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【#WIRED.jp】イタリアが新型コロナウイルスの“激震地”になった「2つの理由」と、見えてきた教訓

2020-03-22 03:53:58 | 海外の反応
新型コロナウイルスの影響で混乱が広がり、世界はカオス状態に陥っている。いつまで隔離状態を維持する必要があるのか。パンデミック(世界的大流行)はいつピークを迎えるのか。株価はどこまで暴落するのか──。答えの出ない多くの疑問が、人々の不安をかきたてる。

しかし、ひとつはっきりしていることがある。それは高齢者ほど新型コロナウイルス感染症「COVID-19」による死亡率が高いことだ。若者は感染してもまったく症状を示さない可能性があり、高齢者にとって極めて危険な状況にある。若者は気付かないうちに高齢者に新型コロナウイルスを感染させてしまう可能性があるからだ。

特に被害が集中しているイタリアでは、世界で最も多くの死者が出ている。多数の患者に対応しきれない医療現場では、命を助けられる患者を選別する苦渋の決断が迫られる状態が続いているほどだ。

こうしたなかオックスフォード大学の研究チームが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と死亡率に関する新しい論文を発表し、イタリアにおいて被害が拡大した理由を説明している。論文では、イタリアの世界2位の高齢化率(総人口に対する65歳以上人口の比率)と、若者が祖父母などの高齢者と頻繁に交流する傾向の2つが挙げられている。

高い高齢化率と実家暮らしが影響?
パンデミックの初期段階で、ますます多くの国が新型コロナウイルスへの対応を迫られ、ウイルスの感染が家族や地域内でどのように拡大するのかを学んでいる。こうしたなかで人口統計学的な研究は、ほかの国々が新型コロナウイルスの脅威に立ち向かう上で重要になってくる。

イタリアの高齢化率は23パーセントを超えている。一方、米国は16パーセントだ。この新しい論文の筆頭著者で、オックスフォード大学の人口統計学者で疫学者のジェニファー・ビーム・ダウドは、「高齢化はイタリアの人口構造の変化の要因のひとつです」と指摘する。「しかし、最も大きな要因は急速な出生率の低下です」と語る。つまり、高齢化よりも少子化による影響のほうが大きいということだ。

同時に、イタリアの若者は高齢者と多く交流する傾向がある。ダウドのイタリア人共著者は、若い人たちは両親や祖父母と一緒に田舎で暮らし、ミラノのような都市で働くために通勤している可能性があると指摘する。イタリアの世帯構成に関するデータも、この家族のスタイルを裏付けている。

論文の著者は、都市と実家の間のこの頻繁な行き来が、新型コロナウイルスの「見えない」感染を悪化させた可能性があると主張している。都市部で働いたり遊んだりする若者が、大勢の人と交流する場で新型コロナウイルスに感染し、それを家に持ち帰っている可能性がある。症状がなければ、最も脆弱な集団である高齢者に感染させていることにまったく気がつかないだろう。

「高齢者ほど死亡率が高いことはわかっていますが、その理由はまだ解明されていません」と、エモリー大学医学部の上級副学部長であるカルロス・デル・リオは指摘する(リオは今回の研究には関与していない)。例えば、高齢者のほうが呼吸器系が弱いことから、肺炎などの病気に罹患した結果として高齢者の死亡率が高くなっている可能性が考えられる。

高齢者の隔離だけが重要ではない
子どもが新型コロナウイルス感染症でそれほど重症化していない理由を研究しているほかの研究者は、子どもたちの肺が過去にアレルギーや汚染物質、または病気によって引き起こされる炎症反応を体験したことがない「損傷のない」状態であることが多く、それが新型コロナウイルスの攻撃に対する耐性を高めている可能性があると推測する。

イタリアでは3月12日以降に全土で封鎖措置が実施されているが、新型コロナウイルスはすでに広範囲に広がっている。しかし、この種の人口統計学の知識があれば、ほかの地域の公衆衛生当局が新型コロナウイルスの脅威にもっとうまく対処できると、ダウドは言う。

「わたしたちがはっきりさせたい論点のひとつは、必ずしも高齢者の隔離だけが重要というわけではない、ということです。高齢者が最も弱いことは認識しています。曲線を平坦化するには、奨励されている全国民による社会距離戦略も重要なのです」と、ダウドは説明する。

「曲線を平坦化する」とは、感染が拡大するスピードを落とし、研究者が治療とワクチンを開発する時間を稼ぎ、病院にいくらかの猶予を与えることを意味する。「わたしたちの論点は、脆弱な人口の比率が高い地域で特に重要だと思います」と、ダウドは言う。

フロリダは厳しい状況に?
若者と高齢者の分離は理論的には有効かもしれないが、現実的には問題を招く可能性がある。例えば、何としても曲線を平坦化したい米国の地方当局者は学校を閉鎖しているが、親が自宅外で働いているか、または親自身が病気であることで親が子どもの面倒を見ることができない場合、祖父母が子どもの世話することになるかもしれない。

さらに問題を複雑にするのは、イタリアの研究は、人口統計が地域によって大きく異なる米国のような大国で予想される事態を正確に追跡していないことだ。高齢者よりもはるかに若者が多い都市もあれば、その真逆の郊外もある。

例えば、現役を引退した高齢者が多く集まるフロリダについて考えてみよう。「フロリダはイタリアを集約したような地域であると考えられます」と、カリフォルニア大学アーバイン校の人口統計学者であるアンドリュー・ノイマーは言う(ノイマーは今回の研究には関与していない)。「フロリダは厳しい状況になると考えていいでしょう」

高齢者が非常に多く、その多くが高齢者向けコミュニティの狭い空間で一緒に暮らしている地域では、大惨事を避けるために社会距離戦略がより一層重要になる。「フロリダは新型コロナウイルスで大被害を被る運命にあるわけではありません」と、ノイマーは言う。「社会距離戦略を実施してピークを平坦化する時間はまだあります。発生してしかるべきことを抑制できるかもしれません」

高齢化でも感染が抑制されている日本
高齢化社会が、必ずしも新型コロナウイルス感染症のアウトブレイク(集団感染)で壊滅的な被害を受けるわけではない。例えば、人口の28パーセント以上が65歳以上の日本を見てみよう。世界保健機関(WHO)によると、3月16日時点でイタリアで確認された感染者は24,747人、死亡者は1,809人だが、日本で確認された感染者は814人、死亡者は24人だ。日本は香港やシンガポールなどの近隣諸国とともに、アウトブレイク初期に検査体制を急速に増強し、厳格な渡航規制を実施した。

イタリアの事例を活用すれば、今回のパンデミックと戦うための実用的な措置を講じることができると、ダウドは考えている。高齢者のいる地域を特定し、「医療機関への負担が最も大きくなる場所に少し先回りすること」を試みることができるかもしれない。

米国では大量検査の実施が大幅に遅れたが、3月13日に民間企業が開発した2種類の新型コロナウイルス検査の使用が米食品医薬品局(FDA)によって承認された。これで米国で感染した若者と健康な高齢者の分離が進むかもしれない。それまでの間、祖父母とは電話で近況を交換するにとどめたほうがいい。

MATT SIMON


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