静岡県東部にて5月上旬に観察したトンボたち。
ホソミオツネントンボ
♂
♀ 初めて見るホソミオツネントンボの産卵
池の水位が上がり、一時的にできた水辺にイトトンボたちが集まっていて、その中に2頭のホソミオツネントンボを見つけた。ホソミオツネントンボは今年初見。
今の時期のホソミオツネントンボにはもう少し長くて細身なイメージがあるのだが、今回の個体は少し短く寸胴気味に感じた。
アオハダトンボ
未成熟♂を1頭のみ確認。アオハダトンボは今年初見。たまたま運良く会えたという感じで、安定して観察できるようになるのは、まだまだ少し先なのだと思う。
アオハダトンボは昨年のシーズン途中から観察し始めたため、発生時期について昨年との比較はできない。しかし、5月下旬以降は毎週のように観察しに行ったので、今後は個体数、雌雄の数、交尾・産卵が見られた時期に関してなど、ある程度は比較できると思う。
今年は1〜3月は天候不順、4月は気温が高かった。このことがアオハダトンボの発生にどのような影響を与えるのか興味がある。年間を通じて15℃前後の一定した水温であり、流量も年間を通してほとんど変化がなく安定している河川のため、大きな影響はないように思うのだが、どうなのだろう。今年、来年、再来年と気長に観察をして、自分なりの結論をその時に出したい。
アサヒナカワトンボ
♀
♂(無色翅型)
♂(橙色翅型)
腹部に白い粉が帯びている雄をよく見かけるようになった。
アオモンイトトンボ
♂
今年初めて見るアオモンイトの交尾。
この日は2ペアの交尾を見ることができた。
見かける場所、個体数が少し増えた。
ホソミイトトンボ
越冬型♂
ホソミイトトンボには秋に羽化して成虫のまま冬を越す越冬型と、初夏に羽化して秋まで見られる夏型がある。夏型には数回会ったことがあるが、今回初めて越冬型に会うことができた。池の水位が上がり、一時的にできた水辺でホソミオツネントンボやアオモンイトトンボと共に見つけた。個体数は5頭ぐらい。
ホソミイトが、アオモンイトやホソミオツネントンボ♂がとまっている場所にとまりに行くと、彼らはその場所を明け渡した。しかし、産卵場所を探しているホソミオツネントンボ♀には逆に、とまっている場所を奪われていた。
ホソミイトトンボがとまっていた場所を奪い取り、産卵を始めたホソミオツネントンボ♀。ホソミオツネントンボもホソミイトトンボの越冬型と同様、成虫のまま越冬する。
ホソミイトの交尾、連結産卵シーンを見たかったのだが、残念ながら雄ばかりでそのような展開にはならなかった。
夏型も細長いのだが、越冬型はよりサイズが大きく、それにもまして細長く感じる。
夏型♂ 緑色味が強い (2017.08上旬)
越冬型♂ 鮮やかな水色
なんて粋なイトトンボなのだろう。
クロイトトンボ
♂ 成熟し胸部には青白い粉を帯びている。
こちらの雄は水辺から少し離れた草むらで見つけた。まだ胸部に青白い粉を帯びていない。成熟するまでは水辺から少し離れて生活する予定なのかな。
この池では、クロイトトンボが続々と羽化しているようだった。
セスジイトトンボ
♀ 水辺から少し離れた草むらに雌たちが集まっていた。
♂ 池の水際にて。
この雄は眼後紋がセスジイトの特徴的な「おにぎり型」ではなく、ムスジイトのそれに近い。
セスジイトは今年初確認で、時期は昨年と同様。水辺で見かけたのは数頭で、少し離れた周辺で多数の雌を見つけた。
ムスジイトトンボ
♂ 田んぼ脇水路にて
今年の初確認となった前回は1頭だけだったが、今回は5頭以上が見られた。ただ、ムスジイトが見られる場所はまだ限られている。
ヤマサナエ
♂
♂
里山の河川周辺の狭い範囲で、まとまった数の雄が見られた。生息密度が高かったためか、雄同士が争う場面が見られた。ヤマサナエの縄張り争いは初めて見た。
シオカラトンボ
♂
♀
見かける場所、成熟個体を見かける機会が増えてきた。
ハラビロトンボ
♂
♀
相変わらず未成熟個体が多く見られ、羽化が続いているようだ。また、周辺の水辺で縄張りを主張する雄を目にするようになった。
ウスバキトンボ
こんな写真しか撮影できず・・・
今年のウスバキトンボの初認は、こどもの日となった。1頭だけ。場所は浮島沼つり場公園の北側。前日は少し肌寒い晴れの天気で、風が非常に強かった。
####### 5月上旬に観察したトンボ一覧 #######
ホソミオツネントンボ*
アオハダトンボ*、アサヒナカワトンボ
アオモンイトトンボ、ホソミイトトンボ@越冬型+
クロイトトンボ、セスジイトトンボ*、ムスジイトトンボ
ヤマサナエ
シオカラトンボ、ハラビロトンボ、ウスバキトンボ*
全12種
+ 初見
* 今年初見
昨年から「ある可能性」を感じ始めた近所の池。近所だから無理なく通える。こまめに通えば、ちょっとした変化にもすぐに気づける。そして、思いがけない場面に遭遇できるかもしれない。今回、この池への取水作業で水位が上昇し、いつも陸地になっている場所が、水辺になっていた。そしてそこに、この池では見たことがないホソミオツネントンボや、初めて見るホソミイトトンボ(越冬型)が集まっていた。この時期に一時的にできた観察しやすい水辺を見逃さなかったことが、幸運を引き寄せた。これが「近所の自然観察」の醍醐味の一つ。初めてホソミイトトンボ(越冬型)に会えてうれしかった。しかし、それ以上に、観察や考察を続け「この池周辺にはトンボ越冬種がいてもおかしくない」と感じ、今回それが確認できたこと。それが一番うれしかった。
池の水位が元に戻ってしまえば、トンボたちは観察しづらい場所へ移動してしまう。次にこれらの越冬種に会えるのはいつになるのか、わからない。それでもいいじゃないか。彼らは今まで通りこの池で命のバトンをつなぎ続けるだけだ。そして、今の自分はそのことを知っているのだから。
ホソミオツネントンボ
♂
♀ 初めて見るホソミオツネントンボの産卵
池の水位が上がり、一時的にできた水辺にイトトンボたちが集まっていて、その中に2頭のホソミオツネントンボを見つけた。ホソミオツネントンボは今年初見。
今の時期のホソミオツネントンボにはもう少し長くて細身なイメージがあるのだが、今回の個体は少し短く寸胴気味に感じた。
アオハダトンボ
未成熟♂を1頭のみ確認。アオハダトンボは今年初見。たまたま運良く会えたという感じで、安定して観察できるようになるのは、まだまだ少し先なのだと思う。
アオハダトンボは昨年のシーズン途中から観察し始めたため、発生時期について昨年との比較はできない。しかし、5月下旬以降は毎週のように観察しに行ったので、今後は個体数、雌雄の数、交尾・産卵が見られた時期に関してなど、ある程度は比較できると思う。
今年は1〜3月は天候不順、4月は気温が高かった。このことがアオハダトンボの発生にどのような影響を与えるのか興味がある。年間を通じて15℃前後の一定した水温であり、流量も年間を通してほとんど変化がなく安定している河川のため、大きな影響はないように思うのだが、どうなのだろう。今年、来年、再来年と気長に観察をして、自分なりの結論をその時に出したい。
アサヒナカワトンボ
♀
♂(無色翅型)
♂(橙色翅型)
腹部に白い粉が帯びている雄をよく見かけるようになった。
アオモンイトトンボ
♂
今年初めて見るアオモンイトの交尾。
この日は2ペアの交尾を見ることができた。
見かける場所、個体数が少し増えた。
ホソミイトトンボ
越冬型♂
ホソミイトトンボには秋に羽化して成虫のまま冬を越す越冬型と、初夏に羽化して秋まで見られる夏型がある。夏型には数回会ったことがあるが、今回初めて越冬型に会うことができた。池の水位が上がり、一時的にできた水辺でホソミオツネントンボやアオモンイトトンボと共に見つけた。個体数は5頭ぐらい。
ホソミイトが、アオモンイトやホソミオツネントンボ♂がとまっている場所にとまりに行くと、彼らはその場所を明け渡した。しかし、産卵場所を探しているホソミオツネントンボ♀には逆に、とまっている場所を奪われていた。
ホソミイトトンボがとまっていた場所を奪い取り、産卵を始めたホソミオツネントンボ♀。ホソミオツネントンボもホソミイトトンボの越冬型と同様、成虫のまま越冬する。
ホソミイトの交尾、連結産卵シーンを見たかったのだが、残念ながら雄ばかりでそのような展開にはならなかった。
夏型も細長いのだが、越冬型はよりサイズが大きく、それにもまして細長く感じる。
夏型♂ 緑色味が強い (2017.08上旬)
越冬型♂ 鮮やかな水色
なんて粋なイトトンボなのだろう。
クロイトトンボ
♂ 成熟し胸部には青白い粉を帯びている。
こちらの雄は水辺から少し離れた草むらで見つけた。まだ胸部に青白い粉を帯びていない。成熟するまでは水辺から少し離れて生活する予定なのかな。
この池では、クロイトトンボが続々と羽化しているようだった。
セスジイトトンボ
♀ 水辺から少し離れた草むらに雌たちが集まっていた。
♂ 池の水際にて。
この雄は眼後紋がセスジイトの特徴的な「おにぎり型」ではなく、ムスジイトのそれに近い。
セスジイトは今年初確認で、時期は昨年と同様。水辺で見かけたのは数頭で、少し離れた周辺で多数の雌を見つけた。
ムスジイトトンボ
♂ 田んぼ脇水路にて
今年の初確認となった前回は1頭だけだったが、今回は5頭以上が見られた。ただ、ムスジイトが見られる場所はまだ限られている。
ヤマサナエ
♂
♂
里山の河川周辺の狭い範囲で、まとまった数の雄が見られた。生息密度が高かったためか、雄同士が争う場面が見られた。ヤマサナエの縄張り争いは初めて見た。
シオカラトンボ
♂
♀
見かける場所、成熟個体を見かける機会が増えてきた。
ハラビロトンボ
♂
♀
相変わらず未成熟個体が多く見られ、羽化が続いているようだ。また、周辺の水辺で縄張りを主張する雄を目にするようになった。
ウスバキトンボ
こんな写真しか撮影できず・・・
今年のウスバキトンボの初認は、こどもの日となった。1頭だけ。場所は浮島沼つり場公園の北側。前日は少し肌寒い晴れの天気で、風が非常に強かった。
####### 5月上旬に観察したトンボ一覧 #######
ホソミオツネントンボ*
アオハダトンボ*、アサヒナカワトンボ
アオモンイトトンボ、ホソミイトトンボ@越冬型+
クロイトトンボ、セスジイトトンボ*、ムスジイトトンボ
ヤマサナエ
シオカラトンボ、ハラビロトンボ、ウスバキトンボ*
全12種
+ 初見
* 今年初見
昨年から「ある可能性」を感じ始めた近所の池。近所だから無理なく通える。こまめに通えば、ちょっとした変化にもすぐに気づける。そして、思いがけない場面に遭遇できるかもしれない。今回、この池への取水作業で水位が上昇し、いつも陸地になっている場所が、水辺になっていた。そしてそこに、この池では見たことがないホソミオツネントンボや、初めて見るホソミイトトンボ(越冬型)が集まっていた。この時期に一時的にできた観察しやすい水辺を見逃さなかったことが、幸運を引き寄せた。これが「近所の自然観察」の醍醐味の一つ。初めてホソミイトトンボ(越冬型)に会えてうれしかった。しかし、それ以上に、観察や考察を続け「この池周辺にはトンボ越冬種がいてもおかしくない」と感じ、今回それが確認できたこと。それが一番うれしかった。
池の水位が元に戻ってしまえば、トンボたちは観察しづらい場所へ移動してしまう。次にこれらの越冬種に会えるのはいつになるのか、わからない。それでもいいじゃないか。彼らは今まで通りこの池で命のバトンをつなぎ続けるだけだ。そして、今の自分はそのことを知っているのだから。