「SHURE E500 みたいな 『上品な艶のある中高音』 のカスタム IEM って、無いかなー」とネットを彷徨いましたが…そもそもカスタム IEM 自体、あんまり無いもので。ま、ポータブルな環境で耳型まで採って音楽聞きたいってヤツは、よっぽど物好きな希少市場でしょう。
とはいえ、昨今は iPod を起爆剤に高級カナルタイプのユニバーサルIEMが売れており、その延長でカスタム IEM に興味を持つ方も多いようです。入手可能なカスタムIEMやそのインプレ等は、Music TO GO! さん、thrillseeker さん等、その道にどっぷりな方々の Blog をご覧ください。
さて、その thrillseeker さんの Blog にて、日本にも「須山カスタム」なるカスタム IEM があることを知りました。須山補聴器という補聴器の会社が始めたカスタムIEM のようです。UEのカスタム IEM が世界のミュージシャン使われているように、須山のカスタムIEM FitEar も、日本のミュージシャンを中心に使われはじめているようです。
同社の「歯」さんが mixi に立ち上げた "カスタムイヤーモニター" コミュの書き込みを拝見していると、"FitEar Private 435" が 「モニタ用途のフラットな再生音をベースに、800~2000Hz程度の中音域が若干持ち上がった音」のようで。
私が愛する SHURE E500 も中高音に特徴のある(ボーカル域は艶やかに、10kHz 以上の高音域は、音の分離は良いながらも少し控えめに、な) IEM ですから、ひとつこの Private 435 を試してみるか?と。
須山補聴器 Web の問い合わせフォームでアポを取り、昨年末、東京へ行く機会のついでに、須山補聴器銀座店へ。こちらで、サンプルのユニバーサル仕様の Private 435 を試聴させていただきました。
フラット基調なのは 11 pro と同様。11 pro のような低音の肉付けはありませんが、可聴帯域の下限から上限まで、しっかり鳴っているのが分かります。音の分離も帯域に関わらず良好です。
ただ、私が期待していた「ボーカル帯域の持ち上がり」が、どうもイメージと違っていて…
確かに声は聞き取りやすいんですが、どうも電話での会話的?な聞き取りやすさに感じられて。楽器の一つとしての「声楽」とはちょっとイメージが違うような、、、気が。もちろん、カスタムシェル化することによって密閉性が上がり、それに伴って低音が増強され、雰囲気は結構変わると思うんですが。
UE の 11 pro も持参し、聞き比べてみました。こちらは深く重い低音と、キラキラの澄んだ高音。それらに負けないボーカル。音楽として聴いたとき、非常に賑やかです。意識を集中した帯域の音はすべからくハッキリと聞き取ることができ、ゴージャスです。が、これはこれで、長時間聴いてると疲れる…orz 一種の低周波振動公害でしょうかw
一通り試聴させていただいた後、
「SHURE の E500 の音がスキで…でも、そろそろ『また』ケーブル被覆割れが起きそうな硬化がみられるんだけど…保証の2年を超えてちゃったし…どうしようかと悩んでまして。」とお話したところ。
「ならば E500 をカスタムシェル化するって手もありますよ?」
とのお言葉。
なるほど、どうせ保証切れなら、改造もアリですな。FitEar のカスタムシェルならリケーブルも可能なので、FitWar ケーブルが硬化してしまったとしても、そこはケーブルだけ買い直せば済む話。
好きな音が存在するなら、その音を聴けばいい。不満が音以外のところにあるなら、ガワはどうにでも取り替えられる! ってことですね。
即決。カスタム化の費用は5万円強。元々 Private 435 で10万円強の出費は覚悟していたので、むしろ安く上がったような錯覚。w
まず持参した E500 のユニットが生きているかを確認していただき、その後耳型採取。シェルやプレート、ケーブルの色を選んで、発注。
冬休みを挟んで1月第3週、クロネコさんがブツを運んできました。
custom ue 11 pro は Royal Deep Blue (スケルトン)を選んだので、こちらは赤のスケルトンを選んでみました。UE には澄み切った高音のイメージがあるので青を、E500 には暖かみのイメージがあるので赤を、ってなモンです。(^^;
11 pro 同様、ケーブルのシェル側には、耳にかける形をつくるための針金が入っています。しかし 11pro と違って非常に柔らかく、"SHURE掛け" して後頭部側のケーブルを軽く押さえると、それだけで耳たぶにフィットします。
シェルの作りは、11 pro より上質です。表面処理も非常になめらかですし、音出口もきれいに面取りされていて、装着時に外耳道に当たって痛みを感じることも皆無です。
装着感も非常に良好。11 pro より若干、内圧高めですが、その分遮音性はより高く、首やあごを大きく動かしても完全な密閉性を保ちます。長時間装着していても、痛みはありません。
この具合があまりにも良かったため、11 pro も外耳道に収まる部分を少し太くしてもらうよう、現在返送中です。やはり、複数の製品を実際に使用して比較することには大きな意味があります。(代理店の ExtremeWave 社には、その辺の手配も完全にサポートしていただいています。私の作業は、修正対象の現物を日本国内の指定住所へ送るだけでした。)
肝心の音はというと…元の E500 と全く変わらない、ってわけではありません。そりゃ、イヤーチップ変えただけで音ってのは変わるもんですから。
密閉性が増した分、中低音が増強された感じがあります。ただし、11 pro ので増強されている低音とは質が異なります。耳道から喉、頭にかけて揺す振られる、という意味では同じですが、11 pro の低音より、もう少し波長が短い側でボンボン鳴ってるような感じです。(元々の E500 の低音の特徴のまま、低音のボリュームが膨らんだ感じ) ハウス系のバスドラム等で、11pro の低音との違いがよく分かります。
ボーカル・弦楽器の艶や、上品で柔らかい高音は、E500 のそれ、そのままです。
11pro と体感音量を同じくして比べると、可聴周波数の上限・下限に近い帯域のボリュームが少ないのが、一聴して分かります。しかし、それ故に 11pro より聴き疲れを起こしにくく、長時間気持ちよく聴いていられます。音楽の雰囲気を損なわず、それでいて繊細で、柔らかく、かつ力強い "SHURE の音" は健在です。
全機種で経年劣化による被覆割れが激しい SHURE の IEM ですが、「須山カスタムシェル化」は、この欠点を克服する最上の手段です。
mixiの板から飛んで参りました。
私は昨今の円高のおかげでUE-11を購入して、
腹の底からくる低音に悶絶しております。
この低音に疲れたらまた435に戻って・・・と
いい循環ができつつあるので、ポータブル環境は
結構充実しつつあります。
SHURE E500は私もE4Cからの乗り換えで使ってました。
やっぱろ断線で新品の箱を3個ももらってしまいましたw
E500のカスタムシェル化は大成功みたいですね。
私のE500は親父に譲渡しましたが、もし断線するような事があれば、カスタム化を親父にも勧めてみようと思います。
11proの低音は、本当に体に響きますね。狭いライブハウスでロックを聴いている感覚を思わせます。
私のポータブル環境は現在、3種類ほどのキャラクターの異なるポータブルアンプを手配中です。この E500 改も含め、11pro に Triple.fi 10pro、ER-4S 等々、折角良い IEM が手元に転がってるので色々試してみよう、と。
ウチでは基本的に、買ってきたCDをリッピング&可逆圧縮したものを RME FireFace800 でDA変換し、マッキンの MA6800 で増幅して DYNAUDIO のスピーカで鳴らしています。
しかし、FireFace800 のヘッドホン出力をポータブルアンプを通して IEM で聴くと、各々のポータブルアンプの性格、IEM の性格がよりハッキリ分かります。HD60GD9-EC は質の良いイヤホン出力ですが、FireFace800 レベルとはいえ、据え置きのヘッドホン出力に比べると力不足を感じます。
SHURE の被覆割れは本当に困ったモンです。私も保証が切れるまでの間に3回新品交換ですw
E500のカスタムシェル化、新品E500と同程度の値が張るのが欠点ですが、E500の音が気に入っている方には非常にお勧めです。元々E500の装着感は良好ですが、カスタム化によって更に良好な装着感と、若干の低音増量を図ることができます。
ただし、周囲の音情報が必要な環境…電車内でのアナウンス待ち等…では、うっかり聞き漏らす恐れがありますが。そんなときこそPTH、でしょうかw
mixiの板からsu27で飛んできました。
11proと須山カスタムの比較情報、興味深くは意見しました。
私はまだ11proを発注し、インプレッションの採取待ち状態ですが、早く手に入れたいです。須山カスタムはまだ未完成のようですが国内ではカスタムイヤホンを扱う会社が無いので今後もかんばって欲しいです。
またきます。
須山シェルの遮音性に触発され、11pro も耳道内部分を2まわりほど太くする「ドラマー向け特殊加工」を施すべくUEに里帰りさせているんですが…なんと!EMSの配送事故で紛失、先週中に発見されなければ今週再作成、というハメになってます。やっぱ郵便はダメだぁ~海外は高くてもFedEx!
ExtremeWave通しといてよかった~( A ||| 保証範囲内なので、追加料金は発生しません。
須山さんとこはシェル作成は本業ですが、「自社(自分?)のカラーの音作り」という面では試行錯誤されている最中のようで、そういう意味では「他社のIEMのドライバをカスタム化」という依頼の仕方は、顧客としては一番「安心できる」道かもしれません。
11proの購入を考えており、huqdogのブログも参考にさせて頂いています。
現在、E500PTをメインに愛用しております。
さて、11Proに関してですが、
HUQ様の「低周波振動公害」という言葉が印象的でが頭から離れず購入に踏み切れません(笑)
(悪い意味ではありません)
UE-11proの低音については、ポジティブなレビューでは、「中域と同じ~若干多い位」という人もいますし、「低音が多すぎるということはない」という人もいます。
UE-11Proは、
「低周波振動公害」と言う程、低音過多の機種なのでしょうか。
それとも、PHPAとの組み合わせ次第であったり、イヤホンにしては低音が多い機種と考えれば良いのでしょうか?
音質について、
総合的に音質はtriple fi10proよりも上と考えてよいのでしょうか?
(個人的に、triple fiの中域の癖と高域の粗さが、UE11pro改善されていることを期待しております)
初コメントでの、長文での質問、どうかお許し下さい。
11proの低音についてですが、まずこのwavを聴いてみてください。
http://simhuq.sytes.net/wav/00010Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00020Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00030Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00050Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00060Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00080Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00100Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00125Hz.WAV
普通のイヤホンで「低音が大きい」ものは、100Hz~125Hzあたりの低音が大きく聞こえるものが多いと思います。
それに対し11pro では、50~80Hzあたりの低音が強く感じられます。100Hz以下の低周波数を含む楽器は、元々低音を響かせることが目的の楽器のみであることが多く、普通のpops等ではあまり表に現れません。すなわち、「低音が他の音を邪魔すること」は殆どありません。
逆に「低音を効かせたサウンド」の場合、11proの低音はその低音を存分に聴かせてくれます。
というわけで、「11proは作曲者の意図に近い音を聞かせてくれる」と言えるのではないでしょうか。
上記の性質は、ポタアンの有無にはあまり左右されません。また、総合的な音質は、明らかに Triple.fi 10pro より上です。中域の落ち込みと高域の荒さは、殆ど気にならないレベルにまで改善されています。
ただし、「全域が元気に鳴る」ため、曲と体調によっては「賑やかすぎて疲れる」と感じることもあると思います。そんなときは Klipsch X10 など、お勧めです。
http://simhuq.sytes.net/wav/00080Hz.WAV
http://simhuq.sytes.net/wav/00100Hz.WAV
詳しい解説、本当に勉強になります。
10Proは高域の粗さに不満があったので、11Proは魅力的名です。
11Proは、低音が強いというより、ローエンドの伸びが凄まじいということでしょうか?
どのようなソースで11Pro低音が出すぎる状況になってしまうのか、突然低音が出るかもしれないと思うと、少し怖いところです。
自分は、Jazz,Classic,Pops,Rock,打ち込み、割とどのジャンルも聞くほうなので、
聴いている曲を変えた瞬間に鼓膜を破るほどの低音が鳴り響くようなことになると少し心配です。
もう一つ質問させて頂いて宜しいでしょうか?
聴き疲れがある、とのことですが、1時間も聴いていられない程聴き疲れがあるような機種なのでしょうか。
長時間聴くと聴力に悪そうな機種なのでしょうか?
主観に左右されるようなことを、ずうずうしく質問してしまい申し訳ありません。
突然、不自然にローエンドが耳に響く、ということはありません。ボーカルや高音に比べて不自然にローエンドが大きいことはありません。中高音にボリュームを合わせていれば、低音が爆音になることはありません。あくまで「モニタ用途」として使える範囲内です。
聴き疲れについては、曲次第ですがあると思います。
私の耳はどちらかというと2000Hz~8000Hzの大音量に弱いため、ER-4S で「低音がしっかり感じれる」音量で聴くのに比べれば、遙かに 11pro のほうが疲れにくいです。
結局、人間は「自分が一番聴きたい音域」にボリュームを合わせてしまうため、場合によっては別の音域の音量が聴き疲れするほど大きくなってしまうことが、11pro に限らず、イヤホン・ヘッドホンには多々あると思います。
11pro はしっかり低音が出る分、低音を感じたい向きにとっては、逆に音量を下げても十分に質の良い低音を感じることができるます。よって、かえって「耳に良い」とも言えます。
結局、聴力の健康は使い手の嗜好次第、といえるでしょう。