この1月から、晴れた朝はベランダで、日の出を低速度撮影するのが日課になっています。
しかし、明るさが大きく変化する日の出・日の入において、グラデーションの変化を滑らかに写すのは難しい。。。
手持ちのカメラ(NIKON D5000, Fujifilm S5pro, RICOH GR Digital3)は何れも、絞り・シャッター速度を連続的に変えられません。このため、だんだん明るくなる被写体では、絞りを絞った時、シャッター速度を上げた時に、前のコマとの明度差が明らかに"判って"しまうのです。
絞り優先モードでは、一旦上がったシャッター速度が次のコマではまた落ちたり、と安定せず、結果的にちらつきの多い、見辛い動画になってしまいました。
ではマニュアルモードならどうか、というと…絞り・シャッター速度が固定でも、コマ毎に微妙な露出の誤差があり、時折ではありますが、やはりちらつき感が残ります。
色々試した末、以下の結論に達しました。
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プログラムオートモードを用いる
シャッター速度と絞りの両面から露出の変化が一番小さい組み合わせが、自動的に選ばれるため。
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カメラは GR DIGITAL 3 を用いる
D5000 と GR DIGITAL3 には、ISO-AUTO モードがある。シャッター速度と絞りの組み合わせで得られる露出の差に、ISO-AUTO による感度の差を加えることによって、より無段階に近い露出調整を行うことができる。
高ISO時、D5000 の ISO-AUTO は 100刻みで変化するが、GR DIGITAL3 の ISO は4~6ずつ変化する。GR DIGITAL 3 のほうがより細かく変化するため、GR DIGITAL 3 を用いる。
GR DIGITAL3 は 35mm版換算で 28mm 相当の単焦点だが、風景の長時間低速度撮影は広角レンズ有利なので問題ない。また、GRDシリーズの色味は青空の撮影に向いている。レンズの解像度もコンデジの中では優秀であり、動画サイズにリサイズされたパンフォーカスの写真に限れば、APS-Cに超広角ズームレンズを組み合わせて撮った写真と比べても遜色無い。高ISO時の色ノイズは多少気になるが、後述の隣接コマ間露出合成により目立たなくすることができる。
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各コマに対し、隣接するコマ間の露出合成を施す
コマ毎の測光誤差に基づくちらつきを緩和するため、隣接するコマの露出合成を行う。
露出合成処理は、フォルダ指定で複数ファイルの連続処理をサポートしている、Photomatrix Pro 3 を用いる。Photomatrix Pro 3 は有料ソフトだが、「露出合成-平均化」設定なら、無料のデモ版もサポートしている。
露出合成処理には、ちらつき低減の他、高感度ノイズの低減効果もある。撮って出し1枚、2枚合成、3枚合成、5枚合成のサンプルを以下に挙げる。
Photomatrix Pro は元来 HDR (High-Dinamic-Range)写真を作るためのソフトであり、AEオートブラケットでインターバル撮影し、各コマをHDR化したものを露出合成すれば、コンデジの弱みであるダイナミックレンジの狭さを補った低速度撮影の可能性も開ける。
露出合成を行うと、動きの速いモノが1コマ中に複数写るため、動画上ではそこだけブラーがかかったように見える。これを防止するには、撮影コマ間をできるだけ短くし、露出合成する枚数を出来るだけ減らせば良い。
GRD3 で設定可能な最短インターバル時間は5秒である。2~3枚の露出合成でも、ある程度のちらつき抑制、グラデーション中のマッハバンドの移動抑制、高ISO時ノイズ向上が見込めたので、合成する枚数はとりあえず2枚、とする。
そんなこんなで1日かけて撮影してみた定点観測がこちら。どんなもんでしょう?
GR DIGITAL 3、Pモードで ISO設定は AUTO-HIGH(上限ISO1600)、インターバル5秒、各コマ Photomatrix Pro 3 による露出合成-平均化で2枚を合成し、60fps で繋いで動画化しています。
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とーりあえず、早く雲の流れがダイナミックな台風の季節、来ないかな~(^O^)