短歌と小説

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短歌と小説 2

2020-08-22 13:03:16 | 創作
文化祭でシンデレラを見てときめいた演じているのは男と知りつつ





文化祭で、こってりと稽古が必要な演劇をやる羽目になってしまった。

もし、三年生なら
「受験があるから」 
と反対出来たかも知れないけれど、俺達はお気楽な一年生。
しかも
「演劇をやろう」
と言い出したのは、ほかでもない担任教諭。

演劇好きの鬼教師に逆らえず、演目は
「シンデレラ」
とまで決まってしまった。

「シンデレラは馨がやるよな」
担任教諭が当然のように言った。

担任教諭が指名した森口馨という奴は、小柄で女の子みたいな顔ををしている。

今は学ランを着ているので男子だと分かるが、私服の時は何度も女の子に間違われてナンパされて困ると、以前、話してくれた事がある。

本人も自覚しているので、馨がシンデレラで決定し、そのまま俺はシンデレラを苛めるねーちゃん役に決定した。

そして文化祭当日、馨のシンデレラは年頃の男子校生徒達を大いに刺激してくれた。

鬼担任に
「何処の学校から呼んだ女子生徒ですか?」
と訊いてくる教師もいたらしい。

みんなが馨を労う中、俺は少し複雑だった。

今まで
「女の子みたい」
と心のどこかで見くびっていた相手に俺は、特別な感情を抱いてしまったのを感じていたからだ。




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