次の日の朝。
お父さんがどうしても食べさせたい朝食があるから一緒に行こう。
友人が私を起こした。
咳をしながら起きた。
まだ直ってない。日本にいても咳はなかなか直らない。歯を磨いてナツメを一つ頬張る。
窓から外を見ると空気はどんよりとしてて、都会のいかにもな空気でお世辞にもキレイとは言えず。
ハングル語のニュースを見てた。
何を言ってるかさっぱりわからないけど何故だか最後の天気予報は好きだった。季節的にキムチを浸けるタイミングを教えてくれるキムチ予報も大好きだった。
今日はキムチを漬ける最高のお天気ですハムニダって言ってるのかな?
あら?ばかにしてる?
冗談だよ。私には最後のハムニダしか聞き取れないから。
私もだよ。
なんか少し安心した。
お父さんが来て三人で街にくり出す。
辛いから食べれるかな?
お父さんが言う。
何これ?試されてる?
いやそうではないらしく、お父さんが日本人をよく連れてくるそうだが誰一人そのまま食べた事なく、お水入れたりして薄めて食べてるらしい。
その大衆食堂みたいな場所に着いた。
こう言うローカルな食堂。
大好き。
ここはね、朝はメニュー一つしかないんだよ。座ってれば勝手に出てくるんだよ。
お父さんが言った。
座ってると本当にスープとご飯のセットが来た。
お父さんはまた食堂のおばちゃんに私を紹介してる。
たくさん食べてね。
と多分ハングルで言ってると思われる。
ご飯をスープに入れるんだよ。ご飯にスープかけるのは行儀が悪い行為。まぁ、僕にはどう違うのかわかんないけどね。
お父さんが言う。
でも郷に入れば郷に従え。言われた通りにスープにご飯を入れる。
食べてごらん。
お父さんと友人が私を見る。
辛い、いや旨辛い。ご飯に染み込んでたまらん。このもやし、豆もやし、日本のより美味しい。あれ?このレバーみたいのは何だろう?ふわふわして臭みの全くないレバーの様だ。
どうだい?
食べるのに夢中になり、何も言わなかった。
マシイッソヨ。めちゃくちゃ美味しいです。特にこのフワフワしたレバー??めっちゃ美味しいです。
良かった良かった。こうやってそのまま食べて貰うのが一番嬉しいね。
いや美味しいです。
レバー美味しい?
美味しい。こんな臭みのないフワフワしたレバー初めて食べました。
実は、この私が美味しいと言っておかわりしたレバーと思われた物、帰りの飛行機で友人がボソッと言った。
朝食で美味しいって沢山食べたレバーあったじゃん。
うん。
あれレバーじゃないんだよ。
え?
美味しい美味しい言ってるから言いづらかったけど、
何よ。
牛の血の塊。
ふうん。
驚かないの?
だって似た様なもんじゃん。
さすが驚かないんだね。
美味しい方が勝ってしまうね。また食べに行きたいもん。
凄いわ。
と本当に美味しい食べたい方が勝ってしまって食べない手はないのだ。これは私の一種の特技かも知れない。
さて、朝食を食べ終えて、
銀行に来るかい?
はい!
何か適当に返事したけど大丈夫かな?
銀行に着くと何かわからないけどお父さんと離ればなれになって友人と私だけ違う応接室みたいなところに通された。
何だろう?なぜここなの?
友人に聞くと、
お金引き出してるからじゃない?
軽く言う。
銀行の人が梅茶とお菓子を持ってくる。
銀行にお茶飲みに来た訳ではない。
この梅茶めっちゃ美味しいよ。
友人が言う。
いや、これって普通なの?日本でもなかなかないんじゃない?え?梅茶って何?美味しいの?
飲んでみた。
アルコールの入ってない梅酒の味でほのかに酸っぱい。
おいしー。
でしょ?いつも私一人で待ってるから今日は楽しいよ。
ここに?一人で?
うん。ねー、韓国の銀行探検しない?
うん。
二階の応接室を出て、一階の普通の日本と同じ所謂銀行に来た。
日本も韓国も同じだなー、とそんな事を考えてた。
でも応接室に通されてお茶やお菓子を貰う事はないな。
よっぽどのお得意様なんだろーな。
その後にすぐ会う韓国の女性がその考えを更に確実にする。
次回、南大門市場で迷子になって半泣きで助けて貰う編。
お楽しみに。
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