字のおけいこ

　大阪の祖母殿から送っていただいたお年玉の中に、あいうえおの読み方を覚えられる教育絵本が入っていた。早速盛んに字の練習を始めている。今でも、み、の、り、け、し、など特定の文字は読めるし、書けなくもないのだが、まだまだ覚えている字は少なく、あいうえおから順序だてて取り組んだことはなかったので、これを機会にたっぷりお勉強して絵本くらい自分で読みこなせるようになりたいところである。書くのに関しては、父殿は筆順などとやかましいことを言うが、今のところ私としては気にかけないようにして、好き勝手に書いている。「す」であればタテを書いて、交差させてヨコを書いて、お手本をもう一度見て、タテ棒の真ん中あたりにマルを付け加える、といった按配である。まずはとにかく、形として頭に入れてしまおうというところである。

　今年も色々あった。夏に一度インフルエンザにかかったがこの年末にももう一度かかって、その分軽くすんだ。春に温泉旅行で東北に出かけたのをはじめ、電車でもバイクでもいろいろなところに行った。車に乗ると酔うことが多かった。バイクでも酔って、母殿の背中にもどしたりしたが風を切って走るのは楽しかった。お絵かき、運動にも精を出した。色のついた絵をたくさん描いた。ボールを扱うのがとても上手になって公園でのサッカーが楽しかった。縄跳びも続けて跳べる数が２０を超えた。毎日お歌を聴き、絵本を読んでもらって寝た。自分で暗唱できるようになったお話、歌も数知れないほどだ。わがままを言って怒られたり、お友達と叩きあいの喧嘩をしたりもしたが、いつも変らず明るく元気に過ごせた。５歳になり、年少のお友達にはお兄ちゃんらしく優しく接することも覚えた。

　とは言ってもまだまだ甘えん坊である。うちにいると、始終父殿、母殿にだっこをせがみ、うるさがられる。夜寝る時はどちらかにぴったりくっついていないと寝られない。
「お前は、いつまでパパに抱っこするんだ？」
と父殿が尋ねる。
「ちゅうがっこうにはいるまで！」
と私は元気に答える。
　父殿はため息をつくばかりである。

　覚えたいことがたくさんある。字もそうだし、ピアノも弾きたいし、野球もしたいしお料理もしたい。
「小学校になったら、チャーハンと目玉焼き作ってあげる！」
といつも父殿に宣言している。自転車もうまくなりたいし、お友達が持っているようなゲームもやってみたいのだが、ゲームの方は
「もっと大きくなるまでだめ！」
と固く釘をさされている。そういえば、クリスマスにはトミカタウンのおもちゃを買ってもらうはずだったのであるが、インフルエンザ騒ぎでまだ買ってもらわないままになっている。お正月が明けたら早速にでも買いに行かねばならぬ。

　来年もいい年でありますように、いっぱいいっぱいいろんな所に行って、楽しいことがいっぱいありますように！