1989年ヴェネツィア国際映画祭のグランプリを受賞した『悲情城市』は、1945年から1949年までの台湾を舞台に、二二八事件を背景の一部としてある台湾の家族に起きた悲劇を中心に当時の台湾の人々を描き出しています。監督の侯孝賢は、固定カメラや長回しといった作風が知られていますが、この映画ではさらに、主人公の青年(トニー・レオン)のセリフの字幕や、クローズアップが使われない等、映像はあくまで静的です。このような映像表現と映画のテーマがどのように関連しているのかを考察しました。 . . . 本文を読む