北朝鮮「申し訳ない」表明から35日で態度を変える
北朝鮮は30日、韓国海洋水産部(省に相当、以下同じ)職員のイ某氏射殺・焼却事件について「自分たちの住民をしっかりと管理できなかった南側に責任がある」と主張した。先月25日、北朝鮮は統一戦線部名義で「申し訳なく思う」とする金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のメッセージを伝えたが、今回それとは正反対の態度を示した形だ。北朝鮮は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直接提案した共同調査についても1カ月以上にわたり明確な態度を示さず、またこれに加えて今回賊反荷杖(盗人猛々しいの意)な態度を示したにもかかわらず、韓国政府は一言の抗議もしていない。韓国政府の内外からは「遺体を焼却したとする主張を取り下げ、越北事件として終わらせることで、北朝鮮の蛮行に免罪符を与えようとする韓国政府と韓国軍当局の態度がこのような恥辱を招いた」との指摘が相次いでいる。
北朝鮮はこの日、朝鮮中央通信を通じ、イ氏の射殺・焼却事件について「われわれの海域に不法侵入した南側住民が、取り締まりに応じず逃走する状況になったと判断した我が軍兵士のやむを得ない措置」とした上で「南側に優先的な責任がある」と主張した。北朝鮮はさらに「南側内部で広がっている数々の中傷に耐え、最大の忍耐で自制してきた」「南側において、この事件を国際的な反共和国謀略騒動にしようとする危険千万な動きが露骨化している深刻な現実は、我々の雅量と善意の限界点を揺るがしている」とも伝えた。「イ氏の射殺は正当であり、逆に南側が北側の善意を受け入れなかった」という趣旨だ。
韓国国防部と統一部は特に反論はしなかったが、その一方で「北朝鮮による事実の究明と解決に向けた努力が迅速に行われることを望む」「そのために南北間の疎通に向けた軍通信線の優先的な連結を求める」との考えを示した。
■政府職員の遺体と焼却をめぐる韓国政府と北朝鮮の発言
北朝鮮は1カ月前に「謝罪」の意向を示し、南側の雰囲気をうかがっていたが、今回突如高圧的な態度に変わった。これは今回の事件が南北関係の悪材料になることを文在寅(ムン・ジェイン)政権が願っていないと判断したためのようだ。韓国国防部は先月24日、韓国政府職員のイ氏が射殺された事件について発表する際「我が軍が様々な諜報を精密に分析した結果、北朝鮮が北側海域で発見した我が国の国民に銃撃を加え、遺体を焼却する蛮行を犯したことを確認した」と説明した。しかしその翌日に北朝鮮が「イ氏の遺体は焼却していない」という趣旨の通知文を送ってきたため、韓国政府の態度が一変した。青瓦台(韓国大統領府)と政府・与党からは「国防部の発表は早まっていた」との指摘が相次ぎ、さらに「再発防止のために北朝鮮と対話すべきだ」との雰囲気が急速に広がった。
韓国国防部の徐旭(ソ・ウク)長官は今月23日、国会で遺体焼却について「(韓国軍の)断言的な表現で国民に心配をかけた」と証言したが、この発言をめぐっては「態度が後退した」との指摘が相次いだ。北朝鮮もその日「保守牌黨(はいとう、やからの意)があれほど大騒ぎしている『遺体損壊』も、南朝鮮軍部によってすでに真実が明らかになった」と主張した。韓国海洋警察も「イ氏は衝動的になり、パニック状態で越北した」として越北説を強く主張するなど、この事件の意味を引き下げるかのような態度を示したことで、北朝鮮に間違ったシグナルを送る形になったようだ。
文大統領は28日に国会で行った「2021年度予算案提出施政方針演説」でこの事件に言及したが、その際「国民の死亡」という言葉を使った。非武装の民間人が残忍な形で殺害された事件について、単なる事故を連想させる言葉を使い、北朝鮮の責任を弱める意図があったとの見方が出ている。韓国国家戦略研究院外交安保センターの申範澈(シン・ボムチョル)所長は「韓国政府が北朝鮮の立場に同調するかのような態度を示すことで、北朝鮮に態度を変えるきっかけを与えた」とコメントした。保守系野党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員はフェイスブックで「(北朝鮮が)申し訳ないという一言で何か全ての免罪符を受けたかのように、自分たちの恐ろしい行動を合理化している」「そうなるほどに南北の和解は一層遠のき、不信の溝はさらに深くなる」と指摘した。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者
北朝鮮は30日、韓国海洋水産部(省に相当、以下同じ)職員のイ某氏射殺・焼却事件について「自分たちの住民をしっかりと管理できなかった南側に責任がある」と主張した。先月25日、北朝鮮は統一戦線部名義で「申し訳なく思う」とする金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のメッセージを伝えたが、今回それとは正反対の態度を示した形だ。北朝鮮は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が直接提案した共同調査についても1カ月以上にわたり明確な態度を示さず、またこれに加えて今回賊反荷杖(盗人猛々しいの意)な態度を示したにもかかわらず、韓国政府は一言の抗議もしていない。韓国政府の内外からは「遺体を焼却したとする主張を取り下げ、越北事件として終わらせることで、北朝鮮の蛮行に免罪符を与えようとする韓国政府と韓国軍当局の態度がこのような恥辱を招いた」との指摘が相次いでいる。
北朝鮮はこの日、朝鮮中央通信を通じ、イ氏の射殺・焼却事件について「われわれの海域に不法侵入した南側住民が、取り締まりに応じず逃走する状況になったと判断した我が軍兵士のやむを得ない措置」とした上で「南側に優先的な責任がある」と主張した。北朝鮮はさらに「南側内部で広がっている数々の中傷に耐え、最大の忍耐で自制してきた」「南側において、この事件を国際的な反共和国謀略騒動にしようとする危険千万な動きが露骨化している深刻な現実は、我々の雅量と善意の限界点を揺るがしている」とも伝えた。「イ氏の射殺は正当であり、逆に南側が北側の善意を受け入れなかった」という趣旨だ。
韓国国防部と統一部は特に反論はしなかったが、その一方で「北朝鮮による事実の究明と解決に向けた努力が迅速に行われることを望む」「そのために南北間の疎通に向けた軍通信線の優先的な連結を求める」との考えを示した。
■政府職員の遺体と焼却をめぐる韓国政府と北朝鮮の発言
北朝鮮は1カ月前に「謝罪」の意向を示し、南側の雰囲気をうかがっていたが、今回突如高圧的な態度に変わった。これは今回の事件が南北関係の悪材料になることを文在寅(ムン・ジェイン)政権が願っていないと判断したためのようだ。韓国国防部は先月24日、韓国政府職員のイ氏が射殺された事件について発表する際「我が軍が様々な諜報を精密に分析した結果、北朝鮮が北側海域で発見した我が国の国民に銃撃を加え、遺体を焼却する蛮行を犯したことを確認した」と説明した。しかしその翌日に北朝鮮が「イ氏の遺体は焼却していない」という趣旨の通知文を送ってきたため、韓国政府の態度が一変した。青瓦台(韓国大統領府)と政府・与党からは「国防部の発表は早まっていた」との指摘が相次ぎ、さらに「再発防止のために北朝鮮と対話すべきだ」との雰囲気が急速に広がった。
韓国国防部の徐旭(ソ・ウク)長官は今月23日、国会で遺体焼却について「(韓国軍の)断言的な表現で国民に心配をかけた」と証言したが、この発言をめぐっては「態度が後退した」との指摘が相次いだ。北朝鮮もその日「保守牌黨(はいとう、やからの意)があれほど大騒ぎしている『遺体損壊』も、南朝鮮軍部によってすでに真実が明らかになった」と主張した。韓国海洋警察も「イ氏は衝動的になり、パニック状態で越北した」として越北説を強く主張するなど、この事件の意味を引き下げるかのような態度を示したことで、北朝鮮に間違ったシグナルを送る形になったようだ。
文大統領は28日に国会で行った「2021年度予算案提出施政方針演説」でこの事件に言及したが、その際「国民の死亡」という言葉を使った。非武装の民間人が残忍な形で殺害された事件について、単なる事故を連想させる言葉を使い、北朝鮮の責任を弱める意図があったとの見方が出ている。韓国国家戦略研究院外交安保センターの申範澈(シン・ボムチョル)所長は「韓国政府が北朝鮮の立場に同調するかのような態度を示すことで、北朝鮮に態度を変えるきっかけを与えた」とコメントした。保守系野党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員はフェイスブックで「(北朝鮮が)申し訳ないという一言で何か全ての免罪符を受けたかのように、自分たちの恐ろしい行動を合理化している」「そうなるほどに南北の和解は一層遠のき、不信の溝はさらに深くなる」と指摘した。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者
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