米国政府がヒューストンの中国総領事館閉鎖を中国に要求したというニュースは22日午後に伝えられた。翌日韓国証券市場では取引開始直後に大騷ぎが起こった。特定銘柄の株価が急騰した。ユニオン、ユニオンマテリアル、ティープレックス、セノテック、ノバテックなどだ。共通点は「レアアース」関連事業をしていることだった。
レアアーステーマ株の株価が上がった理由は簡単だ。中国がレアアースで米国に報復する可能性のためだ。レアアース需要が高まればこれら企業が利益を得るだろうという期待だ。韓国がこれなら中国はどうだろうか。中国の多維新聞によるとこの日中国の証券市場では盛和資源などレアアース関連企業の株価が急騰した。
総領事館閉鎖は中国としても想像が難しかった攻撃だ。国内世論を静めるためにもじっとしていてはならない。中国が米国に使える報復カードを整理した。
◇レアアース輸出禁止
≪効果≫
レアアースは「先端産業のビタミン」だ。電子製品と先端軍事装備に必ず使われる材質だ。中国は世界のレアアース生産量の約70%を担っているという。
サウスチャイナ・モーニング・ポストとウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、米国は年間1万トン前後のレアアースを輸入している。このうち80%ほどを中国から輸入している。
中国は戦略的にレアアース産業を育成してきた。ウォール・ストリート・ジャーナルによると米コンサルティング会社ホライゾンアドバイザリーはこのほど発表した報告書で、「中国は数年にわたり補助金を通じてレアアース産業を育成し、これを地政学的武器として使う準備ができている」と指摘した。その上で「中国はレアアースを米国との貿易紛争を含め西側に対し使用できるレバレッジとみている」と付け加えた。
中国は2010年代以降、他国と摩擦を起きた時にレアアースを持ち出した。尖閣諸島(中国名・釣魚島)領有権紛争で2010年に日本へのレアアース輸出を禁止したのが代表的だ。米中貿易戦争が本格化すると米国にも報復カードとしてレアアースを使うことを考えている。昨年習近平国家主席が江西省のレアアース精製工場を訪問した後、国営メディアは米国に対するレアアース輸出中断の可能性を示唆したことがある。
≪リスク≫
中国がレアアースというカードを中途半端に切ることはできないという分析も多い。2010年に日本は中国の輸出禁止措置に対し備蓄していたレアアースで耐え抜き、他地域のレアアース鉱山開発に積極的に乗り出した。結果的に中国のレアアースの独占的地位が揺らいだ。2010年に世界の97%に達していた中国のレアアース生産は昨年70%に落ちた。
◇米国債売却
≪効果≫
中国は1兆ドル以上の莫大な米国債を持つ。日本に次いで世界2位だ。中国が米国債を大挙売却すれば米国債価格の暴落と金利上昇につながりかねない。
≪リスク≫
中国としても米国債を大挙売却すればドル安を甘受しなければならない。これは世界市場で中国資産の価値が下落することを意味する。いずれにしても世界市場はドルで決済するためだ。しかも中国当局は不良銀行救済や人民元価値防衛に向けドルが必要だ。米国に打撃を与えようとしてむしろ自国経済の足を引っ張ることになりかねない。
◇中国内の米国企業追放
≪効果≫
人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は昨年、米中貿易戦争で中国が使える武器を3種類挙げた。レアアースの全面輸出禁止、米国債売却を最初と2番目に話した。
最後に言及したのが「米国企業追放」だ。中国の安い労働力を利用したり、中国消費者の人気を得ている米国企業に致命打になるということだ。代表的企業としてアップルが挙げられる。アップルはiPhoneなど自社の主要製品の多くを中国で生産する。アップルとしても中国市場は逃すことはできない所だ。
≪リスク≫
アップルのような企業が離れれば中国も打撃が大きい。まず中国国内のアップル工場で働く中国人が大挙失業状態となる。しかも新型コロナウイルスにより世界の主要企業は中国に全面依存したグローバルサプライチェーン構造を変えようとしている。もしアップルなど主要米国企業の追放を断行すればこうした傾向がさらに加速化する恐れがある。
◇中国国内の米総領事館閉鎖
≪効果≫
それなりに他に比べ実現の可能性が大きいカードだ。名分もある。中国はこれまで米国の各種攻撃に「やられた分だけ報復する」という基調を明らかにしてきた。中国内の米国領事館閉鎖はヒューストン総領事館閉鎖に対する報復の性格でこの基調に合致する。
中国は24日にこれを実行に移した。中国外交部はこの日在中米国大使館に「中国は四川省成都駐在米国総領事館の設置と運営許可を撤回する。成都総領事館のすべての業務と活動を中止せよ」と通知した。
ここで終わりではないかもしれない。23日に環球時報が興味深い報道をした。23日にウェイボーで中国のネットユーザーを対象にしたアンケート調査の結果だ。米国領事館閉鎖候補地としてどこが良いかというものだった。1位が香港総領事館だった。半分以上が香港を選択した。同日環球時報の胡錫進編集長はウェイボーに「米国は香港領事館に1000人余りの職員を置いている。その多くの職員は何をしているのか。当然情報収集センターだ」と主張した。
大陸にある成都総領事館より香港は米国にさらに痛いかもしれない。米国企業のアジア本社が大規模に布陣されているためだ。香港国家安全法実施に反発し香港に対する特別地位を剥奪することにした米国に対する抗議の性格も込められる。
≪リスク≫
香港の経済と金融が致命打を受けるほかはない。香港という象徴性も大きい。むしろ一国二制度が損なわれたと考える香港市民の不満に油を注ぎかねない。中国政府が最初の領事館閉鎖要求地域として香港ではなく成都を選択したのには理由があるとみられる。
レアアーステーマ株の株価が上がった理由は簡単だ。中国がレアアースで米国に報復する可能性のためだ。レアアース需要が高まればこれら企業が利益を得るだろうという期待だ。韓国がこれなら中国はどうだろうか。中国の多維新聞によるとこの日中国の証券市場では盛和資源などレアアース関連企業の株価が急騰した。
総領事館閉鎖は中国としても想像が難しかった攻撃だ。国内世論を静めるためにもじっとしていてはならない。中国が米国に使える報復カードを整理した。
◇レアアース輸出禁止
≪効果≫
レアアースは「先端産業のビタミン」だ。電子製品と先端軍事装備に必ず使われる材質だ。中国は世界のレアアース生産量の約70%を担っているという。
サウスチャイナ・モーニング・ポストとウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、米国は年間1万トン前後のレアアースを輸入している。このうち80%ほどを中国から輸入している。
中国は戦略的にレアアース産業を育成してきた。ウォール・ストリート・ジャーナルによると米コンサルティング会社ホライゾンアドバイザリーはこのほど発表した報告書で、「中国は数年にわたり補助金を通じてレアアース産業を育成し、これを地政学的武器として使う準備ができている」と指摘した。その上で「中国はレアアースを米国との貿易紛争を含め西側に対し使用できるレバレッジとみている」と付け加えた。
中国は2010年代以降、他国と摩擦を起きた時にレアアースを持ち出した。尖閣諸島(中国名・釣魚島)領有権紛争で2010年に日本へのレアアース輸出を禁止したのが代表的だ。米中貿易戦争が本格化すると米国にも報復カードとしてレアアースを使うことを考えている。昨年習近平国家主席が江西省のレアアース精製工場を訪問した後、国営メディアは米国に対するレアアース輸出中断の可能性を示唆したことがある。
≪リスク≫
中国がレアアースというカードを中途半端に切ることはできないという分析も多い。2010年に日本は中国の輸出禁止措置に対し備蓄していたレアアースで耐え抜き、他地域のレアアース鉱山開発に積極的に乗り出した。結果的に中国のレアアースの独占的地位が揺らいだ。2010年に世界の97%に達していた中国のレアアース生産は昨年70%に落ちた。
◇米国債売却
≪効果≫
中国は1兆ドル以上の莫大な米国債を持つ。日本に次いで世界2位だ。中国が米国債を大挙売却すれば米国債価格の暴落と金利上昇につながりかねない。
≪リスク≫
中国としても米国債を大挙売却すればドル安を甘受しなければならない。これは世界市場で中国資産の価値が下落することを意味する。いずれにしても世界市場はドルで決済するためだ。しかも中国当局は不良銀行救済や人民元価値防衛に向けドルが必要だ。米国に打撃を与えようとしてむしろ自国経済の足を引っ張ることになりかねない。
◇中国内の米国企業追放
≪効果≫
人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は昨年、米中貿易戦争で中国が使える武器を3種類挙げた。レアアースの全面輸出禁止、米国債売却を最初と2番目に話した。
最後に言及したのが「米国企業追放」だ。中国の安い労働力を利用したり、中国消費者の人気を得ている米国企業に致命打になるということだ。代表的企業としてアップルが挙げられる。アップルはiPhoneなど自社の主要製品の多くを中国で生産する。アップルとしても中国市場は逃すことはできない所だ。
≪リスク≫
アップルのような企業が離れれば中国も打撃が大きい。まず中国国内のアップル工場で働く中国人が大挙失業状態となる。しかも新型コロナウイルスにより世界の主要企業は中国に全面依存したグローバルサプライチェーン構造を変えようとしている。もしアップルなど主要米国企業の追放を断行すればこうした傾向がさらに加速化する恐れがある。
◇中国国内の米総領事館閉鎖
≪効果≫
それなりに他に比べ実現の可能性が大きいカードだ。名分もある。中国はこれまで米国の各種攻撃に「やられた分だけ報復する」という基調を明らかにしてきた。中国内の米国領事館閉鎖はヒューストン総領事館閉鎖に対する報復の性格でこの基調に合致する。
中国は24日にこれを実行に移した。中国外交部はこの日在中米国大使館に「中国は四川省成都駐在米国総領事館の設置と運営許可を撤回する。成都総領事館のすべての業務と活動を中止せよ」と通知した。
ここで終わりではないかもしれない。23日に環球時報が興味深い報道をした。23日にウェイボーで中国のネットユーザーを対象にしたアンケート調査の結果だ。米国領事館閉鎖候補地としてどこが良いかというものだった。1位が香港総領事館だった。半分以上が香港を選択した。同日環球時報の胡錫進編集長はウェイボーに「米国は香港領事館に1000人余りの職員を置いている。その多くの職員は何をしているのか。当然情報収集センターだ」と主張した。
大陸にある成都総領事館より香港は米国にさらに痛いかもしれない。米国企業のアジア本社が大規模に布陣されているためだ。香港国家安全法実施に反発し香港に対する特別地位を剥奪することにした米国に対する抗議の性格も込められる。
≪リスク≫
香港の経済と金融が致命打を受けるほかはない。香港という象徴性も大きい。むしろ一国二制度が損なわれたと考える香港市民の不満に油を注ぎかねない。中国政府が最初の領事館閉鎖要求地域として香港ではなく成都を選択したのには理由があるとみられる。
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