川本町の無念
結局、昼飯を調達することができずに駅に戻った。すでに行列ができていた。それにしてもよく晴れて、空の色がきれいだ。
いつもこのくらい乗っていれば、廃線にもならなかったのにねぇ。
発車間際に、地元で案内をしていた男性が現れ、状況の説明があった。その言葉には鉄路を残せなかった悔しさがにじんでいるように思った。びっくりしたのはその後。別の男性が話し始めた。「私、この町の町長です」。びっくり。町長自ら見送ってくれるとは。それだけに愛着も感じていたのだろうが、やはりこのスピードでは無理だ。バスもかなり減便されているようだ。これが日本の地方の現実。東北でもローカル線の存続問題が出ているが、新幹線が比較的内陸を走っているので、そこと組み合わせた観光列車を走らせることでなんとか持っているようにも思う。新幹線から遠い路線は苦しいのだろうな。
発車時刻。町長以下、総出でお見送り。
さすがに飽きてきたような
川本からは立ち席。立ちながらの写真は難しい。
それにしても、川の風景は変わらず。きれいはきれいだが飽きてくるね。いろいろといわくを聞きながら通る方が楽しいのかも。そういう意味では、なんだかんだとJR東日本は商売上手。
堤防がかさ上げされたけれど、線路はそのままの位置を走っているので、洪水時には線路が堤防を突っ切る部分を締め切る「陸閘」が数多く設置されている。
そういう所にもお見送りをしてくれる地元の人やら、撮り鉄さんたちやら。
家族連れも手を振っている。
江津に到着
車窓にも飽きてきた頃、ようやく江津に近づいた。江の川もゆったりと流れている。
江津バイパスの鉄橋の向こうに日本製紙の煙突。
山陰線の鉄橋が近づいてきて、
江津駅に到着。三次から4時間近く。
列車はそのまま三次へと折り返す。
昔ながらの国鉄駅、といったたたずまい。
あと半年で、この「のりかえ」看板は無用のものになる。きっとこの下の空白部分には「国鉄バス」って書いてあったんだろうなあ。