善光寺詣りと結婚式

　母殿の弟君の一人Ｍ叔父の結婚式に出席するため長野に赴く。ここ最近遠出がなかったこともあり実に心楽しい旅になった。長野はいつも出かける群馬のすぐお隣だが、新幹線で行ってしまうと余りにあっさりし過ぎていて興が無いので、往路は在来線を乗り継いで行くこととした。朝７時前には家を出て、中央線を高尾で乗り換え、山間いの葡萄畑の広がる甲州路の車窓風景を楽しむ。甲府でお弁当を買ってその後は一本で長野行きであるが、途中松本駅での停車時間もあって３時間近い乗車区間となっている。信州の風物はゆったりとしていて緑に満ちて実に和やかであったし、途中二か所ほど退避線のようなところに車両がスイッチバックのように後退して進むのも面白かった。途中から乗り合わせた長野の高校生のお姉さんのグループの中に私と同じみのりという名前の女の子がいて、仲間からその子が「みのり！」と呼びかけられる度にくすくす笑って過ごした。あいにく曇天で期待していた北アルプスの山々が見れなかったのは少し残念だったけれど、素敵な汽車旅であった。

　午後３時前に長野に到着、やや小雨の降る中をタクシーで指定のホテル国際２１に乗りつけ投宿。荷物を置いて、まだ日も高いのでほど近くにある善光寺まで歩いて出かける。石畳の門前通りは色々なお店が並んでいてなおかつしっとりと落ち着いていて、何ともお洒落なたたずまいである。大きな仁王様の間を通り抜け、本殿の大屋根の下に進んで参拝を済ませると、楽しみにしていたお蕎麦を食べに参道を戻る。多くの蕎麦屋さんが並ぶ中選んで入った吉祥庵さんでは、期待に違わず実に清々しい味の素晴らしいお蕎麦を味わわせてくださり、大満足であった。

　　　　　　　

　翌朝はホテル最上階のレストランでバイキング形式の朝食をいただく。あれもこれも食べたく食べきれないくらい取ってしまって、果物だけで大方満腹になってしまって多くは父殿に食べるのを手伝っていただいた。１６階の高さからの眺めは素晴らしく、昨日行った善光寺もよく見えた。りんごジュースがおいしくて何度もお代りをした。食事の済んだ頃群馬から車で来た祖父母殿一行も到着し、私も礼服に着替え、いよいよ結婚式へ。きれいな打掛をまとったRieお姉さん、紋付姿のM叔父さん、やっぱり小さな礼服を着せられた従弟のカイ君もやってくる。両家顔合わせを終えて、明るいチャペルで結婚式があり、披露宴会場へ。私用の料理がお子様ランチなのはやや不満だったが、本日の私には大役がある。新婦側の親族のWちゃんとともに、お色直しを終えた新郎新婦に花束を贈る役目なのである。Rお姉さんはお母上の手作りというウェデングドレス、それに対しM叔父さんは船乗りであるので、航海士の正装姿での登場だった。たくさんのフラッシュを浴びながらさっきまで会場の隅で一緒に遊んでいたWちゃんと一緒に無事に花束を渡し終え、記念品をいただいた。

　　　　　

　楽しい宴も終わって、帰路は新幹線で一直線に東京へ。車内販売でアイスクリームを食べるのを楽しみにしていたが、ワゴンがまわってこないうちにこの２日間の疲れですっかり眠くなって、たちまちぐっすり眠ってしまった。素晴らしい旅をさせていただいて本当にありがとうございました。M叔父さんRお姉さんそしてカイ君、どうぞお幸せにと心からお祈りします。