
鮭が4匹、漢字で書くとこういうタイトルの絵本。
最上一平という作家の、ぬくもりが、とっても現れている作品のひとつ。
最上は、山形の山奥の貧しい農家の子どもだったという。
最上のデビュー作は『銀のうさぎ』(1985年 新日本出版社)で、絵は、高田三郎が描いている。
高田三郎とは、東京のどこぞの、日雇いで道路工事をしていたころからの仲だという。
『銀のうさぎ』は、故郷、山形で過ごした時間があったからこそ、描けた作品ではないかと思う、珠玉の短編集である。
以来、最上は、ずっと、ぬくもりのある人との関係や、風景を書き続けている作家だ。
このブログの折々に、それらの作品を紹介していきたいなぁーと思う。
今回は、最新作ではないけれど、去年出版された作品、絵本の『さけがよんひき』について、少し。
おばあさんがいる。
畑で野菜を作っているが、その野菜が時々、畑から採られてしまう。
ある日、おばあさんは、採っているのが河童だと知る。
おばあさんは、ひと言も河童と会話をしたことがないのだけれど、気分は「もってけ、もってけ」と、まるでノーテンキ。
というか、むしろ畑仕事に、精を出す。
そうすると、あるとき、おばあさんの玄関に鮭が四匹、届けられている。
と、いうおはなし。
<関係>というものが持つ意味を、上から目線ではなく、とっても、素朴描いているところが、素直にいいなーと思えちゃう作品。
最上の後書きがとっても、良い。
山形を出て、きっと、東京で土方仕事をしている時のことだろう。
山形の母親から、ダンボールいっぱいの野菜が届くのだという。
すっかり児童文学作家として功成り名を為した最上一平は、母の元へ、鮭を届けたかどうかは知らないけれど、毎年、田植えと稲刈りには山形へ帰っているといるらしい。