◆「損」を「益」に変えた人がいる。すご腕の社長ではない。江戸期の貝原益軒である。「損軒」と名乗っていたのを、「益軒」と改名した。
◆企業業績や家計簿の損(赤字)を益(黒字)に変える。民主党政権の稚拙な外交が残した“国損”を国益に改める。安倍内閣のする仕事とはつまりそういうことで、益軒先生と縁がなくのない。きのうの施政演説で首相はその人の挿話に触れた。
◆大切に育てていた牡丹を過って折ってしまった若者を、益軒は許す。「牡丹を植えたのは楽しむためで、怒るためではない」と。
◆われわれは何のために国会議員を志したのか。政局や足の引っ張り合いではなく、お互いに寛容の心で建設的な議論をし、結果を出すことが使命だ―と演説は説く。寛容の心。そう、野党に良識を問いながら自身を戒めてもいよう。支持率はいよいよ高く、内閣としても傲りの虫に用心していい頃合である。
◆益軒先生の語録より。<聖人を以てわが身を正し、聖人を以て人を正すべからず。凡人を以て人を許すべし、凡人を以てわが身を許すべからず>これもいい。
2013.3.1 編集手帳
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