し、繰り返し、ずっと読んでいる。

殆ど、全てのページに付箋を貼っている状況……。
ミュンヘン大学の学生だったハンス・ショルとゾフィー・ショル、この二人の兄妹のお姉さんであるインゲ・ショルが記したノンフィクション。
翻訳の内垣啓一氏は、インゲ・ショルのプロのもの書きではない文章の真摯で朴訥な表現や感性を損なわないよう、訳すことに心がけたと後書きにある。
そういう心持ちを抱くのが、よく分かる。
初版は、1955年。
内垣啓一氏は、1964年に改訳版を出版。私が読んでいるのは、この改訳版。
原題 『DIE WHITE ROSE』(白薔薇)
因みに『アンネの日記』の初版は1952年、文藝春秋社から出版された。
これは英訳版から皆藤幸蔵が翻訳し、そのタイトルが『光ほのかにーアンネの日記』。
"光ほのかに"というのは、いったいどういう意味を表現したかったのだろう。
不可解。不快。
こういう本質的な問題から乖離した情緒的な文言って、ほんと厭だ。
更に、副題の "アンネの日記" が削除されて『光ほのかに』というタイトルだけで出版されていたということも確認されている。
『アンネの日記』は、深町眞理子氏のドイツ語からの翻訳で、2003年に「増補新訂版」が文春文庫から出版された。
<追記>
「明日に架ける橋」
Simon & Garfunkel - Bridge over Troubled Water (from The Concert in Central Park)
1982年