不妊治療における血液検査は、卵胞期・排卵期・黄体期においてE2、FSH、LH、P4の4つのホルモン値をチェックし、治療をすすめる上での指針としている。夢クリやKLCでは採血後1時間ほどで結果がわかるので、特に排卵前の急変に即対応してもらえる。基準値は、ASKAレディースクリニックのHPより転載。
E2(エストラジオール)
卵胞の成熟とともに分泌され、子宮内膜を厚くして頚管粘膜(おりもの)を増やす。D3のE2値が100前後の高数値になると遺残卵胞の可能性が高く、妊娠には至らない卵であることが多い。排卵直前に1卵胞につき250前後あるのが理想。排卵誘発剤の過剰な使用により異常に高値になる場合(卵巣過刺激症候群)や逆に低値になる場合(卵巣機能不全、下垂体機能低下症等)がある。夢クリ・KLCでは、このホルモン値のD3、D12~14(排卵前)の数値を特に重要視している。
基準値
卵胞期25~195
排卵期66~411
黄体期40~261
FSH(卵胞刺激ホルモン)
脳下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣に働きかけて卵胞の発育を促す。夢クリではD3のFSHを特に重視し、D3で10以下が理想とされる。値が高すぎると、低刺激治療は不適用となる。20を超えると卵巣機能低下の可能性があり、早期閉経も疑われる。マーベロン等のピル服用後に一気にリバウンドしてしまうこともある。KLCではD3でのFSH値はそれほど重視せず、値が高くても低刺激治療を行っている事例が多い。LH>FSHの場合、排卵障害(多嚢胞)が疑われる。
基準値
卵胞期3.5~12.5
排卵期4.7~21.5
黄体期1.7~7.7
LH(黄体形成ホルモン)
脳下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣での卵胞成熟と排卵を促して排卵後の黄体を刺激する。排卵直前にこのLH値が大量に分泌されることをLHサージと呼び、これによって排卵が引き起こされる。LHの推移は、富士山のようななだらかな傾斜ではなく、エッフェル塔のような急斜が理想。夢クリ・KLCでは、LHサージの起こり始めで排卵を防ぐためにガレニスト注射やボルタレン座薬が使用されるケースが多い。LH>FSHの場合、排卵障害(多嚢胞)が疑われる。
基準値
卵胞期2.4~12.6
排卵期14.0~95.6
黄体期1.0~11.4
P4(プロゲステロン)
黄体から分泌されるホルモンで、基礎体温を上昇させE2によって厚くなった子宮内膜をさらに着床しやすい環境に整える。また着床後も分泌され続け、妊娠維持を手助けする。低値の場合、黄体機能不全が疑われる。夢クリでの自然周期移植は移植日のP4値を重視し、採血結果によりP4が12以下の場合は移植がキャンセルとなる。KLCでは、移植日当日のP4値は重視しない代わりに黄体ホルモン補充薬(デュファストン)が処方される。ホルモン周期移植の場合、両者共にP4の補充にはプロゲステロン注射やデュファストンが使用される。
基準値
卵胞期0.2~1.5
排卵期0.8~3.0
黄体期1.7~27.0(妊娠後は更に