赤坂のホテルで元・留学生S氏と待ち合わせ。
自分は白髪に、彼は禿げ上がり、お互いに大分変わっていたが、すぐにわかる。
タクシーで予約していた店に行く。彼の母国であるベルギー料理の店だ。
日本語と英語のちゃんぽんで話を始める。これも学生時代と一緒。
びっくりしたことがいくつか。
・来日していたころの奥さんと違う人が奥さんだったこと
・研究者だったはずなのに実業家になっていたこと
・英国に行ったはずなのにUAEに住んでいること
15年もたつとずいぶん変わるものなんですねぇ。
やがて昔話が始まる。一瞬にして、17年前の研究室にタイムスリップするようだ。
当時のメンバーのこと、研究のこと…。
自分は、年齢も研究キャリアもずっと自分より上だった彼のチューターだったのだが、彼の日本へのソフトランディングに少しは役に立っていたようで、今日もいつまでもそのことを話してくれていた。(そういえば、下宿を引き払うときに、彼に冷蔵庫をあげたんだっけか)
3時間はあっという間に過ぎる。支払いのときに、シェフに「彼、ベルギー人なんです」と言うと、シェフも現地で修行したそうで、話が盛り上がっていた。
UAEに遊びに来いよ、仕事もこっちですれば?と言うありがたいオファー。
仕事はともかく、中東が少し身近に感じられるようになった。
歩いてホテルに戻ると言う彼と奥さんの後姿を見送った。
…自分は、もうそうやって見送られることはないのだろうな。