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【#朝鮮日報】【コラム】韓国与党の「テロ防止法」召喚

2020-08-30 19:42:18 | 新聞記事
 韓国の与党「共に民主党」は、8月15日の光化門集会を主導したといわれるチョン・グァンフン牧師(サラン〈愛〉第一教会)を念頭に置き、いわゆる「チョン・グァンフン防止法」をぶちまけている。鄭清来(チョン・チョンレ)議員は、災害で被害に遭ったり被害発生の恐れがあったりする人物に対する個人情報提供要請に応じない場合、3年以下の懲役もしくは3000万ウォン(約268万円)以下の罰金に処するという内容の災害安全管理基本法改正案を発議した。金聖珠(キム・ソンジュ)、李元旭(イ・ウォンウク)、呉永煥(オ・ヨンファン)、田溶冀(チョン・ヨンギ)議員も感染病予防・管理法改正案を発議した。疫学調査を妨害したり集合行為禁止措置などに違反したりした場合、5年以下の懲役もしくは5000万ウォン(約447万円)以下の罰金に処するというものだ。

 法案の中身を見てみると、朴槿恵(パク・クンへ)政権時代の2016年3月に制定したテロ防止法と似た内容が多い。当時、テロ防止法は「国がテロの危険人物の出入国・金融・通信情報を収集できる」(9条)と定め、「テロ扇動・宣伝物の緊急削除」(2条)、「テロ被害支援」(15条)などを明示した。テロ組織のリーダーなどに対する重罰条項もある。

 当時野党だった民主党は、テロ防止法に対し「憲法が保障する国民の基本権を侵害する」として無制限討論(フィリバスター)を行った。議員38人が休むことなく192時間27分にわたって発言し、世界最長記録としてギネスブックに載った。「民主主義をテロする法」(兪承希〈ユ・スンヒ〉議員)、「政権は短く、国民は永遠だ」(鄭清来議員)、「論争がない民主主義は危機」(洪翼杓〈ホン・イクピョ〉議員)、「いかなる抑圧からも自由でいられるべき」(殷秀美〈ウン・スミ〉議員)という発言が続いた。その直前、当時の文在寅(ムン・ジェイン)民主党代表も「野党(民主党)には民主化・市民・労働・人権運動を行った議員が多い」として「人権侵害を警告することこそ野党の存在理由」と主張した。

 そんな民主党が、チョン・グァンフン牧師とサラン第一教会に対しては、テロ防止法と似たような内容の法律を適用しようと言いだしているのだ。民主党代表候補の金富謙(キム・プギョム)前議員は「チョン・グァンフン牧師やサラン第一教会などは事実上、生化学テロ集団」だと語った。最高委員に出馬した盧雄来(ノ・ウンレ)議員は「チョン・グァンフンをテロ防止法違反で直ちに身柄拘束すべき」と主張し、李元旭議員も「ウイルステロ犯チョン・グァンフンを緊急逮捕せよ」と発言した。

 文在寅大統領は政権4年目で、民主党が176議席の巨大与党になってから4カ月以上が過ぎた。ところが、野党だったころに「この世の悪法」と批判していたテロ防止法を廃棄するという話はどこからも出てこない。逆に「テロ防止法を発動しよう」と言い「直ちに身柄拘束、緊急逮捕」と主張している。

 チョン・グァンフン牧師や一部の人物が間違っているのは確かだ。しかし「テロ防止法」に決死反対していた民主党がわずか4年で、この人々に厳罰を科したいと言ってテロ防止法そっくりな法案を作っている様子を見ると、ぞっとする感覚がある。「民主」と「公安」は紙一重なのだろうか。

ウォン・ソンウ政治部記者


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