アイデアリズム idealism daydream

「アンデッドアンラック」で見た「素朴実在論」や「独我論」 2024年03月16日

2024年03月16日

 まだアニメが終っていないので書くのは早いかもしれませんが「アンデッドアンラック」の感想を書いちゃいます。

(あらすじ)触れた人を「不運(アンラック)」にしてしまう特殊な能力を持つ「出雲風子」。人生に絶望し自殺を試みようとするが、その時に突然現れた「アンディ」。アンディもまた決して死ぬ事ができない特殊な能力「不死(アンデッド)」に悩まされていたのだった。

 私の中で琴線に触れたのが、第21話と第22話のお話で、引用すると、

ある夜アンディが死とは何かを風子に問う。
アンディは脳の思考が止まった時にこそ死であると言う。
だが風子は誰にも覚えてもらえなくなった時にこそ死なのだと答える。
その答えはアンディに新しい死の解釈をもたらすものだった。

 これはどういう意味なのかと私は考えてみたのですが、おそらく、

・アンディは物理的な死を考えている→引用の中では「脳の思考が止まった時
・風子は哲学的な死生観がある→引用の中では「誰にも覚えてもらえなくなった時」

 この2つの「死ぬという事」については相反するものではなく、

・考え方の違い
・物の見方の違い

 アンディの物理的な死というのはもちろん「頭や体が死んでしまうことを意味する」ものなので、

・たぶん誰もが納得する「死ぬという事」

 風子の「誰にも覚えてもらえなくなった」というのは少し哲学の理解が必要で、

・自分自身の存在がなくなる→自分以外の人が自分を認知できなくなる→死ぬ、つまりいなくなるという事

 これは私が以前、

[長文] インターネットやX(旧Twitter)上の「自分自身の実在」は他の人が必要なのです(素朴実在論) その2

 に書かせてもらったことと同様で、

・自分1人で自分が生きているとか死んでいるとかが分かるわけではなく、私があなたを見ていないと「あなたは生きているとか死んでいるという事」は分からないし証明できないでしょ?
・こういう考え方を哲学では「素朴実在論」とか「独我論(唯我論)」という

 あまりネタバレをしたくないのですが、

・アンデッドアンラックの第23話「ボクの知らない物語」では第21話、第22話を補強するようなお話

 アンデッドアンラックのお話の根底にあるのは「死生観」で、どうして「いきなり本とか漫画が出てくるのか」というと、

・その人の経験とか人生とかは「その人の記憶でできている」
・その記憶を他の人に知ってもらうためには言葉や絵などで伝える(コミュニケーションをする)しかない
・記憶がなければ人生や経験もないし、それらが無ければその人の死生観はつむげない
・他の人に知ってもらえなければ自分自身の「生きている、死んでいる」の証明にならない

 今現在「テレパシー」の研究は進んでいないし「脳と脳を直接つないで情報のやり取りやコミュニケーションなんてできない」ので、

・媒体(本や漫画、テレビ、インターネットなど)は何でも良いが、結局のところ人間は「言語のコミュニケーション」に縛られている、と言える
・絵などの非言語コミュニケーションは情報が限られているので、どうしても言葉で補う必要がある

 アンデッドアンラックは個々の特殊な能力については命名規則があって、

・風子は運が無いので「不運(アンラック)」
・アンディは死ねないので「不死(アンデッド)」
・安野雲(ペンネーム)は存在を誰も知ること(認識)ができないので「不明(アンノーン)」などなど

 要は「不○○(un××)」と言うように、

・いったん「何かがあって」それを「否定する力がある」ので特殊な能力になっている

 この命名規則の「何かがある」のを否定している事自体が、

・哲学の形而上学の「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」という究極的な問いとからんでくる
・このあたりの哲学的な面白さもあるよねー

 特殊な能力の持ち主(劇中では否定者と呼ばれる)がイロイロ集まっているので、

・中には悪い事のために能力を使おうとする輩もいる

 し、そもそも、

・なぜイロイロ集まっているのか?

 という展開も目が離せないし、

・否定者が普通の人とは違って特殊な能力があるからって言っても「自分の都合のいい能力とは限らない
・キャラそれぞれに「それぞれの思い」や「ドラマがある」

 のも毎回楽しみだったり…とそんな今日この頃。
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