三崎のマグロ

　相変わらず釣り三昧の日々で、この週末も土曜日は江の島へ、日曜日は三崎港へと出かけ、終日ロッドを振っていた。もっとも私の場合、根気よくアタリを待つ釣りは苦手で、一日居ても滅多に釣れることのないこの頃はもっぱらシーバス狙いと称してルアーを投げてはラインを巻くことをひたすら繰り返している。それで退屈すると相変わらず周囲の色々な人に話しかけ、釣り方を教わったり、大物を釣った昔話を聞いたりして、しばしば様々なものをもらう。ルアーだけでも７、８個色んな方からいただいて、すっかり物持ちになった。同行の母殿は、江の島ではカサゴ一匹、三崎ではタコ１匹とハゼ４匹の釣果。小学生の頃から釣り好きであった父殿は、この頃は釣行についてはきてもご自身ではほとんど竿を握ることはなく、本を読んだり街歩きをしたりして一日を過ごし、時折私たちのサポートをするくらいである。

　三崎に来たのだからマグロを食べたい！と言ったら、帰る前に三崎港の産直品市場「うらり」に立ち寄り、お買い物をしていくことになった。ここにはもちろん、当地に水揚げされたマグロをはじめとする水産物が東京よりずっと安い値段でさまざま売られているが、父殿が選んだのはその中でも格別廉価な、やや半端な切り身を寄せ集めた様子の冷凍メバチマグロ、500ｇ500円のが２つで700円という詰め合わせ。持ち帰って流水で解凍してみると、なるほど普通に売っている切り身に比べると血合いや骨片など含まれていて見た目は悪いが、切り分けるときれいな赤身の部分から明らかに中トロ・大トロと呼ぶべき部分まで色々あって、味は文句なしの一級品。母殿の釣ったタコをさっとゆでたのと一緒に、大層おいしくいただいた。